糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

キヌアって身近なものなんですか?

 
前回の続きです。
さて、今回は「キヌア」について触れていきたいと思います。
「スーパーフードと言えばキヌアが挙げられることが多い」とありますが、そうなのでしょうか?
まずは「スーパーフードって何?」という所から触れたいと思います。
スーパーフードの始まりは1980年代頃のアメリカやカナダで、食事療法を研究する医師や専門家の間で、有効成分を突出して多く含む食品に対して「スーパーフード」という言葉が使われはじめました。
定義ですが、提唱者によって若干異なるようです。

「「健康によい栄養分を豊富に含みながら、多くは低カロリーである食品」と定義」したものや、
「単に栄養面ですぐれているというだけでなく、ある特定の有効成分の含有量が飛び抜けて高いもの、ごく少量で栄養・健康成分を効率的にとれるものこそ「スーパーフード」という見解」を示したものという感じからスタートしたようです。

 

「スーパーフードとは、はっきりと特定の食品を定義したものではなく「一般の食品よりビタミン、ミネラル、クロロフィルアミノ酸といった必須栄養素や健康成分を多く含む、おもに植物由来の食品」という大前提」という事のようです。
定義としては
栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品であること。
あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品であること。
一般的な食品とサプリメントの中間にくるような存在で、料理の食材としての用途と健康食品としての用途をあわせもつ。

 

プライマリースーパーフード10
スーパーフードの発祥の地であるアメリカ・カナダで、スーパーフードを代表するものとして認知されているもので、日本スーパーフード協会がとくに重要と考えて、優先的に国内で推奨するスーパーフード。
スピルリナ ・マカ ・クコの実(ゴジベリー) ・カカオ ・チアシード ・ココナッツ ・アサイー ・カムカム ・ブロッコリースーパースプラウト ・麻の実(ヘンプ

 

簡単に言うと、
 
「植物性」のもので、栄養価が高くて古くから人々に食べられ、安全性も高く健康に寄与してきた食品
といった感じでしょうか?
私は以前からスーパーフードとかの紹介で、なぜ動物性のものが含まれていないのかが不思議でしたが、ようやく謎が解けました。
 
そして基準は、アメリカの医師の著書から始まり、低温調理法の有名な人(?)が持論を展開するために用いた方法で、アメリカ・カナダ・日本が追随しているという感じでしょうか?
最初の引用で、「スーパーフードといえばキヌアが・・・」とアピールしているのですが、特に重要と考えられる10品目の中に入ってないですね。
私だったらこの中でならブロッコリースプラウトアサイースピルリナが浮かびます
それでは文章を引用していきます。
体が必要とする9種類の必須アミノ酸すべてを含む、植物性の"完璧な"タンパク質がたっぷり摂れるんです。
消化を助ける食物繊維もしっかり摂取でき、鉄、マグネシウム、カルシウム、カリウム葉酸などさまざまな栄養が含まれるマルチビタミン食材です。夕食のおかずとして、お肉の代わりにキヌアを使ってピーマンのキヌア詰めなどを作るのもおすすめです。

 

という事のようです。
今回は2点取り上げます。
 
まず「植物性の"完璧な"タンパク質がたっぷり摂れる」という表現がよくわからないのですが、完璧な植物性のタンパク質って、何でしょうか?
 
必須アミノ酸を全て含んだら「完璧なタンパク質」になるのでしょうか?
必須アミノ酸の話をするのであれば、「アミノ酸スコア」という基準があります。
アミノ酸スコアは、食品中の必須アミノ酸の含有比率を評価するための数値で、100が最高値となっています。
その最高値となっている食材は、基本的には動物性のものが多く、鶏・豚・牛肉、鶏卵、アジ・サケといった所が100に該当します。
植物性のものでは、唯一「大豆」が100となっています。
で、このキヌアのアミノ酸スコアは75のようです。
ちなみに大豆にもタンパク質をはじめ、脂質、糖質、ビタミンB1、ビタミンE、葉酸カリウムマグネシウム、カルシウム、リン、鉄、亜鉛、銅など、栄養素の種類が豊富に含まれています。
より高いアミノ酸スコアを持っていて、加工品も豆腐・厚揚げ・豆乳・がんも等々、数多くの種類が生まれているものがあり、歴史的にも日本で長く親しまれているものを差し置いて、アミノ酸スコアも低いキヌアが良いとするのは、いかがなものか?と考えます。
 
「消化を助ける食物繊維もしっかり摂取」というのもおかしな表現です。
食物繊維は消化出来ません。
そして、食物繊維と一緒に摂ると「腹持ちがよい」のではないでしょうか?

食事で口から入ったものはまず胃に入りその後小腸へと移動します。そのとき食物繊維が十分にあると、食べたものが胃や小腸に存在する消化酵素に触れにくくなるので、消化・吸収がゆっくり進みます。
さらに小腸では、主に水溶性の食物繊維が食物中のコレステロールブドウ糖の吸収を抑えることが知られています。

 

代表して引用しましたが、他の多くサイトでは、食物繊維を一緒に食べると消化吸収を遅らせるという話をしています。
そのため、血糖値ですら「ゆるやかに」上昇させたりするとしています。
食物繊維が消化吸収を遅らせる働きをしているのに、なぜ「消化を助ける」としているのでしょうか?
消化を助けるというのであれば、消化にかかる時間を短くするという事ではないのでしょうか?
 
真逆の話をしています。
 
文章の後半では肉詰めピーマンからキヌアを詰め込むように変えたらと紹介しているのですが、なぜあえてこのような置き換えを提案しているのでしょうか?
 
まず「鉄」ですが、植物性のものより動物性の方がより吸収力が高いです。
以前は3倍くらい違うと表記しましたが、訂正です。
5~6倍も高いが正解でした。
これ程高い吸収率を持っています。
アミノ酸スコアも当然肉の方が高いです。
 
牛肉とキヌアを比較して、キヌアが優位なのは食物繊維の他に葉酸があると思いますが、ピーマンで摂れています。
気になるなら牛肉にレバーを混ぜ込んだらいいと思います。
なぜあえて「肉詰めピーマン」を例に出したのでしょうか?
そして、なぜ「動物性」から「植物性」に置き換えを推奨したのでしょうか?
そんなに使いたいなら「キヌアをミンチの中に混ぜ込む」という紹介の選択肢もあるはずです。
サラダや煮物にトッピングしたりするのも良いと思います。
プラスαで十分活躍するのが「スーパーフード」ではないのでしょうか?
わざわざ栄養価の低いキヌアを牛肉から置き換えたら、効率良く健康になれるどころか、栄養不足のリスクが高まるだけではないのでしょうか?
 
何かしらの意図を感じてしまうのですが、邪推でしょうか?
キヌア自体を悪いとは言いませんが、このサイトの著者のアプローチに何かしらの意図が絡んでるのではないかと感じて、このブログを書きました。
 
ちなみにキヌアの売価は安価であれば100gあたり100円程度のようです。
海外では一般的のようですが、皆様は使われているでしょうか?
 
今回はここまで。
続きます。