糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

【管理栄養士監修】風邪の早期治療のために必要な栄養について

前回からの続きです。
風邪をひいたら早く治したいというのは、同じ思いだと感じますがどうでしょうか?
前回までは休養や保温についての話をしましたが、今回は栄養面・食事面についての話を管理栄養士としての立場でしていきたいと思います。
 
前回も触れましたが、風邪対策として一般的には
・体温保持
・十分な休養
・栄養のある食事
という感じで紹介されています。
で、3番目の「栄養のある食事」について色んなサイトにも表記がされているのですが、

かぜのひき始めは食欲がなくなりがちです。口当たりがよくて食べやすく、消化のよい食事を用意しましょう。それでも食がすすまないようであれば、野菜や果物のジュースで水分とビタミンを補給するようにしましょう。
民間療法などで風邪に良いとされる食べ物はいろいろありますが、バランスよい食事を摂ることが早くなおす近道です。特にかぜのひき始めにとりたい栄養素は粘膜を強化するビタミンAとウィルスに対する抵抗力を高めるビタミンC。ほうれん草やパプリカなど緑黄色野菜やいちご・みかん・キウイなどに豊富です。また体力をつけるためには肉・卵・魚・大豆製品・乳製品に豊富なたんぱく質も忘れずに。

 

風邪をひいたときや風邪予防には十分な睡眠と栄養源となる食事が基本です。今回ご紹介した食材を取り入れて風邪に負けない体を作りが大切です。風邪をひいてどうしても食欲がないときは、食べられるものを、少量でも口にして栄養源とするといいですね。

 

風邪をひいた時は、安静にすることと、ウイルスと闘うための力も必要なため、栄養を摂ることが必要です。
食べ物の消化にもエネルギーが使われるため、極力「消化の良い食事」を心がけましょう。
風邪のひきはじめには
体温が下がると免疫力も低下します。温かい食事で体を温め、免疫力をアップさせましょう。
体温が1℃上がると免疫力は5倍アップすると言われています。初期の段階では、風邪を退治するための栄養をしっかりと取り入れましょう。

 

という感じで紹介されていますし、中には

タンパク質を摂るには、ヨーグルト以外にバニラアイスクリームがオススメ

 

という感じでスポーツ栄養士が紹介しているものもあります。
多くの医療関係者はこのように話すでしょうし、栄養士界隈だと「ここが私の出番だ」とばかりに張り切って(喜々として?)、やれ「この食材を食べろ」だの、やれ「この栄養素が必要だ」だのアピールをし、「こんなレシピが良いですよ」という紹介をしてきたり、「消化に良いもの食べて下さいね」と人間がもともと消化の出来ない食物繊維たっぷり含んだ食材を使っているかどうか等考えず、これまでの歴史や習慣・伝承を基にしたメニューを提案してきます。

前回お伝えしたように、風邪に対しては「休養」が必要です。
上記のような人達を含め一般的な医療関係者達は、「人間の身体は食べる事で消化に多くのエネルギーを必要とする」という事実を見ていないです。
基本的に栄養士もですし、医療関係者は「栄養のあるものを食べる」という感じで「今の状態は体力的にも衰えたり消耗しているような状態だから、栄養を与えて補っていこう」というような視点で、より良いと言われているような食材を食べるよう推奨します。
「栄養補給」というような感じともいえると思います。
ただ、なぜ人間の身体に休息が必要にもかかわらず、栄養がどうこうではなく必要以上の食事を行なう事で「エネルギー消費・消耗に繋がる事」をしないといけないのでしょうか?
そして、なぜ「消化に良い料理」として「消化に悪い食材」の使用を勧めるのかと不思議に思う訳です。
 
風邪の早期治療のために必要な事は、「免疫力を上げて風邪のウイルスをやっつけていく事」です。
そして人間の身体は「空腹になると免疫力が上がる」ように出来ています。
風邪をひいたりして体調が悪い時には、食欲自体も落ちると思います。
そんな状況であれば無理して食べさせようとするのではなく、食べたくないなら食べなければいいだけですし食べさせなければ良いだけです。
犬や猫のような動物でも、体調が悪かったりしたら何も食べずにじっとしていると思います。
動物がジッとしている姿というのは、体力の消耗を押さえ、免疫力を高めて治そうとする姿だと思っています。
体調が良くなったら普段以上の食事を要求すると思いますし、体力回復をしやすいような行動にとると思います。
 
