糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

炭水化物と糖質と目的と手段の話

今回は、ふわっとした感じで終わらせたいと思います。
 
私は糖質制限を緩やかにですが実践をしている管理栄養士です。
おかげで「糖質」という言葉に敏感になってしまい、色んな文献や書籍やサイトを拝見する時には「あなたが言う糖質制限ってどれくらいのレベルの事を前提に話をしているの?」という基準が常に働いてしまいます。
 
タイトルにも付けましたが、大まかに言うと「炭水化物≒糖質+食物繊維」です。
色んな話を見かけますが、この「炭水化物」と「糖質」をごっちゃにして話している記事もあるわけです。
非常に分かりにくいと受け取りますし、他の方はどのような受け取り方をしているのかなと思ってしまいます。
そこまで極端なものではないですが、気になる記事がありました。
野菜摂取目標として、350gという数字が上がっています。
根拠としては、
 

野菜は、ビタミンやミネラル・食物繊維を多く含んでいます。多くの研究で、野菜を多く食べる人は脳卒中や心臓病、ある種のがんにかかる確率が低いという結果が出ています。

 

という感じの傾向なので、まずは目標としてこの数字を達成しましょうというものです。
 
で、この記事はその目標を達成するために、こんなことをすれば良いよという素敵なアドバイスをいくつか並べています。
生野菜が一番良いとし、また彩りが良いと食欲増進効果にもなるという話があり、それに関しては特に異論はないです。
 
気になったのは後半部分です。
忙しい方向けという事で、朝も昼も野菜を摂れなければ夕食で多く摂らないといけないので、冷凍してカサをへらすという方法を挙げていましたが、「炭水化物を減らす」という表現をしています。
 
これは先日の内容が気になるのですが、有料ページのようなので確認してないです。
恐らく「穀類」の意味で使っているのかなと思います。
野菜でも糖質を多く含むものはありますが、それと同等以上のものである穀類を減らして、その分を野菜でお腹を満たそうというものであると感じます。
調理も面倒ですが油調理とかすると、脂溶性ビタミンは吸収力が上がるから良いともしています。
そこまではまだ良いです。
 
それも出来なければ「野菜ジュース」で補おうというアプローチをしているのですが、ここが一番気になります。
この後に、栄養バランスも悪く身体の吸収力も疑問があるとしながら
 

野菜を食べないよりはマシなので1日350gに近づける為にも飲んだ方がいいと思います。

 

という言葉で文を閉めています。
 
目的は350g程度の野菜に含まれる栄養素が身体に影響を与える傾向にあるから、それを目標に野菜をバランス良く食べましょうという事です。
そこからスタートしているはずなのですが、目的が「350g程度の野菜に含まれる栄養素を摂取する事」から「350gの野菜を食べる事」にシフトしているように感じます。
 
野菜ジュースの栄養価の事も効果についても知っておきながら、「350gの野菜摂取目標達成のために」野菜ジュースを飲もうとアプローチしているんですね。
何のために野菜を350g摂取を目標にしているのか?よく分からなくなってしまいます。
 
私だったら、食べれないのであれば、別に350gという重さにこだわらなければ良いと思いますし、食べれるのであれば400gでも500gでも野菜を食べたら良いと思います。
数字に囚われずに自由に食べる方が心身ともに健康であり健全だと考えます。
変なプレッシャーしかないと思うからです。
無理くり達成したからと言って、それが健康に繋がるかどうかは別の話だと思うんですよね。
 
野菜ジュースの内容にもよると思いますが、これだけ時間がないとか手間を惜しむような書き方をしているので、自身でジューサーを使って作る事を前提にしてないと思います。
市販されているものであれば「一日分の野菜の〇%を摂取出来る」というようなアピールをしているのですが、
 

「1日に必要な野菜が取れる」という表示はトリックだと指摘する。厚生労働省が、健康を維持するには成人1日当たり350g以上の野菜を取ることを推奨しているのだが、「その数字を基に、1日に必要な野菜350g分を計算上、入れたということであって、野菜350gを取った場合の栄養素が入っているわけではない」。

 

と栄養価は低いものであり、気休めにしかならないものであるとも記載されています。
私も同意ですし、さらに言うと野菜ジュースには飲みやすくするために果物から生まれる「糖質」が含まれています。
ちなみにこの商品で約15g程度の糖質が含まれています。
また、この商品だと野菜がほとんどですが糖質も同等です。
恐らく「有色甘藷」が甘みのベースになっていると思います。
イモ類は重量比が高いので「350g」という目標に近づけるために多く使うとコストが抑えられる狙いもあると思います。
また他の商品だと、このようなものもあります。
話を戻しますが、最初に引用したものについて気になるのが、
 
・目的は栄養素をしっかり摂取する事なのに、目安としている「350g分の野菜摂取」が目的に変わっている事
 
・「穀類」のような「炭水化物」摂取を控えようと言っているが、それが「糖質」をさしているのであれば、野菜でも糖質の多いものはあるよという事
 
・「炭水化物」そのものを控えるという事であれば、それは「糖質+食物繊維」となるので野菜を食べる=食物繊維の摂取となるので、野菜を否定する事になってしまう
 
ものすごく細かく言えばこんな感じです。
ですが、ここの部分がハッキリしないとこの方が「考えている基準」がよく分からないので、読者に対して誤解が生まれやすく、判断に困ると思うんですよね。
私の考えすぎであるとは思いますが、どうしてもこの視点が原点になってしまうんです。
 
皆さんは、引用サイトをみてどう思ったでしょうか?
今回はこんな感じで終わりたいと思います。