糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

管理栄養士が考える花粉症対策としての食事療法

前回からの続きでまとめです。
 
色々と引用してきましたが、色々なサイトで「こんな食品が良いですよ」「〇〇が××に効果的ですよ」というようなアプローチで話を進めている傾向にあるのですが、そこまで話をしておいて最後の方では
「残念ながら食べ物・飲み物に即効性はない」
「花粉症対策では栄養バランスの良い食事をベースに腸内環境を整え、ストレス対策になる食べ物を取り入れるのが基本」
「生活習慣を変えるのに時間がかかるように体質改善にも時間がかかる。すぐには改善が見られないかもしれないが継続する事で少しずつ花粉症の症状が楽になる春を迎えられるかもしれません。」
という言い方をほとんどでしています。
 
そもそもですが
 

腸内環境を整え、免疫システムを正常にする働きをもつ食品が、花粉症対策にも有効だといわれています。

 
という理由として、
 

そもそも、腸には免疫の働きを担う細胞や、体に害を及ぼす侵入者(病原細菌など)と戦う抗体などが60%以上も集まっています。それを腸管免疫といい、腸内環境を整えることが腸管免疫の正常化につながると考えられています。
腸内環境をよくすると、花粉(アレルゲン)が腸から体内に入りにくくなる可能性があるのです。
また、乳酸菌には免疫の過剰反応を抑える働きがあるため、花粉症の症状緩和に役立つと考えられています。

 

というようにあるのですが、
 
本当に「腸内環境を整える→免疫力を上げる→花粉症対策に効果的」というロジックが正しいのでしょうか?
 
花粉症の症状として挙げられるのは
 
くしゃみ/鼻水/鼻づまり/目や皮膚、のどの腫れやかゆみ/せき/熱っぽい/頭痛/お腹がゆるくなる/イライラ/食欲不振
 
ですが、メカニズムとしては
 

まず口や鼻・目に花粉が入ると、体がそれを「異物」と判断します。その異物から体を守ろうとして起こるのが花粉症の症状です

 

とあるように、まずは気管支・粘膜部分に花粉がくっついて症状が発症していきます。
それが酷くなって頭痛や微熱というようになっていくのですが、ここで一番に対策しないといけないのは
 
「花粉を取り込まない事」と「皮膚・口腔内・粘膜部分の強化」
 
であると考えるので、なぜこんなにも「腸内環境」を重視するようなアプローチをするのかが分からないです。
 

「花粉症に効果が期待できる食べ物については、研究は行われているものの、「食べればすぐ治る」ということは完全に解明できていません。」

 

という様に話す医師もいるように、私自身も「即効性はない」と思います。
その影響もあって「体に良さそう」「健康に良さそう」というようなイメージを与えるような食事方法がまん延しやすくなるんでしょうね。
結果が出ないのが当然という考え方からスタートなので「健康に良い影響を与えるような物を食べましょう」となって「じゃあ、野菜だよね」という流れになるのでしょうか?
現在までに続く栄養業界・界隈(?)の良くない流れだと感じます。
 
だったら何が良い影響を与えるのでしょうか?
 
私はこう考えます。
まずは一番影響を受ける「粘膜強化・皮膚そのものの強化」が必要だと考えます。
そのためには粘膜が適切な量を確保・維持するために主成分である「ムチン」が必要だと思います。
そのためにムチンを多く含む「山芋」が取り沙汰されていると感じるのですが、その一方で
 

オクラや里芋のネバネバ成分もムチンと称されているが、日本国外の文献では植物由来のものは必ずしもムチンとは呼ばれていないことも多い。

 

とも言われています。
皮膚そのものの強化のためには、たんぱく質と脂質が必要になります。
皮膚も臓器も細胞の集合体であるため、細胞のターンオーバーを活性化させる事が重要になっていきます。
粘膜の主成分も、たんぱく質と糖質です。
糖質はたんぱく質を摂取していく事でも確保できるし、必須アミノ酸・必須脂肪酸の摂取量を上げるような食事をしていけば、症状を抑えられる可能性は伸びていく事になります。
 
実際糖質制限のように、脂質・たんぱく質を多めに摂取して糖質摂取量を抑える事で血流の改善にもなっていきますし、結果として糖質制限の傾向の食事をすると、花粉アレルギーが抑えめになってきているという話はよく耳にします。
 
改善例の多い糖質制限食をする事と、改善例があまり生まれていない(よくわからない?)「腸へのアプローチ」をする食事方法だったら、どちらを選択しますか?
 
私も花粉症ですが、糖質を控える食生活をして完治はしてないですが、目のかゆみの頻度やのどの痛みの持続時間は少なくなっているのは実感出来ています。
以前はのどスプレーと解熱鎮痛薬を同時に併用してもなかなか収まらない状況でしたが、今はのどスプレーだけですぐに収まる程に改善しています。
花粉の飛散量はそんなに変わらないと思いますし、昼間ほとんど外に出ない生活をしているという生活リズムも変化はあまりないのに、この変化です。
 
一般的な論調として見受けられるのが、アプローチ方法を「腸」に焦点をあて過ぎていると感じてしまいます。
 
「腸が何でも解決する」
 
という論調になり過ぎていると感じてしまうんですね。
 
 
改善の方法のまとめ
 
・花粉に触れない・可能な限り取り込まない
・粘膜強化のためビタミンAやタンパク質摂取増
・血行促進のため糖質摂取量減少と水分・ミネラル摂取
必須アミノ酸脂肪酸摂取量増加
・付着した花粉を洗い流すよう水分摂取や洗浄・保湿
 
という感じです。
「花粉症のために〇〇を食べよう」
という感じに単体の食材を勧めるのは、あまり信用度というか効果を実感出来るというのは考えにくいと感じます。
唯一の食材だけで、体質を変える事は難しいです。
まずは悪影響を与えている現在の食生活や習慣を排除する事からスタートしないといけないです。
酷い状態で藁にも縋る気持ちは分かりますが、食事面(食事療法)を中心に話をしたらこれくらいですね。
症状が強いなら、薬を服用しながら食習慣・生活習慣を変えていくというのが一番早いと思います。
これ以上の医療行為はドクターや薬剤師の範疇になると思うので触れないです。
 
今回のテーマは以上です。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。