糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

管理された環境の中では、便秘は起こらないのか?

さて、前回からの続きです。

 

私としては、便秘で炭水化物をより多くとったら、より深刻な便秘になるのではないかと感じますし、そもそも消化には良くないとも付け加えたくなってしまいます。
それは置いておくとして、食物繊維が「カサ増し」に影響を与える部分は大きいようです。
また、腸内環境を整えるという事に関しても、同様だと感じます。

ただ、「食物繊維が便秘を予防・改善する」という事については、いささか疑問点が多く残ります。


そして、生活習慣と食習慣がどれだけの影響を与えるのか?という事について話したいと、前回の最後に書き残しました。

今回は、その点を中心に話していきたいと思います。

 


私は、栄養士として施設で調理業務に従事していました。

施設での食事は、ドクターが診断し、それを基にして作られる食事箋や、厚労省の栄養管理基準概要等をベースに、それぞれの施設の食事基準摂取量等、多くの基準に基づいて作られています。

そのため、多くの目標数値を達成するような数値が基準となっているのがほとんどです。

 

【参照】「第9章 関係法令・通知」健康増進法等の施行について(特定給食施設関係)

〇栄養管理基準の概要
厚生労働省令(健康増進法施行規則第 9 条)で定める基準

1.当該特定給食施設を利用して食事の供給を受ける者(以下「利用者」という。)の身体の状況、栄養状態、生活習慣等(以下「身体の状況等」という。)を定期的に把握し、これらに基づき、適当な熱量及び栄養素の量を満たす食事の提供及びその品質管理を行うとともに、これらの評価を行うよう努めること。
2.食事の献立は、身体の状況等のほか、利用者の日常の食事の摂取量、嗜好等に配慮して作成するよう努めること。
3.献立表の掲示並びに熱量及びたんぱく質、脂質、食塩等の主な栄養成分の表示等により、利用者に対して、栄養に関する情報の提供を行うこと。
4.献立表その他必要な帳簿等を適正に作成し、当該施設に備え付けること。
5.衛生の管理については、食品衛生法その他関係法令の定めるところによること。

 

 

基準として、カロリーはこれぐらいとか、野菜を350g以上取りましょうとか、塩分10g以下を目標にしましょうとか、PFCバランスがどうとか、食物繊維量も目標値を目指しましょうとか、各施設で適切と考えられている数値を基に献立が考えられていきます。

施設を利用している人は、そういった数字管理が行われた状態の食事を摂り、入所しているのであれば、3食しっかり管理された食事を摂り、規則正しい生活リズムで生活をしています。

食事習慣・生活習慣を乱さないという点においては、とても適した環境だと考えられます。

 


でも、そんな状況下でも便秘は発生します。

 


3食しっかりと栄養管理がされている食事をとっていたり、就寝時間や食事の時間など生活管理がしっかりされているにも関わらずです。

もちろん、便秘になる人もいればならない人もいるという表現が適切です。

そういった施設を利用していない人も、便秘になる人もいればならない人もいます。
もっと言えば、生活習慣が乱れていると言われる人の間でも、なる人もいればならない人もいます。

統計を取っていないので確定は出来ないのですが、生活習慣が大きな影響を与えているという訳でもなさそうだと考える事も可能だと思います。


施設にいた頃話していたのですが、便秘の原因として、

「食事の量が少ないからではないか?」
「水分量が少ないからではないか?」
「腹筋が弱くなって、押し出す力が弱くなっているのではないか?」

という説明を良く受けていました。

間違ってはいないと思います。

ただ、食物繊維が不足しているという話は一切ありませんでした。

 

 

話は少し変わります。
私がドラッグストアに勤務していた頃の話です。

 

便秘で悩む人に対し、便秘薬と整腸剤をセットで販売していました。
もっと多くを求める人には、さらにという事で、食物繊維が豊富な健康食品も販売する事もありました。

 

便秘の苦しみを便秘薬で解消
整腸剤で腸内環境を整える
さらにその手助けで食物繊維を一緒に使ってください

 

というような考え方からまとめて販売をしていた時期があります。

そんな状態だったのですが、良い薬が出来たと、漢方が主成分の薬を販売する事になりました。

 

「麻子仁丸」です。

 

今までの便秘薬としては、

・腸の蠕動運動を促すようなもの
・食物繊維が膨らんで押し出していくもの
マグネシウムの作用で腸内水分量を増加させる事
・浣腸
・座薬のようなもので、ガスを発生させ刺激を与えるもの

がありました。

 

この麻子仁丸には、

「便をやわらかくして、便通をよくします。体力が中くらいかやや弱い人向けで、とくに高齢の人の乾燥したコロコロ便に適します。」

 

とあるような作用をしてくれるので、ご年配の方を中心に進めて欲しいという事で販売をしていました。
でも、ご年配の方でなくてもこういった状態の方は女性を中心に多かったので、症状が合えば年齢関係なく販売し、好評を得ていました。

 

 

一番最初の部分に戻りますが、「ストレスと便秘の関係性について」の部分で、

 

健康人を調査したところストレスなどで大腸が痙攣を起こしたとき、若い男性では下痢が多く、若い女性では便秘の症状が起きやすいようです。
痙攣性の便秘では兎糞状の便になりやすいといわれており、若い女性の便秘の多くはこのタイプです。

 

という記載をしました。

若い女性の多くは、ストレスなどで大腸が痙攣をおこした時に、兎糞状の便になりやすく、便秘に繋がるのです。

ストレスの話となると、交感神経等が影響するので、食物繊維が絡んでくるわけでは無いです。

もちろんだからと言って、食物繊維が不要だという訳ではありません。

 

今回は

「食物繊維が、便秘に影響するかどうか?」

 

をテーマに話しています。
こう考えてくると、多くの女性が悩む便秘に関しては、食物繊維は直接には影響は大きくなさそうだという事が言えそうです。

あくまでも統計は取っていないので、正確な事は言えませんが、情報を集めた中で言えば、そう考える事も可能だという事です。


終わりませんでした。

 

次回で最後にします。