糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

再現性がしやすいほど結果も表面に出てきやすい

皆さん、こんにちは。
 
前回からの続きで、いくら免責事項として「責任は負わない」という言葉を用いるのは悪い事ではないが、言いっぱなしで終わらせるのは無責任であるという話をしてきました。
誰かしらが実施した内容で特定の結果が出たとします。
その実施した内容がどんなものなのかを掘り下げて話をしないと、なかなか話の受け手が実践しても同じ結果(再現性の実現)を得るのは難しいと思います。
 
例えばですが、
あるボディビルダー(芸人?)がユーチューブ上で「誰にでもできる簡単なダイエットの方法」と題して公開していました。
内容は食べ過ぎによるポッコリおなかが
①1日2時間の厳しい筋トレを週に5〜6回
②徹底した厳しい食事管理
をすれば、簡単にムキムキボディになれる
という事のようです。
厳しい筋トレなのでライザップの比ではないくらいです。
ちなみにライザップでは基本「1回あたり50分のトレーニングを週2回」行ない、あとは自主トレという感じ程度のようです。
それ以上に内容たっぷりの筋トレを行って、食事管理を徹底する事を週単位ですれば、誰にでもできる簡単なダイエット方法となるそうです。

別の例です。
食事制限一切なしでガチでやせる方法として紹介しているものがあります。
1カ月半でマイナス4.8kgを落としたというもので、元モデルとして活躍していた人の方法論です。
身長までは確認してませんが、体重45.6kgから落としたそうです。
注意書きとして「情報発信者を参考にせず、自分のベスト体重は自分で探って欲しい」という事が記載されていました。
食事制限はほぼしなかったが、カロリーは低いものを食べていたとの事。
で実施した内容というのが、自身の基礎代謝量が1030キロカロリー程度という事なので、それ未満のカロリーしか摂取しないで運動・筋トレをすれば、すぐに体重は落ちますよと話をしています。

この2例は極端な例かもしれませんが、この極端なものに感じるかもしれない内容を「誰でも簡単にできるダイエット方法」として情報発信者は紹介しています。
自分が出来るから、あなたも出来るでしょ?という感じで話をしているのだと感じますが、これって共感を得られるのでしょうか?
掘り下げると、後者では食事制限はほぼしてないというにもかかわらず、カロリー制限はしているのですが、これって「カロリーを抑制する」という食事制限だと私は捉えるので、嘘(変なロジック)を発信しているように感じます。
例えばポテチを食べたいとして「うすしお」と「コンソメパンチ」だったらカロリーが低い方を選ぶというのが食事制限だとしているのかもしれませんね。
 
しらんけど。
 
さて、この2例では「共感を得られにくい」としましたが、これが「再現性がない」とするような内容です。
理論的には可能であるとは思いますが、これまでに何も身体に気を使った事が無い人が始めたところで、気軽に実践して結果に繋がる「再現性がある」とは言いづらい内容ではないかと感じます。
 
上記の2例の提唱者も、はじめは一歩ずつ進めていたと思います。
そこから少しずつ歩幅を広げていって、他の人からみたら「凄い」という所まで進んでしまっている状態であると感じます。
本人にとってはそれが「普通」であるため、糖質制限実践者が勧める方法として「ご飯や甘い物を食べなきゃいいじゃん」とか、食事指導でよくある「間食はやめてカロリーを抑えた食事をして、お腹が空いたならカロリーの少ない野菜やキノコを多く食べればいいじゃん」という発想に繋がりやすいと思います。
 
情報の受け手が実践する方法で、日常にプラスαをする事で変化が起きるのですが、プラスαの内容が僅かな事(労力の小さい事)で、より効率良いもので目に見えてより良い変化が生まれるのであれば、人はその方法に飛びつきます。
その、より良い変化が実際の身体の見違えるような変化であっても、「これさえやればダイエットに繋がって健康になれるんだ」というイメージ・プラシーボ効果であったとしても、どちらでも構わないのです。
健康食品で「酵素ダイエット」とか「青汁」といったもので「健康になれる」と思って購入する人が後を絶たないのでも分かると思います。
酵素のカプセルや青汁を飲む「だけ」で、テレビショッピングやネットで紹介されているような「健康」や「病状の改善」が得られる訳がないのにです。
 
健康食品に対してこのようなネガティブな表現をするのは、私自身が「健康食品は良いと言われているものを濃縮したもの」でしかなく、得られるものは「プラシーボ効果」程度であると考えているからです。
健康食品食べて健康になれるんだったら、普段の食事を大きく変える方が、より大きな変化を手に入れる事が出来やすくなるんですけどね。
 
人間は減らす事であったり大きな変化を求めず、現状にプラスするような方法を選択しがちです。
これは良い悪いではなく、人間の習性としてあるものです。
 
少し長くなってきたので、次回に続けます。
終わらんかったなぁ。