糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

予防と治療の考え方と「健康に良い食べ物は何か?」の私なりの回答

皆さん、こんにちは。
 
前回の続きです。
「健康になるためには?」というのは「自身が普段の生活でパフォーマンス高く結果を出す事が出来るようにする方法論」的な事を書いたと思います。
んで、予防医学治療医学みたいなものと書いたのですが、その解説です。
 
治療(医学)とは「手当てなどをして病気・怪我(けが)を直すこと」であり、予防(医学)とは「悪い事態を生じないように気をつけ、前もって防ぐこと。」です。
治療方法は基本的なアプローチはほぼ固定されています。
ケガでも病気でも、対処方法は決められています。
ケガをしたなら消毒して傷を保護したり、水道水で洗って湿潤療法を病院側は選択します。
骨折したら、固定して保護してくっつくのを待ってリハビリです。
糖尿病なら血糖値を安定させる事を重要視されるし、皆さんも打撲なら冷やしたり、頭痛なら鎮痛薬を用いたりと、ある程度の対応方法は決まっています。
 
これは、疾病の名前が付いていて、それに対しての対処方法が長年の歴史から「これが良い方法」であると検証されたり信じられてきた結果だからです。
ひょっとしたら、今後もケガに対しては消毒よりも湿潤療法が傷跡も残らず治りやすいとか、糖尿病には薬物療法よりも糖質制限による食事療法がやりやすいとか、これまでの流れから逆向きであったり、違うアプローチは生まれ続けると思いますが、それも試行錯誤の結果、それがスタンダードになっていくものであると思います。
 
で、予防というのはかなり多岐に渡ります。
アプローチの方法があり過ぎです。
何度も話をしていますが、個人個人で性別・体格・生活リズム・食習慣・活動量・予算等々が異なります。
例えば「〇〇という健康食品を食べれば健康になりますよ。これは2カ月分で10万円しますよ」というものがあったとしても、Aさんはお金に余裕が無くて買えなかったとします。
では、Aさんは不健康になるのか?といったら当然そうではありません。
睡眠を十分に摂り、普段の食事で何を食べるかを意識し、湯船につかってリラックスしたり、普段笑顔で楽しく過ごせているのであれば、健康を維持向上出来る可能性は高いものだと感じます。
 
医薬品でビタミン剤を購入して服用し続ければ健康になるかと言われれば、そうであるとは限りません。
Aさんのような生活が出来ず、普段睡眠不足で、暴飲暴食を繰り返して、生活リズムも不規則で糖質の多いおやつばかり食べている人(仮にBさんとします)が、ビタミン剤であったり、高価な健康食品を摂取した所で健康を維持できる訳がないのです。
Bさんは言い訳(?)として「ビタミン剤とか健康食品をとってるから、これぐらい(好きなお菓子など)食べても平気平気」とか「リセット出来てるから大丈夫」とか「ドーナツは穴が開いてゼロの形になっているからカロリーゼロなんだよ」とか言い出すようなタイプだと感じます。
 
「生活全体を見て健康を維持しやすいかどうか?」が決まるという事です。
 
という事なので、「健康に良い食べ物って何ですか?」という質問をする人は、上記のBさんのように「このような薬を飲んでるから大丈夫」とか「身体に良いと言われる健康食品を食べているから大丈夫」といった感じで、身体に良いものを摂取していれば多少良くない事をしても平気だと考えているのではないかと思ってしまいます。
健康に良くないと分かっていても好きなものを気にせず食べたいから、健康に良いと言われる食べ物を食べてプラスマイナスゼロ以上にしたいという考えなのかもしれません。
これが罪悪感をぬぐい取るというような行為なのでしょうか?
安心感を得たいのでしょうか?
 
