糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

「赤身肉」を食べるとガンや心疾患になるの?

前回の続きです。
赤身肉ってそんなに悪い食べ物なの?という話をしていこうと思っています。
 
早速ですが、以下の記事を見つけました。
加工肉、未加工赤身肉、鶏肉、魚の摂取量と、心血管イベント(冠動脈性心疾患、脳卒中心不全、心血管死の複合エンドポイント)および全死亡との関連を検討した。
心血管イベントとの関連について、各食品を1週間当たり2サービング(標準的な摂取量2回分)摂取した場合の相対リスクを見ると、ソーセージやベーコンなどの加工肉では7%、牛肉や豚肉などの未加工赤身肉では3%、鶏肉では4%の有意なリスク増加が認められた。魚の摂取量とは有意な関連は見られなかった。
(中略)
次に全死亡との関連については、加工肉または未加工赤身肉を1週間当たり2サービング摂取した場合、それぞれ3%の有意なリスク増加が認められた。鶏肉や魚の摂取量とは有意な関連は見られなかった。

 

私が不思議に思うのが、「加工肉と未加工の赤身肉を一括りにして赤身肉は身体に悪い」と主張している事です。
上記でも加工肉では7%上昇するとあるのに、未加工だと3%、鶏肉だと4%という事です。
これだと「加工肉>鶏肉>赤身肉」となるんですよね。
 
次に大腸がんの話をしたいと思います。
日本では大腸ガンは戦後より増加しています。
でも、アメリカでは1970年から2016年の間に大腸がんの死亡率は53%も減少しているという事で、その要因は「赤身肉の消費量が減ったから」と記事はまとめています。
半減したとしているのですが、アメリカ人が食べているとしている一人当たりの牛肉量は、

1人当たりの年間牛肉消費量の推移を見ると、1976年の94.3ポンド(約42.8キログラム)をピークに減少を続け、2015年には53.9ポンド(約24.4キログラム)とほぼ半減している。ただし、日本の同5.8キログラムと比較してかなり多い。

 

となります。
赤身肉の摂取が半分に減ったら大腸がん死亡率も半分以上減ったという事なので関連は高いとは感じます。
ですが「赤身肉の中身」には触れてないんですね。
「赤身肉」とされていますが、「加工肉も踏まえた赤身肉」であるため、「加工肉がどれくらいの割合を示していたのか?」という分析をしている所を見つけられないんです。
 
私の勝手な憶測ですが、食べる割合というのは「加工肉≧赤身肉」だという印象があります。
勝手な憶測ですが、もしこれが成り立つのであれば、
 
「リスクの高い加工肉を取ればとる程リスクは上がるし、摂取量がへればリスクは下がる」
 
という至極当然な話になるわけです。
「加工肉」がリスクが上昇するという事は分かっているはずなのですが、「加工肉」と「赤身肉」を完全に切り離された統計・グラフが確認できないです(私が探しきれないだけかもしれませんが)。
ここに業界に闇を勝手に感じてしまいます。
ちなみに日本の話ですが、2018年のデータでは、食肉加工品の生産数量は過去最高記録を更新し、55.4万トンを記録したそうです。
この時はサラダチキン市場が拡大したようですが、ハム類は前年比0.9%増、ソーセージ類は0.2%増出そうです。
加工肉業界は成長しているようです。
あと、こんなのも見つけましたが、10年前までしかないのと「二人以上の世帯」と限定しているので、参考程度にしかならないです。(この基準で50年くらいの推移のデータがほしいんですよね)
さて、調べていくうちに、あるグラフを見つけたので、次回はその紹介とまとめに入りたいと思います。