糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

食事管理されたところで便秘は撲滅出来ない

前回からの続きです。
 
突然ですが、過去に私は施設栄養士として調理業務を担当していました。
システムとしては管理栄養士が献立を各施設の基準に沿って栄養価計算をして、その数値を満たすようにしながら見た目や味に偏りが無いように組み立てられた献立を基に、調理をしていきます。
その数字の基準というのは各施設や体調・症状により変化はしますが、厚労省で定められた基準値以上のものをベースとしたものを提供するように決められています。
 
で、今回は便秘がテーマなので食物繊維にだけに焦点をあてていくのですが、食物繊維量摂取目標量も18~20g以上とされているため、それを満たすように野菜も多めの献立が決められます。
食事内容としては、しっかり毎日この基準値を上回るような献立になっているので、十分に食物繊維を摂っている事になります。
このような食事が管理下に置かれる状況であり、睡眠時間(消灯・起床時間)もほぼ決まっているリズムの中で生活をしていたとしても、便秘を訴える人は存在します。
 
不思議ですよね。
 
生活習慣が大事だとされたり、食物繊維をとれば便秘予防になっていく!とそこかしこでアピールされ、食物繊維の健康食品やら野菜不足解消のために青汁やらを食べれば健康に良く、お通じの改善に役立つとされて積極的に摂ろうとアピールされているようなものなのですが、なぜか便秘とは無縁の生活を手にする事は出来ません。
 
で、便秘になる理由として聞いたのが、
腹圧(筋力)が衰えている
摂取する水分が不足している
運動をしていない
これらを理由にして、求める人には便秘薬が処方されています。
本当に食物繊維を摂取する事で、便秘を防ぐことが出来るんですか??
と疑問を抱き始めたきっかけです。
以前の投稿にもしたので、良かったらご覧ください。

という感じなので、「理想のうんち(排便状態・リズム)」を出すという事に関しては、食物繊維は十分条件の一つであり、必要条件ではないのではないかと考える訳です。
 
前回のブログでもお伝えしたように「毎日出す事が便通の理想」というのを前提に置く事自体が良くないのではないかと考えます。
生活リズムであったり、食生活であったりというのは個人差があって当然です。
その結果、毎日毎朝出る人もいれば、2~3日置きに出る人もいますし、1週間くらい出ない人もいる訳です。
基準にするのは
「排便後、次の排便に至るまでに不快感や苦しみが生まれやすいかどうか?」(期間・間隔)
「排便時に苦悩を抱えないまま排泄をする事が出来るかどうか?」(不快感)
という事ではないかと考えます。
同じような食事をしていたら、同じような排便間隔になり、同じような便状態になるのは当然だと感じます。
着目点は、現状どのような食事をし続けているのか?という所に置かないといけないです。
 
ネット上では、野菜(食物繊維)を食べよう!とアピールするのは良いのですが、現状どれくらいの野菜量を摂取しているかの視点がないまま話を進められている所ばかりです。
ここがとても大事な部分でもあるにもかかわらずです。
 
普段全く野菜を食べてないような食物繊維量がほぼゼロの人がいるとします。
その人が「野菜を食べよう」と100gの野菜を食べ続けたとします。
そのような環境であれば、食物繊維によるカサ(食べかす・消化出来ない物質の増加)の影響を受け、排便量が増えるので排便間隔はそれまでより短くなり、量も増えると思います。
実際私も固形物をレバーや肉・玉子のみから野菜をプラスしたら排便間隔(排便してから次の排便までの期間)は短くなりました。
 
「基準が一つしかない理想だとされている排便リズム」に近づける事が出来るようになるのは間違いないです。
 
逆に普段から野菜を積極的に摂取している人(例として300g程度とします)が便秘になったとします。
その人が国が推奨している目標値である350g以上の野菜を食べたところで、改善出来るかというと、そうでもないと思います。
食物繊維(食べかす)はある程度の量を摂っているため、それ以上に食べかす増やしたら「摂取≧排泄」状態から「摂取>排泄」へと変化しやすくなり、より便秘を拗らせやすくなる傾向にあるとと感じます。(少し分かりにくい例えかもしれない・・。ゴミの供給量がどんどん増えて、ゴミ処理場がパンクしていくような状態をイメージしていただけると嬉しい)
そういう人の食事指導として一番に考えるのは、私だったら「脂質摂取量」に着目します。
ある視点・基準からみれば野菜(食物繊維)というのは便通頻度アップに繋がりやすいと考える事は出来ると思いますし、別の視点から見れば便秘の悪化に繋がりやすいとも思います。
 
そういった基準をすっ飛ばしたまま話を進めるので、改善出来る人もいれば出来ない人に繋がりやすいですし、「野菜を食えば便秘になりにくくなるよ」と主張するベースだけが基準にもなって理論展開であったり「食物繊維を摂れば健康になれる」という考え方となって、色んな商品販売に繋がっていくわけなんですね。
 
次回でまとめるつもりです。
今回はここまで。