糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

情報に飛びつく前に一度精査しよう

前回からの続きです。
ポップコーンを食べて10kg痩せたという話がありました。
 
この話を見ての感想ですが、
 
普段やこれまでの食事・生活習慣の話が全く見えない。
同時にポップコーンを食べてから毎食の食事量が減ったという部分がどれくらいなのかがわからない。
ポップコーンの消費量がわからない(1日にどれだけ食べた?)
実施者の体格や年齢等がわからない
 
という感じで「全く数字に関するデータが出てこない」という感じの印象を受けました。
全て著者の主観だけで話が展開していき、「体重が1.5カ月で10kg痩せた」という数値(データ)だけしか存在しない内容です。
特にこの期間の映像もないため「本当にこの内容で実践していたのかな?」と感じてしまうという「ポジティブな視点」での所感を記載したのが前回までです。
 
では、ネガティブ視点で話をします。
 
まずは「この体重データは、本当に自分だけのものなのか?」という事です。
もっと言うと「最初と最後のデータは別人のものではないか?」という事です。
途中部分がバッサリと切れているため、別人の体重データが計測されている可能性があります。
前者は友人、後者は本人という感じです。
 
こういった置き換え(?)はよくあります。
ダイエット食品や酵素ドリンクを飲んで痩せたという「使用前」「使用後」の比較写真ですけど、これも必ずしも「時系列を正直に示している」訳ではないです。
痩せている人が太った結果を写真に残し、その時系列を入れ替えて、さも痩せたという感じのイメージを植え付ける事はよくあります。
美容整形とかでも同じですね。
全く別人の画像を使って「こんなにキレイになるんですよ」という印象操作を与えるやり方です。
また、体重の捏造も考えられます。
前もって重い荷物を抱えて体重を上乗せするやり方もあります。
例えば10kgの米袋を抱えたまま体重を計測します。
そして、1カ月後に計測する時は普通に乗ります。
そしたら、自身の体重が1カ月前から80kgで変化が無かったとしても、米袋の分がマイナスになるので、データ上ではマイナス10kgの結果となります。
本人の姿がわからないので、そして途中経過のデータがスッポリと抜けているので、こういった見方も出来るんですね。
 
あとは本当に「何も生活習慣が変化しなかったのか?」とか、「ここに記載してないもの以外の事をしてないか?」という部分であったりしますし、別の視点では「これまで、どれくらいの期間95キロ前後をウロウロしていたか?」という部分も気になります。
人間の身体は可能な限り大きく変化を与えないようにしていきます。
「恒常性」という考えですが、一気に変化せず、緩やかにバランスを取りながら身体は変わっていくという感じでイメージしていただいて大丈夫です。
肌のたるみもですが、一日で一気にたるみません。
少しずつ重力等による影響を受け続け、より「たるみやすい食生活」をしていたら徐々に変化していきます。
食事でも夜にドカ食いしたら簡単に翌日の体重は1~2kgとか増えますが、普段の食生活にしたら体重はもとに戻りやすいという感じのものです。
同様に、短期間でもともと85kgの人が体重を増やして95kgにしたというのであれば、もとの85kgには比較的戻しやすいという事です。
逆に95kgという体重を10年とか長期にわたって維持している人というのは、痩せにくいです。
身体が95kgで慣れているので、結構な感じのストイックさであったり、思い切った方向転換をしないと身体は変化していきません。
ポップコーンを取り入れるという事で、憶測ですがこれまでの「糖質たっぷりかつ脂質も多い」食事からの変化が生まれます。
このギャップが大きければ大きいほど、身体は反応・変化しやすくなっていきます。
「体を95kgの体重でキープする食事内容」と、「体を85kgの体重でキープする食事内容」は異なるからです。
 
簡単に言ってしまうと、ポップコーンでもきゅうりでも何でもいいのですが、食事内容が「85kgの体重を維持しやすい食事」に変わっただけだという話です。
人間には「標準体重」というものがあります。
身長を基準にしますが、これくらいの身長であれば、これくらいの体重が普通だよねという感じのものです。
身長が175㎝だったら67kgくらいが標準体重(BMIで言えば22前後)となります。
この著者の身長は知りませんが、標準体重から大きくかけ離れていると思います。
こういう人は、食事内容を変えただけでもともとすぐに変化が生まれやすいです。
 
仮に身長が同じで体重が
①150kgの人
②100kgの人
③60kgの人
④45kgの人
の4人で、体重を10kg落とすとします。
難易度が低いのは150kgの人で、高いのが45kgの人というのは想像しやすいと思います。
①の人は、間食をしなくなるだけで簡単に落とせると思います。
ですが④の人は体脂肪率を落とし、かつ筋肉も削らないと達成できないと思います。
下手したら生命維持に大きな影響を与える事すら起こり得ます。

という感じの視点で見ているので、この「ポップコーンダイエット」に関しては、私は「参考程度」だなと考えます。
またやけに「食事内容等の詳細な話以上にポップコーンメーカーについての詳細や画像がいっぱい並んでいる」事実もあるので、ただのステマではないかなとも感じています。
実施する事に否定はしませんが、検証内容がハッキリしないのであまりおススメするようなダイエット方法ではないですね。
一つだけ言えるのは、甘いフレーバーたっぷりのポップコーンよりは、このポップコーンメーカーで作ったものの方が身体に与えるネガティブな影響は「比較的小さい」という事だと考えます。
私は積極的には勧めない方法論ですが、気になる方はやってみて下さい。
そして、その検証結果を教えていただけると喜びます。
 
という訳で以上です。
 
明けましておめでとうございます。
今年も良ければお付き合い下さいませ。