糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

脳が疲れたから糖質を摂るという事について

話が飛び飛びになっている感がありますが、続きです。

 

皆さんは日々生活をするなかで、頭脳労働を行ない、疲労が蓄積する事は多いと思います。

難解な本を読んだり、勉強をしたり、授業を受けたり・・・。

色んな場面が想定されますが、そんな時に疲労回復として「甘いものを食べる」という手段を選ぶ人も多いと思います。

理由としては、

人間の体は、炭水化物、脂質、糖質という3大栄養素をエネルギーにすることができますが、脳の場合は「血液中の糖分だけ」をエネルギー源にしているのです。

脳のエネルギー源となるブドウ糖、カカオに含まれる香り成分が脳をリラックスさせることなどが、よく言われている効果に挙げられます。

 

当然だけど、食べすぎ注意です!
もっとも、頭を良くしようと、こればっかり食べればいい訳ではないし、賢い人は多く食べているという結論に至るのも早計。
当然ながら、「健康な食生活を全体的に考慮したうえでのチョコレート摂取」だと、クリシュトン博士は釘を刺します。

 

脳が栄養として利用できるものは、甘いものに多く含まれる糖質(ブドウ糖)だけだということ。そうなると糖質ばかり接種すればよさそうに思う人は多くいると思います。
例えば、試験前や勉強前に脳を活性化させるためにチョコレートをたくさん食べようという人がいたとします。
チョコレートを1個食べるより5個食べた方が脳がよく活性化し、頭がよく働くでしょうか?

→答えはノーです。
なぜかというと、食べた糖質が脳に作用してくれるのはほんの一部で、食べたチョコレートが全部脳で利用されることはないからです。
今後、健康に大変重要な糖代謝をコラムで説明する予定ですが、甘いものばかり接種するとこの糖代謝を悪くしてしまいます。

 

 


だいたいこんな感じです。

脳のエネルギーは、「ブドウ糖だけ」ですよ
チョコは、カカオの香り成分でリラックスできますよ
でも、食べ過ぎはダメですよ


脳のエネルギー源がブドウ糖のみという考え方自体を、どうしたものかと感じてしまいますが、これについては今まで何回も話してきたので省略します。

このような主張を見ると、私は、「あっ・・・(察し)」と思ってしまいます。
とても残念です。

こういう考えの人に聞きたいのですが、

 

脳のエネルギー源が「ブドウ糖のみ」とするのであれば、なぜ、「食べ過ぎはダメですよ」となるのでしょうか?

太るから?

いやいや、脳は、ブドウ糖やエネルギー源をキープし続ける事が出来ない臓器です。
それだったら、脳のためにも、ブドウ糖を供給し続けないといけないのではないでしょうか?
過剰になるくらいまで与えた方が脳がどんどん活性化され、疲労など感じない程のスーパーな脳になれるのではないでしょうか?
それなのに、なぜ摂り過ぎはダメと制限をかけるのでしょうか?

 

それに対する返答は、「適度に摂る事が大事ですよ」となるのでしょうか?

 

それでは、「適度」とはどれくらいなのでしょうか?

で、探してたら、こんな感じの文を見つけました。

 

脳は、安静にしていても1日120g、1時間に5gものブドウ糖を消費する、驚くべき大食いの臓器です。
しかも、少量しかブドウ糖を蓄積することができないので、常にエネルギーを補給しなければなりません。
脳が消費するエネルギーを安定して供給するには、全身の血中ブドウ糖濃度を血液1dl当たり約100mgに保つ必要があります。


ここで着目すべき所は、

「脳が消費するエネルギーを安定して供給するには、全身の血中ブドウ糖濃度を血液1dl当たり約100mgに保つ必要があります。」

でないかと考えます。

 

血糖値ですが、

空腹時血糖の正常値は110mg/dl未満。
これが110~125mg/dlだと糖尿病予備軍、126mg/dl以上だと糖尿病と診断されます。

そして、血糖値の測定のもう一種類として

食事を摂ったあとに測る「食後血糖値」です。
これの正常値は140mg/dl未満で、140~199mg/dlだと糖尿病予備軍、200mg/dl以上だと糖尿病と診断されます。

という事になります。

 

「空腹時」での正常値は110mg/dl未満となるので、特に甘い物を食べなくても、脳にエネルギーを安定して供給している事になります。

 

ここ大事です。

「空腹時」の血糖値です。

 

そして、余分な糖質が肝臓に蓄積され、必要に応じてブドウ糖に戻るという事なので、空腹とかで血糖値が下がったら、その時は70mg/dl程度まで下がっていると思うので、集中力低下やエネルギー供給不足に繋がっていると思います。

 

推進派(?)は、「今です!」と、甘いものを食べるようにアプローチしますが、でも、それなら食べなくても、肝臓が必要になっているタイミングなので、血糖値を上げるように調整するのではないでしょうか?

甘い物を食べたら当然血糖値は上昇するが、食べなくても、上昇させる事は可能であるという事になります。

もともと、人間には血糖値を上げるホルモンが4種類ありますから。
ちなみに下げるのは、インスリンの1種類だけです。

 

基本的には、甘い物を食べても食べなくても血糖値は上昇するので、「甘い物が必要だ」という理由とするのは弱いです。

では、なぜ甘いものを食べる事を勧めるのか?

 

脳にすばやくエネルギーを送る、「砂糖は脳のごはん」なのです。
脳が緊急にブドウ糖を必要とするとき、もっとも頼りになるのが砂糖です。
食べ物として摂取された砂糖は、小腸で消化吸収され、その後数10秒で血液中に現れます。
砂糖は、ごはんやパンに比べて吸収が速く、失われたエネルギーをすばやく回復させる速効性のエネルギー源なのです。
そのため、徹夜の試験勉強や長時間の会議に出る時には、甘いものを摂ると集中力が増して、頭がすっきりします。
また、マラソンなどのエネルギー消費が多いスポーツで疲れきった時や糖尿病患者が急激に血糖値を下げすぎて昏睡状態に陥った時、砂糖水を飲ませたり、アメをなめさせるのは、砂糖が緊急なエネルギー補給にもっとも有効だからです。

 

この文章には、少し矛盾した部分がありますが、こんな感じでしょう。

 

 

あと、ついでですが、これの転載しておきます。

 

砂糖は無駄のないエネルギー源!
砂糖はブドウ糖と果糖が結合したもので、小腸の上皮細胞にあるシュクラーゼという酵素によって、分解されます。
ブドウ糖はすみやかに小腸の壁から吸収され、血管を通して全身にいきわたり、体や脳のエネルギーになります。
そのうちの約25%は肝臓でグリコーゲンとして蓄えられ、必要な時にブドウ糖に戻ります。
果糖も約10%がブドウ糖に変えられ、残りの90%は果糖のまま吸収されますが、最終的にはすべてエネルギーとして使われます。
このように、砂糖は子供からお年寄りまで年齢に関係なく、99%以上が生体を維持するエネルギー源として利用される、まったく無駄のない食品です。

 

というような事を、砂糖消費推進派のサイトで発言しているのを見つけました。

シュガー占いって、何だろう?

と思いましたが、そっとしておきます。


砂糖の消費量を増やそうとしているようで、もっともらしい言葉を並べていますが、色々とツッコミどころがある内容です。


少し長くなるので、次回に続けます。