糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

「詳細な前提」と「根拠となる言葉」が欲しい

皆さん、こんにちは。

前回の続きです。
 

①フルーツを推奨している理由は、単純に“カラダに良いから”です。
②カラダに良い食べ物かどうかの基準は、5日間毎日その食材だけお腹いっぱいになるまで食べ続けることが出来るか?です。
③お腹が空くとかは抜きにして、フルーツなら可能ですよね?
野菜サラダも可能ですが、これが炭水化物やお肉、お魚、スイーツならどうでしょう?
④5日間連続で食べることは可能かもしれませんが、お腹いっぱいになるまで食べられるでしょうか?
⑤仮に、1000000000000歩譲って食べられたとしても、5日後には確実に精神的、肉体的な病気になっています。
⑥しかしフルーツなら5日間、毎日お腹いっぱいになるまで食べても病気になるどころか健康になりますし、お腹いっぱい食べているのに2キロくらい痩せることも出来ます。
そう考えてみると、フルーツがいかにカラダに良いか、お分かりいただけるのではないでしょうか?

 

 
このような文章で「いかにフルーツがカラダに良いのか?」という解説・アピールをしているのですが、皆さんはどのように感じましたか?
私の感想としては「何言ってんのか、さっぱり伝わってこない」というものだったのですが、なぜそのように感じたかを今回は話していきたいと思います。
すでに①~⑥までの番号をつけていますが、順番に解説したいと思います。
 
①:これはこの文章の主題・見出し部分なので、特に何も感じないです。
テーマとして「フルーツの話がしたいんだな?」「フルーツが良いものとしてアピールしたいんだな」と思いました。
 
②:ここからすでに雲行きが怪しくなってきています。
「5日間毎日その食材だけでお腹いっぱいになるまで食べ続ける事が出来るか?という基準」に、なにか科学的な根拠があるのでしょうか?
持論を展開するためだけの一般論のようにみせかけた、ただの主観にしか思えないです。
5日間でないとダメなのでしょうか?3日では?1週間では?1カ月では?どうなのでしょうか?
なぜ「その食材だけ」という縛りがあるのかも不思議です。
 
③:「お腹が空くとかは抜きにして」というのもよく分からないルールです。
 
お腹が空くから食べるのではないかと思うのですが、どういう状態をキープし続けるのでしょうか?
古代ローマ人のように寝ながら食べて、吐いても食うような感じなのでしょうか?
つねに空腹を感じない状態でという事なのでしょうか?
 
野菜サラダは食べ続ける事が可能であると主張していますが、「サラダ」という調理法じゃないとダメなのでしょうか?
例えば野菜炒めとか煮物とかはダメなのでしょうか?
他にもサラダには、ポテトサラダとかマカロニサラダとか、たっぷり豆ときゅうりのサラダとか、クルトンとかチーズがたっぷり入ったシーザーサラダとか、コーンたっぷりのサラダとか、カリカリ梅と豆腐を混ぜ込んだ和風サラダとか、クルミやピーナッツを混ぜ込んだサラダとかもありますが、どこまでが範囲なのでしょうか?
トッピング程度に干しエビやじゃこを乗せたりしているものも「野菜サラダ」とされてますが、それはダメなのでしょうか?
 
次に「炭水化物・肉・魚・スイーツでは無理」だと話しています。
当然ですが、フルーツの範囲としては様々な種類があります。
イカ・メロン・みかん・マンゴー・ブドウ・・・等々。(あ、スイカは野菜だった)
特定の種類(例えばオレンジだけという単品縛り)だけですごすのではないので、色々な味覚を得る事が出来るので、確かに5日間でも行けるとは思います。
ちなみに、あるサイトでは野菜と果物の分類を以下のように紹介されています。
 
農林水産省によると、野菜と果物の分類にはっきりとした定義はありません。生産や流通などそれぞれのラインによって、決め方が異なってしまいます。
(中略)
野菜の特性
1. 田畑で栽培されているもの
2. 主食ではなく、副食物として食べられるもの
3. こんにゃくのように加工することを前提としないもの(漬物のように原料の形がはっきり残っているものは含まない)
4. 一年生草本類と言われ、種子から発芽し、生長して花が咲き、実ができて、種子を残し枯れるまでの期間が一年以内の植物から収穫される果実
果物の特性
1. 永年生作物と言われ、一度植え付けておけば、数年にわたって毎年収穫ができるもの
2. 木本性の樹木から収穫される果実

