糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

健康に良い食べ物って何ですか?という質問を良く受けます

皆さん、こんにちは。
前回の内容と被る部分はありますが、お付き合いくださいませ。
 
色々と健康相談を行ったりするのですが、その時に「健康に良い食べ物って何ですか?」と聞かれる事があります。
同じような意味では「身体に良くない食べものって何ですか?」もあります。
聞き手側としては、恐らく「〇〇を食べればいい」という様な話を聞きたいと思うのですが、私にとっては結構悩んでしまう質問になります。
 
特定の食材をプラスするだけでは効果を実感しにくいからです。
 
質問があるのは良いのですが、聞き手の背景を私は知りません。
普段の体調や食生活くらいは聞きたいです。
それを知った上であれば食事指導もしやすくなるのですが、こういった質問は私の要望は叶えられない状態で唐突にやってきます。
 
私が基本的な考えとして持っているのは「コンディションを下げるような行為を避ける事」が最優先事項となります。
相手の食生活を観察して、コンディションを下げやすい行為をしていたら、例えばスナック菓子を毎日一袋食べているとかいう習慣があるようだったら、まずそれを辞めなさいという事になります。
それが健康増進に繋がりますよとなるのですが、多くの方は「今の生活習慣を変えなくても、健康的だと言われる食材をプラスすれば、自分は健康に近づける」と考えます。
 
健康食品がそれに該当しやすいと思います。
「野菜不足を感じる人は、青汁を飲みましょう」とか「食事が偏っていると感じるのであれば、マルチビタミンを摂取しましょう」とか「疲れやすい人は〇〇の抽出液をカプセルにしたので飲みましょう」とか「酵素が足りないから酵素を摂りましょう」とかいう宣伝文句に耳を傾ける人は、その考えを持っている人なのかな?と感じます。
あとはテレビの健康番組で、「〇〇が凄い」と言われたら翌日のスーパーでバカ売れしてしまうような光景もそれに近いと思います。
 
そういったものに手を出すのは構わないのですが、大事なのは検証です。
自身の「現在の身体」を構築してきたのは、これまでの食事・食習慣です。
それで何か不都合なものを感じるのであれば、食習慣を変える必要があります。
ここで生まれるのが「検証」です。
一体、普段の食事で食べているものが、何が影響しているのか?というのを考えないといけないです。
いくら「身体に良いもの」をプラスしたとしても、それ以上に「身体に悪影響を与えるもの」「求める姿になりにくい食材」を食べていたら、効果など実感出来る訳がありません。
 
一言で伝えるのは、非常に難しいのです。
仮に「〇〇を食べて下さい。栄養価が高くて素晴らしいです」という話をしたとしても、普段の生活でネガティブな部分が多く、それらを顧みずに良いものをプラスしても効率が悪いですし、最悪目に見えての効果が得られないばかりに「〇〇が良いと言われたけど、ちっとも健康を実感出来ないよ」という事に繋がるわけです。
私にとっては、結構トラップカードが発動しかねないような質問だと感じてしまうのです。
そういったリスクを考える人の多くが、色々なサイトでも見られますが、文章の最後に「やっぱりバランスの良い食事だよね。国も認めている方法だし、間違いないっしょ。」という言葉が加えられる訳なんだろうなぁと感じる訳です。
リスク回避は必要ですが、テンプレになってしまってます。
そんな文章を見るたびに、それまでのなんやかんや書いてきた文章の一部(または全部)を否定しているなと感じてしまい、つまらないなぁと思ってしまう訳です。
こういった考えなので以前の投稿でも「印象操作」という言葉を使いましたが、無責任だなぁと感じてしまう訳です。
私がこだわり過ぎているのかもしれませんが。
 
前回の投稿では、私が考える良い食材として、それは特定できないという事と、必須と呼ばれる脂肪酸やタンパク質の摂取量を増やせばいいんじゃね?という話をしました。
あくまでもお伝えしたのは、脂質とかたんぱく質といった「食品群」ばかりであり、「特定の食材」はほとんどありません。
 
健康というのは、感覚でもあります。
そもそも「健康」とは、自身が普段の生活でパフォーマンスを高く維持し続ける事が出来るか?という方法論でもあると考えるので、何かの不調があれば初めて意識できることではないのかなとも考えてしまいます。
「身体の不調」があれば、それに応じて効率良く改善しやすい方法論を話す事が出来るのですが、「健康になるためには?」という質問は、ベースアップに繋がるものになるので、特定の食材を食べれば解決できる内容ではないと考える訳でございます。
 
予防医学治療医学の違いとでも言えるでしょうか?
 
少し長くなってきたので、ここで終わります。
次回は予防と治療の違いと、だったら何を勧めるかの話についてです。