糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

考える力を養うための練習のようなもの

皆さん、こんにちは。
 
私は色んな所から情報収集をしてるのですが、あるところで投稿されていた文章があります。
朝食にフルーツを食べようと推奨しているものです。
で、こんな感じで書いてあったので紹介したいと思います。
 
フルーツを推奨している理由は、単純に“カラダに良いから”です。
カラダに良い食べ物かどうかの基準は、5日間毎日その食材だけお腹いっぱいになるまで食べ続けることが出来るか?です。
お腹が空くとかは抜きにして、フルーツなら可能ですよね?
野菜サラダも可能ですが、これが炭水化物やお肉、お魚、スイーツならどうでしょう?
5日間連続で食べることは可能かもしれませんが、お腹いっぱいになるまで食べられるでしょうか?
仮に、1000000000000歩譲って食べられたとしても、5日後には確実に精神的、肉体的な病気になっています。
しかしフルーツなら5日間、毎日お腹いっぱいになるまで食べても病気になるどころか健康になりますし、お腹いっぱい食べているのに2キロくらい痩せることも出来ます。
そう考えてみると、フルーツがいかにカラダに良いか、お分かりいただけるのではないでしょうか?

 

皆さんは、この文章をどのように受け取るでしょうか?
「フルーツって、身体にいいんだ。食べるように意識しよう」というようなポジティブな感情でしょうか?
「そんな訳ね―じゃん。何言ってんの?」というようなネガティブな感情でしょうか?
それとも「興味なし」という感じでしょうか?
興味は持ってほしいのですが、私はポジティブネガティブ以前に、「何言ってんのか、さっぱり伝わってこない」と、この著者が何を考えているのか?何を基に理論展開しているのかを理解できないです。
 
この方は朝食にフルーツを食べようという話を推奨したいというのは分かります。
その考え方自体には異議はありません。
私自身はフルーツは普段は食べてないですが、一つの選択肢だけを与えるのではなく、多様であった方が色々な検証や発見に繋がる可能性が高まるからです。
ただ、その方法を実践する事が良いとする理由の「論理展開の部分」が良く分からないです。
 

論理展開とは、1つの結論を言う場合に、「なぜ、その結論が言えるのか」を示す、事実や前提の組み立てのこと。
論理展開の基本的なパターンには、「演繹法」(deduction)と「帰納法」(induction)の2つがあり、あらゆる論理展開はこの2つの基本パターンの組み合わせによって成り立っている。

 

人と人とのコミュニケーションにおいて、上手く考えが伝わらないケースの多くは、
 (1)議論(説明、相談)したい対象(課題)が特定できていない
 (2)議論の前提(言葉の定義や基礎知識のレベル)が合っていない
 (3)議論の内容が適切な論理で構造化されていない
といった理由のどれかがあてはまる場合が多いと思います。
(中略)
論理展開の基本には2つの方法があります。
ひとつは演繹(えんえき)的な論理展開、もうひとつは帰納的な論理展開です。
演繹法とは、哲学者であり自然科学者でもあったデカルトによって提唱された論法です。
すでに広く知れ渡っている一般論や一般法則を、説明・説得したい事象に当てはめて結論を導く方法です。
(中略)
話をしている方としては、一般論として適用したルールでも、
聞き手がその一般論を「正しい」と思えなければ、実は論理展開は正しく成立しないんです。
帰納法
一方で、帰納法とは、中世の哲学者フランシス・ベーコンによって提唱された、
対象とする観察事項の共通点に着目して、
その共通点から何らかの法則性を導き出して結論づける方法です。
(中略)
言ってしまえば、帰納法とは統計論です。
つまり、観察事項となる「例」が多ければ、それだけ確からしさも高まります。
■論理展開
演繹法帰納法という二つの代表的な論法について書きましたが、
論理展開においてはこれらの論法を組み合わせて、説得力の高いロジックを組み立てて行きます。
たとえば、演繹法に用いる「一般論」の部分の確からしさを高めるために、
帰納法によりその「一般論」を証明してみせるといった具合です。

 

 
というのが論理展開です。
 
一般常識であったり統計であったり、医学的な論文を持ち出して話をしていく事で、説得力が生まれやすくなっていきます。
何かしらの発言で「〇〇さんが話してたんですけど」みたいなクレジットを加えるような事もそれに含まれます。(これについては「〇〇さん」の信用度や影響力に左右されていきます)
 
上記のメルマガを見て、「やっぱりフルーツってカラダにいいよね」と反射的に判断したりポジティブに受け取る事が出来た方は、少し素直過ぎる部分があるかもしれません。
 
上記の文章と、後半部分の論理展開の所を照らし合わせてみて、説得力のある文章なのか?一般論に当てはまるのか?統計学的にも正しいのか?
少し考えてみて欲しいと思います。
 
こういう論理展開をしている人は、栄養学に限らずどこにでもいます。
情報を取捨選択するためにも、論理展開にアプローチする考え方・視点はとても重要です。
そのための大前提となるような知識・情報もあった方が良いとは思います。
 
私の見解は次回にしたいと思います。
それまでにちょっと思考を深めていただいて、自分なりのまとめをしてもらえばと思います。