 

同様に考えるのであれば肉にも「牛・豚・鶏・馬・羊・鹿・イノシシ・鴨・鯨等」がありますし、魚でも「サバ・イワシ・サケ・ブリと言った魚類」や「カニ・雲丹・エビ・サザエ・アサリを含めた魚介類」とも分類されます。
 
一言に肉・魚といっても結構な数の種類があります。
調理方法としても焼く・煮込む・蒸すとか、馬なら馬刺しのような事も出来ますし、魚介類でも同様です。
5日どころでなく、それ以上の期間続ける事は可能だと私は感じます。(記載は無いですが卵はダメなのでしょうか?)
私自身はフルーツもスイーツも普段から食べないですし、甘い物を食べるとコンディションを崩しやすいので、基本的に食べないです。
5日どころか1食目で気分が悪くなったり嫌になると思います。
 
最後に「炭水化物」についてですが、細かく言うと「糖質+食物繊維」の事なんですよね。
以前までにも話をしてきましたが、3大栄養素での分類で言えば、脂質・たんぱく質・炭水化物に別れます。
肉・魚といったものは、たんぱく質と脂質でほぼ出来ています。
炭水化物は「糖質+食物繊維」なので、スイーツ(甘いお菓子:小麦粉と玉子と砂糖が多い?)が該当すると思います。
恐らく、この文章の著者は「米とか麦といった穀類を中心としたもの」を炭水化物と言いたかったのかもしれませんが、フルーツって「糖質+食物繊維」なので炭水化物に分類されるんですよね。
なぜ「肉」とか「魚」という分類を使っていて、「穀類(豆類も?)」といった分類ではなく「炭水化物」と分類したのか?
さらに言うと、野菜も「糖質+食物繊維」なので「炭水化物」です。
基準・軸となる部分がめちゃくちゃに感じます。
 
で、これで終わってもいいのですが、食品の分類には他にもあるので著者の考えを慮ってみたいと思います。

例えば六つの基礎食品という分類があるようです。
 

厚生省(現:厚生労働省)が策定した6つの基礎食品とは、含まれている栄養素の特徴によって食品を6つに分類し、それぞれの表の食品を組み合わせて食事を作ることにより、バランスよく栄養を取ることが出来るように工夫されたもの

 

第一類から六つに分けられていて、「魚介・肉・玉子・大豆・加工品」「牛乳・乳製品・魚」「緑黄色野菜」「その他野菜・果物」「米・パン・麺・いも」「油脂」という感じです。
これだとこの著者の分類に当てはまりやすいのかもしれないですね。
 
続いて「食品交換表」という中での分類もあります。

適正な量で栄養バランスのよい献立を立てることができるように、食品交換表というものがあります。食品交換表は、食品を主な栄養素ごとに4群6表に分け、80kcalを1単位として、同じ表内の食品を単位毎に交換できるようにした表です。医師が食事療法の指導の際に患者に渡す、食事指示票に従うことで、1日に必要なエネルギーを適量、栄養バランスを取りながら取ることができます。

 

これも表1から表6までの六つに分かれているんですが、「穀類・イモ・炭水化物の多い野菜と果実、豆(大豆を除く)」「果物」「魚介・肉・チーズ・大豆とその製品」「牛乳と乳製品(チーズを除く)」「油脂・多脂性食品(アボカド・鶏皮・ゴマ・アーモンド等)」「野菜・海藻・キノコ・こんにゃく」という感じの分類です。
ただこれだと、食品の分類はⅠ群からⅣ群へとさらに別れていて、
Ⅰ群「主に炭水化物を含む食品」
Ⅱ群「主にたんぱく質を含む食品の仲間」
Ⅲ群「主に脂質を含む食品の仲間」
Ⅳ群「主にビタミン・ミネラルを含む食品の仲間」
「果物」はⅠ群の中に入り込むんですね。
これだと「果物=炭水化物」になってしまうので、これは該当しないかもしれません。
 
だったら、「六つの基礎食品」での分類の仕方を前提に話をしているという可能性は高まってきたかなと思います。
 
ちょっと横道にそれましたが、私がこの文章を初めてみた時、③の時点でかなりのネガティブな感情を抱き始めたのは事実です。
 
書いているうちに楽しくなってきて、凄く長くなってしまいました(笑)。
次でまとめます。
次回の内容が尻すぼみになったらごめんなさい。