糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

おならの臭さは肉だけが原因ではないです

前回の続きです。

大腸でウェルシュ菌などによって分解される時に腐敗し、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、インドールスカトールなどのガスが大量に発生し、臭いの強いガスが発生する

 

という所から触れていきます。
くさい臭いというのは、結構イオウが絡んでいます。
微生物がこういった食物のカスであったりその他であったり、食物に限らず、ゴミとか死骸とかを分解する時の状態に変わりますが、酸素を使う好気性微生物と酸素を使わない嫌気性微生物に分類されます。
酸素の供給を受ける事が出来る所では好気性微生物が優位に働くし、供給を受ける事が出来なければ嫌気性微生物が働きます。
この嫌気性微生物が活発に働くと臭いが発生しやすくなります。
食物に含まれている元素は、炭素(C)・窒素(N)・酸素(O)・水素(H)・硫黄(S)等々。
これが好気性微生物が優位に働く酸素があると、
炭素はCO2(二酸化炭素
窒素はNO3-(硝酸イオン)
硫黄はSO3(硫酸イオン)
という感じで、ほとんど臭いはしないものに変化します。
ですが、酸素が無い状態で嫌気性微生物が優位に働くと、酸素の代わりに水素がくっつきます。
炭素はCH4(メタン)
窒素はNH4+(アンモニウムイオン)
硫黄はSH2(硫化水素
という感じで、メタンはともかくアンモニウム硫化水素は臭いが強めのものとなります。
腸管内は当然酸素はありません。
その結果嫌気性微生物が働き水素と結びつくのでおならが臭くなるという事になります。
 
食物を食べると必ず元素を取り入れる事になります。
前回の話にも繋がるのですが、肉やネギ類というのは硫黄分が多い食物であります。
硫黄を含まない(または微量)のであれば、臭いの元であるアンモニウムが生まれやすくなり、硫黄を含むものであれば、硫化水素アンモニウムが生まれやすくなります。
焼肉でニンニクたっぷりのものを食べたりすると、おならが臭くなるというのはこういう事です。
 
さて、前回少し触れたのですが、たんぱく質には含硫アミノ酸であるメチオニンシステインという必須アミノ酸が含まれているものがあります。
 
ここで謝罪です。
システイン必須アミノ酸ではありませんでした。
正しくは「準」必須アミノ酸でした。申し訳ありません。
 
肉に限らず、魚・玉子と言ったものはアミノ酸スコアが100で最高値なのですが、魚介類であるイカ(種類によりスコア100~80程度)やアサリ(スコア81)、クルマエビ(スコア74)という感じです。
ちなみに精白米はスコア65、中力粉はスコア44です。
色々と例を挙げましたが、必須アミノ酸なので、必ず食べる方が良いというか、効率良く栄養を取り込むためには避けることが出来ない栄養素になります。
逆に、タマネギ・ニンニク・アスパラであったりというものは、アミノ酸スコアも低いものなので、食べる事を避ける事も出来ます。
 
 
ふと思い出しましたが、以前誰かがツイッターで呟いていましたが「肉を食べたらおならが臭くなった」というのは、こういった事が影響で起きたのではないかと感じます。
 
ヒトは食べないと生きていけません。
ですが、食べ物にはイオウがほぼ含まれています。
おならの臭いが気になるというのであれば、簡単に言ってしまえばイオウ成分が少ないものを食べれば抑える可能性は上昇するという事になるのですが、これだと必要な栄養素が不足しやすいし、体調に変化を与えやすいと感じます。
ちなみに脂質には硫黄は含まれてないです。
 
という訳で、臭い(より強いイオウ成分)を避ければ理論上は臭いのレベルは下げる事が出来ると思います。
食事でモデル化するならば、脂質多め+必要最低限のたんぱく質という食事という事でしょうか?
とりあえず炭水化物はガス発生そのものに繋がるので避ける方が良いという感じです。
エネルギーは脂質で十分に摂る事が出来るので、糖質の経口摂取はほぼなくても不足する事は無いです。
 
現実的に言う(少しずつ始める?)のであれば、タンパク源である肉・魚等は食べないと健康を維持しにくくなるので、硫黄成分の少ないものを選んで食べるか、食べないという事を選択して様子をみるというのも、一つの選択ではないでしょうか?
少なくとも、多く含む野菜類、例えばニンニク・アスパラガス・玉ねぎといったネギ類には「硫化アリル」が含まれるので、それを避ける事から始めてもいいのかなとも感じます。
 
あくまでも情報の一つであり、ご提案でもあります。
こんな考え方も出来るのだという気付きになればと思います。
 
とりあえず今回のテーマは以上です。