糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

野菜は食物繊維の他にビタミン・ミネラルを多く含むとされていますが

前回までは「食物繊維の効能」について焦点をあてて話をしてきました。
続いてよく言われるのが「ビタミン・ミネラル」の話です。
この「食物繊維」「ビタミン」「ミネラル」が揃っているから「野菜はヘルシー」と言われる所以ではないかと考えます。
では、その「ビタミン・ミネラル」って、本当に多く含まれているんですか?という部分に触れていきたいと思います。
 

野菜に含まれるビタミンは、ごはんなどに含まれる炭水化物が体内でエネルギーに変わる手助けをしてくれます。摂取した栄養素が体内で利用されるためには、ビタミン類(特にB群)を不足なくとることが必要になります。ミネラルは、身体機能の維持・調整に不可欠で、特に野菜に多く含まれるカリウムは、余分なナトリウム(食塩)を体外に排泄するのを手助けしてくれ、高血圧の予防にもなります。しかし腎臓を患っている人はカリウムの排泄が十分にできないことがあり、注意が必要です。また特に色の濃い野菜(カボチャ・水菜など)には、カルシウムも多く含まれています。

 

さて、厚労省もこのような感じで「野菜は良いぞ」と言われるのを良く耳にするんですけど、まず「炭水化物が体内でエネルギーに」とありますが、恐らくこれは炭水化物ではなく「糖質」の事だと思います。
糖質がエネルギー代謝を行うためには「ビタミンB1」が必要です。
このビタミンB1を多く含む食材で有名・イメージしやすいのは「豚肉・ウナギ」だと思います。
「玄米」という人もいると思いますが、100gあたり0.16mg存在しています。
一番多いのは豚ヒレ肉で0.98mg、豚バラ肉0.54mg、ウナギのかば焼き0.75mgです。
野菜だと枝豆・ソラマメで約0.2mg、ニンニクで0.19mg程度で、多くが0.1mg以下です。
これで「野菜に含まれるビタミン」が「ビタミン類(特にB群)を不足なく」摂取する事が出来るのでしょうか?
「豚肉を食え」が安価でもあるし効率の良い解決法ではないかと感じますが・・・。
 
実際にどうかという話をしますが、数値データや詳細を入れていくと長くなるので、傾向での話をしていきます。
 
ビタミン
 
B群:(1.6.12)基本的に動物性タンパク質に多く含まれ、野菜には少量が含まれている程度
C:畜肉のレバーには多く含まれるが、それ以外だと野菜・果物に存在している
A:数字だけ見るとレバーに多く含まれるが、野菜にも量的には多く含まれる傾向だが、吸収効率が異なる。動物性(レチノール)は70~90%、植物性(βカロテン)10~30%程度
E:魚介類・油に多くふくまれ、植物性よりも良質である(オメガ3)
D:魚に多く含まれ、野菜はほぼ無
K:納豆・青菜に多く含まれる
 
ミネラル
 
ナトリウム:魚介類に多く含まれる傾向
カリウム:野菜に多く含まれているイメージがあると思うが、魚・魚介類・肉類にも含まれている。果物はそうでもない
カルシウム:吸収効率は乳類50%海藻30%豆18%野菜18%。数字上では魚>乳>野菜>肉という感じだが、吸収率では乳が一番なのか?
マグネシウム:魚介類・海藻に多く含まれ野菜と肉は同程度
鉄:赤身の魚・肉・魚介類に多く含まれる。野菜にも存在するが、吸収力は動物性のものより低い(2~7倍)
亜鉛:牡蠣で有名だが、動物性のものに多く含まれる
銅:魚介類やレバーに多く、魚類・肉類・野菜は同程度
マンガン:植物に多く含まれる
ビタミン・ミネラルで野菜類に多く含まれる傾向(吸収効率を考慮する)にあるのが、「ビタミンC・ビタミンK・マンガン」くらいではないかと考えます。
野菜って、言うほどビタミンミネラルが豊富なのでしょうか??
 
これまでの歴史で、米というのは日本で大きな影響を受けています。
「信仰」と言ってもいいかもしれません。
それは特に悪い事ではないと思いますが、米には「糖質」が多く含まれています。
それなのに米(糖質)を大量に食べて、そのエネルギー効率をするために「野菜を食べましょう」とするのは、かなり的外れな意見であると感じます。
特に特筆するようなビタミン・ミネラルは無いように思えるのですが、なぜこれで「野菜はヘルシー」という評価・イメージになるのでしょうか?
 
そして、少し話が変わるのですが、世の中には「完全食」という言葉があります。
色々な範囲があるのですが、「その食材単独」という感じで挙げるとするなら、「卵」であり「牛乳」であると思います。
 
ここにあるように、卵にはビタミンCや食物繊維が含まれてないとか言われているのですが、だったらという事で以前に私が提案した食材が「レバー」です。
これだと食物繊維以外のものをほぼ全て補えるもので、「なぜ完全食の中に含まれないのか?」と不思議でならない食材です。
 
それはともかく、お気付きでしょうか?
 
上記のサイトだけではありますが、いくつか挙げられた完全食の食材の中に「野菜類」が無いんですよ。
他と比べて上位にランク入りするような栄養素は少なく、栄養価(必須アミノ酸・必須脂肪酸)も少なく、カロリー(エネルギー量)も小さい「野菜だけ」が、なぜ、「ヘルシー」と評価されるのでしょうか?
ここが私には不思議でならないのです。
 
何度も言いますが、だからと言って「野菜は必要無い」という論調にしたい訳ではないですからね。
あくまでも「イメージに偏りがあるのではないか?過剰なイメージがあるのではないか?」という事を主張したいだけです。
 
次は野菜の摂取量と病気の関連性についてです。