よほどの重病であれば話は別ですが、今回のテーマは「風邪の早期治療」です。
さっさと治すのに「消化に良い」とされるような特別な食事を用意する必要はないです。
早期治療のために必要であると私が推奨するのは「水分」と「ミネラル(栄養価の高い塩)」の補給です。
水を飲みながら、そして塩をちょこちょこ舐めながら・・・
昼前から調子が悪くなったのであれば、昼食夕食を食べずにさっさと暖かくして寝る。
昼過ぎから調子が悪くなったのであれば、夕食を食べずにさっさと寝る。
寝起きから調子が悪いのであれば仕事や学校を休むのが一番ですが、出来なければ一日食べずにさっさと重要な事だけ終わらせて帰って寝る。
という感じで身体を休める事を最優先に考えて欲しいです。
 
発熱によって体温は上昇し発汗量が多くなりやすい状態が続きます。
そうすると体内の水分が失われやすくなるため、随時補給が必要になります。
そして身体の体液の塩分濃度(浸透圧)は、0.9%です。
ただの水を飲むより吸収効率を良くする事が出来るのと、ホルモンが正常に働くようにするためにもミネラル補給は必要です。
だったら「スポーツドリンクはいいんでないの??」と思うかもしれません。
スポーツドリンクには糖質がめちゃくちゃ入っています。
糖質を摂取すると身体の水分が細胞にとりこまれてしまい、血流悪化・血圧上昇に繋がりやすくなります。
さらに糖質の影響で血糖値も上昇する事になるのですが、それを下降させるためにインスリンが放出されてしまいます。
インスリンが普段以上に出される状態になると、成長ホルモンのような免疫力アップのために必要なホルモンの放出が抑制されてしまいます。
免疫力の低下に繋がってしまうんですね。
お腹が減ったと食欲がわいてきたようであれば、そこで初めて脂質やたんぱく質を少量ずつ加えていけば良いと考えますが、風邪の症状が治まるまでは糖質(インスリンを必要以上に放出させるような食事)というのは極力避ける方が「効率良く風邪を治す」事に繋がりやすくなっていきます。
「身体を温める為にも温かい食事が必要」とか言われるかもしれませんが、だったら白湯に塩混ぜて飲めといいます。
メチャクチャ温まりますよ??
そもそも「おかゆ」やら「うどん」といった糖質の高い飯を食ってすぐに寝たら体脂肪増加に繋がります。
一般的には消化に良いとされているような糖質たっぷりの食事をして寝たら、そら太るという話ですよ。
で、体温保持が必要でもあるのに「アイスクリーム」を食べて身体を冷やしたり、免疫力を下げたり血流を悪くするような糖質を与えてしまうのは逆効果だと考えます。
アイスを提唱している人は一体何を考えているのでしょうか?と思ってしまいます。
 
もっと言うと、糖質は体温を低下させますが、塩分は体温を保温・上昇させる働きがあります。
以上の事から、風邪をひいたら「水分」と「ミネラル」を摂取して「保温」に気を付け「休息・睡眠」をしっかりとる
というのが効率良く治すための手段であると考えますし、栄養指導をしてますし、私自身も実践しています。
 
昭和の時代では「風邪をひいたらメロンが食べられる」といった、病気になったら親が特別な事をしてくれるような風潮もあった(今もある?)ので風邪にあこがれているような人もいましたが、メロンも糖質たっぷりですので逆効果です。
子供がいるようなご家庭なら「風邪をひいたらご飯を食べさせないよ!」というのが効率的な治療に繋がるし、それが躾にも繋がって風邪や病気に対する意識が高まるのではないでしょうか?
子供にとって「ご飯をたべさせてもらえない」というのは、とても辛い事ではないかと思うからです。
あと、おかゆとかも作る必要がなくなるので、親にとっても手間がかからない方法でもあると思います。
風邪が治ったら体力向上のためにも「肉(たんぱく質)」を食べさせてあげれば良いと思います。
それがちょっと上質なものであれば、子供も「風邪が治ったら、おいしい肉を独り占めで食べる事が出来る」と早期治療のモチベーションにもなるのかもしれませんね。
 
 
以上が管理栄養士が考える「風邪の早期治療のための効率良い方法」であり、その理由・根拠部分です。
 
風邪をひいてしまうと、自分もつらいですし周囲に感染させてしまう可能性もあるため、正直な所、迷惑をかける存在になってしまいます。
風邪をひかないのが一番ですが、ひいてしまったらこの方法でさっさと治してください。
 
普段以上に長くなってしまいましたが、今回のテーマは以上です。
 
おまけ
普段私はタイトルには【管理栄養士監修】とかいう文字はくっつけないのですが、これでどれくらい見てくれる方の数に変化が生まれるかな?と思っての実験です。
たまにやるので、もしタイトルに今回のような文字が付いたら「あ~、実験ね」とでも軽く流して頂ければと思います。