糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

糖尿病患者は禁酒が当然なのか?

以前、糖尿病患者は禁酒が当然でした。

理由は、食べすぎるからだそうです。

食べすぎる=摂取カロリー増の結果、体重増になるとインスリンの作用も悪くなるため、禁止だったようです。

 

食べすぎるからという理由だけなら、患者に対して失礼な話です。
「酒を飲んだら、あなたにカロリーコントロールなんて出来る訳がないでしょ?」
と言っているようなものです。
その結果、隠れて酒を飲んで、ますます体調が悪くなったりもしますし、飲むことが出来ないというストレスにより、食欲が増してしまう結果にも繋がります。


今は、適量であれば問題ないという事になっています。

世界がん研究基金2007年の勧告では、アルコールの推奨量は、男性は1日2杯、女性は1日1杯までとしています。
1杯はアルコール10~15グラムに相当します。

米国糖尿病学会は、
アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら適量としていて、その量は
ビール(5%)なら600ml
ワイン(15%)なら200ml
ウイスキー(43%)なら70ml
焼酎(25%)なら120ml
糖質ゼロ発泡酒(4%)なら750ml
に相当します。

 

でも、注意すべき点は、体重コントロールの所ではなく、アルコールは低血糖を促すという事です。

血糖値が低下しないようにするため、通常は肝臓が糖新生により血糖値をコントロールしています。
代謝の優先順位は、糖質→脂質→タンパク質の順番で、糖質から代謝されていきます。
しかし、アルコールが入ってくると、優先順位が変わります。
アルコールは身体にとって毒物とみなされ、優先的に肝臓で分解されます。
その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされて、肝臓の糖新生を抑制する事になってしまいます。
これにより、個人差はありますが、酒を飲んでいる間は、血糖値が下がる人も出てくるわけです。

 

夜に多量の酒を飲み、血中アルコール濃度が上昇させていると糖新生の働きが鈍くなってしまう(作用がブロックされてしまう)ため、寝ている間に糖新生がおこらず、
低血糖になってしまい、翌朝手足の震えや、意識がもうろうとしたり、最悪昏睡状態や死に至る可能性も生まれます。

 

ちなみに血糖値を下げるのはインスリンの役割で、すい臓より分泌。インスリンは、常時多くはないが、最低限必要な量を、随時分泌しています。

 

また、糖尿病でなくても、空腹状態で大量のアルコールを摂取すれば、低血糖になる可能性も十分ありえます。

 

リスクとしては、この低血糖の部分が大きいので、適量を守っていれば、問題ないと思いますが、個人差があります。

アルコール量としては、適量は30mlなのですが、人によっては60mlと倍量摂取しても問題ない人もいます。

ですので、自身の体質を見極めながら、リスクを十分承知したうえで、自己責任で飲めばいいのではないかと思っています。

 

自分もですが、急に禁酒と言われても、なかなか思うようにはいかないです。

それなら、上手に付き合いながらのほうが、ストレスも生じにくく、長続きしやすいと思うからです。