糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

甘い物は、健康を維持するために必要なものなのか?

今回は、少し意見をまとめたいと思います。

 

長々と書いてきていますが、糖質が良いですよと主張しているサイトは色々ありますが、少し矛盾というか、数値データを用いずに「都合の良いイメージ」を多用して文章を構築しているのが多々存在しています。

色々見た中で、

「糖質はエネルギーとなり、人間にとても大事なものですよ~」

と主張している所ほど、数値データが存在しないように見受けられます。

前回も書きましたが、血糖値の話を交えて、話しをしていきます。

 

脳は、安静にしていても1日120g、1時間に5gものブドウ糖を消費する、驚くべき大食いの臓器です。
しかも、少量しかブドウ糖を蓄積することができないので、常にエネルギーを補給しなければなりません。
脳が消費するエネルギーを安定して供給するには、全身の血中ブドウ糖濃度を血液1dl当たり約100mgに保つ必要があります。

空腹時血糖の正常値は110mg/dl未満。
これが110~125mg/dlだと糖尿病予備軍、126mg/dl以上だと糖尿病と診断されます。

そして、血糖値の測定のもう一種類として

食事を摂ったあとに測る「食後血糖値」です。
これの正常値は140mg/dl未満で、140~199mg/dlだと糖尿病予備軍、200mg/dl以上だと糖尿病と診断されます。

  

まず、「全身の血中ブドウ糖濃度を血液1dl当たり約100mgに保つ必要があります。」という部分についてです。

 

話は少し飛びますが、皆さんは健康診断の時、前日の夜から何も食べないで水だけで検査を受けると思います。

その時に採血も行ない、血液検査から血糖値を測定し、「少し、糖尿の気があるね~」とか言われたりもします。

皆さんは、血糖値はどれくらいだったでしょうか?

空腹時血糖の正常値は110mg/dl未満。
これが110~125mg/dlだと糖尿病予備軍、126mg/dl以上だと糖尿病と診断されます。

 

空腹時の血糖値の正常値は、「110mg/dl未満」です。

これは、絶食(?)に近い状態です。

絶食をしていたとしても、空腹の状態でも、血糖値は健康(正常)であれば、「脳が消費するエネルギーを安定して供給されるのに必要な」約100mg未満に保たれているという事になります。

人間の身体は、一定の血糖値を維持する仕組みが備わっているので、そう簡単には低血糖状態にはなりません。

 

そして、食後血糖値についてです。

「正常値は140mg/dl未満で、140~199mg/dlだと糖尿病予備軍、200mg/dl以上だと糖尿病と診断されます。」

食後血糖値で、140mg/dl未満が正常値とありますが、例として、140mg/dlになったとします。

そうすると、脳にとっては、40mg/dl分が、不必要なものとなるのではないかと感じます。

理由は以前に引用した


食べた糖質が脳に作用してくれるのはほんの一部で、食べたチョコレートが全部脳で利用されることはないからです。
今後、健康に大変重要な糖代謝をコラムで説明する予定ですが、甘いものばかり接種するとこの糖代謝を悪くしてしまいます。


という所とか、他にも多々あります。

ここまでのまとめですが、


治療や血糖値を下げるような医薬品の服用をしておらず、健康な状態が前提で話を進めますが、

・血糖値は、空腹時の状態でも、脳に必要な血糖値は維持できている。

・満腹時でも、血糖値の正常値は「正常値は140mg/dl未満」であるため、糖質を意識的にとらなくても良い。

・十分に脳が消費するエネルギーを人体は供給できる。

 

ちなみに、血糖値を100mg/dlから140mg/dlへと上昇させるのに必要な糖質量は、体重65㎏の成人男性(健康な人)で、約13gであり、ご飯(米飯)で例えるなら、約30~40g程度です。(目安として糖質1gあたり、血糖値を3mg/dl上昇させるという計算で、大丈夫です)

ご飯を例に出しましたが、おかずにも大量の糖質が含まれている場合もあります。

根菜類・練り物、調味料としての甘味成分(砂糖・みりん・料理酒等)、果実類。

それを米飯と共に摂取すると、簡単に正常値をオーバーします。

普段の食事の中で、これだけ血糖値を上昇させるものがあるのに、これに加えて「甘いもの」を食べようものなら、簡単に「糖質摂取過剰状態」になってしまいます。

上白糖1gで糖質量は約1gです。
それだけで血糖値を3上昇させます。
間食として「甘いもの」を摂取したいというのであれば、10g程度の砂糖でも十分すぎる量だと思います。


余程の絶食中(数日とか数週間とか)を行なわざるを得ない状況でない限り、人間の身体に「飢餓状態」は起こりません。
朝飯や昼飯を一食抜いたところで、「飢えて死んでしまう・・・」という事にはなりません。
(そのように思い込む人はいるかもしれませんが、身体にとって大きな危機を与えません)

それで簡単に「生命の危機」となるのであれば、ファスティングダイエット自体が成り立ちませんから。

 


これくらいにしておきます。

 

次回は、砂糖摂取による「リフレッシュ効果」というものについてです。