糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

「赤身肉」と同レベル以上にリスクがあると個人的に考えてるもの

前回の続きです。
 
「赤身肉」は健康に良くないという主張があるのですが、一番の問題は「赤身肉」が比較的高いリスクを抱えるベーコン・ウインナー等である「加工肉」と、比較的低いリスクを抱える未加工で生の「赤身肉」をセットにして高いリスクがあるとしている事だという話をしました。
 
「赤身肉がリスクを抱える」という根拠として、大腸がんの死亡率を挙げ、日本では上昇しつつある(最近は横ばい)事と「食生活の変化・欧米化」という事で加工肉を含めた「赤身肉」が原因であるとの事です。
それを裏付けたいからだと思うのですが、アメリカでは赤身肉(牛肉)の消費量が約40年で半減していて、アメリカでの大腸がん死亡率もそれに比例するように53%減少していると主張しています。
 
でも、そもそもの年間摂取量・牛肉消費量が、アメリカでは
 

1人当たりの年間牛肉消費量の推移を見ると、1976年の94.3ポンド(約42.8キログラム)をピークに減少を続け、2015年には53.9ポンド(約24.4キログラム)とほぼ半減している。ただし、日本の同5.8キログラムと比較してかなり多い。

 

と、日本人より約4倍の量食べています。
大腸がんでの死亡者数だと、
 

実数で見ると、大腸がんで亡くなったのは、日本で5万681人に対して、アメリカでは5万260人(ともに2017年)。年齢構成比が異なるので単純に比較はできないが、日本の人口はアメリカの4割しかいないにもかかわらず、死亡者数はアメリカを超えていることになる。

 

となって、「日本人の大腸がん、ヤバくね?アメリカでは内視鏡を含む検査の受診率が高いから、日本人もやった方がいいんじゃね?」というアプローチをしています。
検査をする事は悪い事ではないのですが、これだけのデータで大腸がん死亡率の高さを「赤身肉」と「低い検査受診率」だとするのは少々乱暴だと考えます。
 
生活習慣の話をすると長くなるので割愛しますが、アメリカでの食生活の傾向として赤身肉と同じような推移をしている食材があります。
色々調べていたのですが、こういう記事を見つけました。

米国の牛乳メーカー最大手の「ディーン・フーズ(Dean Foods)」が11月12日、米連邦破産法11条の適用を申請した。米国では消費者の牛乳離れが進み、豆乳などの植物由来のミルクが人気を博している。
(中略)
合衆国農務省のデータで、米国人の牛乳消費量は2008年から2018年にかけて18.4%の減少となっていた。
乳製品市場全体から見るとわずかな規模ではあるが、豆乳やオーツミルクなどの植物由来ミルクの消費量は近年、劇的に増加している。

 

1975年には国民1人当たりの牛乳の消費量が247ポンド(約112キログラム)だったのに対し、2017年には149ポンド(約68キログラム)まで減少。なんと、牛乳の消費量が40%も落ち込んでいる。

 

こんな感じで、牛肉消費量と同じように「牛乳消費量」も40%程度落ち込んでいます。
 
では日本では牛乳消費量と牛肉消費量がどうなっているかと言うと、牛肉を含めた「肉類」は微増という感じですが、急激に伸ばしているのが「牛乳・乳製品」です。
1970年と比較してグラフで上昇傾向にあるのが「牛乳・乳製品」「肉類」「イモ類」「小麦」という準に伸び幅が小さくなります。
 
ここで憶測というか仮説というか、読み解く事が出来るのは
 
・赤身肉・肉類を日本人より4倍多く摂取しているアメリカ人は大腸がん死亡率を53%低下させている
 
アメリカでは牛乳摂取量が4割減っている
 
・日本では赤身肉はアメリカよりも1/4しか摂取してないが、大腸がん死亡率は増加傾向
 
・日本では牛乳供給量が1970年まででも急激に増加傾向だったが、そこからさらに2倍に増えている
 
「牛乳・乳製品」摂取の方がリスク高くね??
 
と考える訳です。
 
ちょっと長くなりそうなので、次回に続けます。
 
次回は牛乳・乳製品に対しての所感やフォローやらをしてこのテーマを完結させたい!!