糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

印象操作じゃね?っていうものを見つけたのでいじってみる

皆さん、こんにちは。
今回は、軽い話をしたいと思います。
 
ネットで溢れている情報というのは、中には非常に興味がわくものがあるのですが、ほとんどはこれまでのコピペであったり、耳にタコができるように何度も繰り返し用いられるものであったり、間違った情報を垂れ流したりしているものもあったりします。
そのため、以前のブログで「一度チェックをする事が必要ですよ」という内容のタイトルである程度まとめました。
 
検証結果であったり、数値データであったり、「主語」がハッキリしているかどうかであったり、元となるデータの整合性や一貫性があるのかどうかであったりします。
で、多くのブログでは登録者数・訪問者数を稼ぐためにも、大風呂敷を広げるようなタイトルで目を引こうとし、それが「〇〇監修」(私だったら「管理栄養士監修」というようなタイトルになります)と言ったものであったり、「体重マイナス〇〇キロ!」とかいう感じの見出しを遣ったりします。
 

PV(ページビュー)は、ページが表示された回数のことを意味し、セッション数(訪問数)は、ユーザーがサイト訪問した回数を意味します。

 

で、そんな感じのを2つ見つけたのでいじっていきます。
 

3トン減量させたダイエットのプロに聞く、食欲が止まらない危険な食べ方

 

このタイトルは凄そうですが、中身の導入部分を見ただけで「あっ・・・(察し)」と私は思います。
 

30年間にわたって3万人の肥満治療を行い、延べ3トン分の体重を減量させてきた左藤桂子先生

 

この部分ですね。
30年前くらいから肥満治療実績のある肥満外来の専門医、院長先生の実績のようです。
30年で3万人なので1年間あたり1000人程度の患者と向き合ってきたようです。
そして述べ3トン分の体重を減量させてきたというのであれば、3,000kg÷30,000人なので一人あたり0.1kg。
つまり100gです。
100gの減量なんて、誤差レベルです。
「体重コントロールの重要性」を指導してきたそうですが、もしこの数字に間違いが無ければ「よくこの程度の実績で研究所所長になれるな?肥満外来の専門医になれるな?」と思ってしまいます。
ちなみに私が指導したら、体格にもよりますが、2カ月で5~10kg程度の肥満改善を食事内容を変えるだけで運動無しで結果を出す事が出来ます。
この専門医の50~100倍の効果です。
 
この人を凄いと思わせるために、
 
・30年の実績がある
・3万人もの患者の治療実績がある
・延べ数だが「3トン」という「トン単位」の重量を減少させたという実績をアピール
 
という事で発言・記事に説得力・信憑性を持たせたいのかなと感じるのですが、逆に説得力が小さいですし、それだけの年数やって、それくらいの実績しか残せてないの?とも思われてしまいやすいような紹介文になっている事に気付かないのでしょうか?

次はこれです。
ダイエットに野菜を使ったものを紹介するような記事です。
「〇〇(野菜名)ダイエット」という感じのものですが、この中で一番に「ほうれん草ダイエットのやり方」というのが紹介されていました。
 
ほうれん草ダイエットのやり方はとてもシンプルで、毎日の食事にほうれん草を取り入れるだけです。
目安:1日100g程度
ほうれん草には美容・ダイエットに有効な成分が豊富ですが「シュウ酸」という成分が含まれているそうです。
この「シュウ酸」は多く摂取しすぎると腎臓結石(腎臓などにできるシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなどのかたまりのこと)を引き起す恐れがあるため、とても危険だそうです。

 

毎日の食事の事は省みず(着目せず)、ただ単に1日100gのほうれん草をプラスするとの事です。

でも、シュウ酸摂り過ぎで腎臓結石になるから注意と記載されているのですが、それだと「不健康になるリスクを高める事になるのではないか?」と私は考えるので、私だったら推奨しないです。
 
で、栄養素の紹介で、
・食物繊維が豊富
・ビタミンB群が豊富
・鉄分が豊富
とアピールしています。
 
前回までの記事を見ている人がいたら、吸収効率の話であったり、豊富と言ってるほど豊富じゃねーし、何と比較して豊富としているのかわかんねーし、って思う人もいるのではないでしょうか??
 
ほうれん草100gあたりの栄養素
食物繊維量3.6g (ごぼう6.1g オクラ5.2g にら4.3g ブロッコリー3.7g)
ビタミンB1 0.05㎎ B2 0.11㎎ B60.08㎎
鉄分 0.9㎎(小松菜2.1㎎ 水菜2.0㎎ 春菊1.2㎎ リーフレタス1.0㎎ ごぼう0.7㎎)
 
この含有栄養素量で「何と比較して、何の基準で「栄養豊富」としているのか?」と不思議に思えます。
 
ここで一番着目したい所があるのですが、
 

ほうれん草に含まれる鉄分は牛レバーと同じくらい含まれているそうです。
日本人の女性の約20%が貧血と言われていますが、さらに鉄分は赤血球を作る材料になり、貧血予防や脂肪燃焼に役立ちます。

 

とあるのですが、牛レバーが含んでいる鉄分は「4.0㎎」で4倍くらいの差があるし吸収効率は植物性の方が悪いです。
 
何を根拠に話をしているのでしょうか?
 
このような間違った印象を与えるのは、とても問題だと考えます。
ほうれん草より小松菜の方が鉄分含有量が多いというのは最近は知られてきつつあるのですが、動物性食品であり、しかも鉄分が非常に多いレバー部分と「同等」とするのは、専門家がチェックしているならまず起こり得ない内容ですね。
 
このサイトの救いというか、免責事項として、

【参考】もやし生産者会、FYTTE、HAPIET ダイエットキャンプ、ダイエットプラス、Newsポストセブン
Peach、TABI LABO、エキサイトニュース 、マイナビウーマン、旬の食材百科
※こちらの記事はインターネット、SNSのクチコミやテレビ番組で取り上げられたやり方をまとめたものを紹介したものです。
結果を保証するものではございません。

 

という事を記載しています。
引用元(直リンク先)は無いですが、参考にした資料を記載しているのは評価できます。
ですが、ただ情報を精査せず垂れ流して、保証はしないし読者の自己責任だとするのは、一方的だと感じますね。
なら、なぜそのようなまとめサイトを運営しているのか?
そのサイトの存在意義ってなんですか?
とも思ってしまいます。
少し調べたらすぐにわかる間違った情報を拡散するというのは、悪影響を拡散している事になるし、発信元のこのサイトの信頼度にも影響すると思うのですが、どうなのでしょうか??
 
こんな感じで、無責任にテキトーな情報を垂れ流してくる場合も有るので、皆さんも賢く情報を判断・精査出来るようになって欲しいなと思います。
 
今回は、ここまで。