糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

便が黒くなる理由として見過ごされている部分

前回はちょっと横道にそれた感がしたりしなかったりしますが、引き続き引用元をいじっていきたいと思います。
 
さて、私がこの記事をみて色々な所が気になったのですが、その中の一つに
「栄養が多いと濃い色、逆に足りないと色は薄くなります」
という引用している図説部分の解説があります。
「栄養が多い少ない」の話のようですが、何の栄養なのかについては全く触れてないです。
(出典元がkarada-navi.comとあって辿ったのですが、よく分からない所に飛んでいきました)
 
便の話ですが、構成されている割合は多くが水分で残りが腸内細菌・腸粘膜(細胞)・食べかす等です。
栄養というのは「食べかす部分」での話なのでしょうか?「水分以外の部分全て」での話なのでしょうか?
そして栄養が「足りないと色は薄くなる」とあるのですが、過不足ない栄養を含む便って、一体何でしょうか??
という部分が気になりました。
 
そのキーワードから私がイメージしたのは「食糞」という言葉です。
 
糞便というのは肥料になります。
昔は「肥溜め」という言葉があるように人糞をあつめて熟成する場所がありました。
江戸時代には、一般の人からでも便を集められていて、栄養状態のよい階層(大名クラス)から出された人糞は高値で引き取られたりしていました。
長屋に住んでいた人は共同便所を使っていたので、これで糞便が町にあふれず100万人都市を形成するまでに成長する事が出来た理由の一つです。
中世ヨーロッパでは溜まった糞尿を窓から投げ捨てるような習慣があり、そこからペストのような伝染病が発生し、多くの病死者が生まれたりしました。
糞便を踏まないようにハイヒールが生まれたりしたのですが、それはまた別の話ですね。
話を戻して食糞に触れます。
犬が自分自身の糞を食べる事があります。
栄養補給目的でなく空腹・ストレス・玩具感覚らしいのですが、ただ病気リスクも上がるためしないように躾をする必要があります。
ただウサギのような一部の動物に関しては食糞を行なう事で必要な栄養素を得る事が出来るため、他の動物と同じように食糞をやめさせるのは虐待行為に繋がるようです。
 
当然ですが、人間には食糞習慣は一部を除いてないです。
細菌感染や寄生虫寄生リスクが上昇するし、肥溜めも肥料化するのにコストがかかるし手軽に化学肥料を入手できるため、日本でほとんど見られなくなりました。
で、あらためて確認したいのですが、何の栄養が多いと濃い色になるんでしょうか??
 
私が思い当たるのが「鉄分」です。
 
「鉄分」の吸収率は悪いです。

食事中にはヘム鉄と非ヘム鉄とが含まれています。ヘム鉄は肉や魚に多く含まれ、非ヘム鉄は穀類、緑黄色
野菜、海草に多く含まれています。ヘム鉄の吸収率が 15~25%であるのに対し、非ヘム鉄の吸収率は 2~5%と
吸収が不良です。

 

例えば豚レバーには100gあたり13.0mgの鉄が含まれているのですが、吸収率は1.95~3.25㎎程度で残り10㎎程度は糞便と一緒に体外に排出される事になります。
野菜だと小松菜が含有量の上位に位置するのですが、100gあたり2.1㎎の鉄が含まれますが、0.042~0.105㎎程度しか吸収されず、残りは同様に糞便と排出されます。
 
鉄分が多ければ多いほど便の色が黒くなるのは、引用先にもあるように事実です。
逆に言えば、鉄分が多いものを食べなければ色が薄くなりやすくなるので、明るい色である山吹色のような色に繋がるのではないかと考える訳です。
「栄養」って、これの事ですかね??
 
そして、もう一つは腸管内の通過スピードです。
それについては長くなったので、次回にします。