人間は食べた物で身体が変化していきます。
食べたいものを食べるとコンディションが悪くなるのであれば、食べなかったり食べる頻度を落とせばいいのにと思うのですが、それではダメなのかなぁと感じてしまいます。
 
という事なので、よく健康番組で紹介しているような、例えば「ブロッコリースプラウトがいい」とか「納豆サイコー」とか「玄米凄い」とか「ダークチョコレートは良い」「トマトと言えばだいたい正解」とかいう言い方は出来ません。
こういった食材(何故か植物性食品が多いのですが)の摂取頻度を上げたとしても、これまでの生活習慣を変えなければ、マイナスに繋がるような生活習慣を減らす事をしなければ、コンディションアップを実感できないからです。
 
また、こういった食材は必ず毎食食べるものでもありません。
ブロッコリースプラウトは3日に1度とか、1週間での理想的な摂取量が50gぐらいとかいうのですが、それらを計画して購入し続けるのは、長続きしにくいかもしれないです。
ただ、それだけ身体に良いとするのであれば、もっと量を食べた方が効果を実感しやすいんじゃね?とも思いますし、胃潰瘍の人には食物繊維は負担になるので、そういった人に改善として勧めるのはいかがなものかとも感じます。
普段の生活習慣がネガティブなものが多いのであれば、ブロッコリースプラウトを週に50g食べた所で、改善を実感出来る訳がないという事です。
納豆は毎朝食べるのを継続しやすいと思いますが、パン食の時は出てきにくい食材だと思います。
パンに乗せてトーストにするという手もありますが、少数派だと感じます。
 
大事なのは継続していく事です。
ですので私は少量ずつでも毎日必ず使用する食材にアプローチをします。
 
「調味料」です。
 
塩はミネラル豊富なものですか?
醤油は「大豆・小麦・塩」だけの原材料で作られてるものを使ってますか?
みりんは本みりんを使ってますか?みりん風調味料を使ってますか?
酢は使ってますか?糖質の量を意識していますか?
砂糖の使用量はどれくらいですか?おやつや間食等全体で見て、何g摂取していますか?
こんな感じのアプローチをします。
 
とはいっても、私は砂糖が家には無いので、そして好きな調味料でもある「塩」と「醤油」の話しかしませんが。
「塩」や「醤油」(他もですが)といった調味料は、どれかを必ず毎日使いますし、外食をしたとしても、ほぼ全てに含まれています。
だったら少量ずつでも良い品質・高栄養のものを摂取し続ける方が、身体に与える影響というのは大きくなっていくと考える訳です。
 
また「玄米」とか「トマト」といった食材単体をアピールするのではなく、食品群単位での話をしていきます。
食品群単位というのは、「炭水化物・脂質・タンパク質」でも良いですし「動物性たんぱく質・植物性たんぱく質」という言い方でも良いですし「必須脂肪酸必須アミノ酸」という基準でもいいです。
これで話をする方が、受け手に選択肢が増えるので良い事だと思いますし、単体を勧めたところで、よほど意識をしていなければ健康を維持できにくいと考えます。
その食品群の中で美味しいと感じるものを選んだり、旬の食材を選んだりしていれば健康維持に繋がりやすいのかなと感じます。
 
時間があれば、こんな感じで相手の理解を確認しながら話を丁寧に進めていくのですが、時間がなければ「しらんがな」とか「糖質を摂らない事」で終わろうと思っています。
幸い、その2つのキーワードは実際に使った事は無いのですが、「健康に良い食べ物って何?」という質問に一言で終わらすなら「あなたが食べたらコンディションが良くなると感じやすい食べ物です」と言いますし、このワードなら使った事があります。
糖質以外のもので、美味しいと感じるものを食べるのが一番健康的ではないかと考えています。
 
これで、回答になるのかなぁ?
私的にはここまで考えた上での回答で、自己満足になっているのは分かりますが、質問者はもやもやするかもしれないですね。
「米を食わず肉や魚介類をたっぷりのバターで焼いて毎日食え」だったら満足してくれますかね?
 
乱暴な言い方ですけど。
 
私にとっては非常に回答が難しい質問です。

今回はここまで。