新年早々の残念な話
糖質制限食は、結構誤解を受けやすい食事法です。
簡単に言えば、
糖質を0にすればいい。
肉だったら太らないから、お腹がはちきれんばかりに食べてもOK
というような事です。
人は分かりやすさを求めるから仕方がない部分もあるのですが、チャレンジしただけまだ良いと感じます。
これがルールではありません。
糖質摂取量の上限設定はされていますし、たんぱく質が大きな栄養源ではいけないからです。
うまくいかない人は、特定のキーワードに過剰に反応して、全体のバランスが乱れている場合がほとんどです。
一番厄介なのは、実際に検証もせずに、持論を展開するために都合の良さそうな資料を持ち出して相手を否定する方法をとる人たちです。
元日早朝、このような記事が掲載されました。
全体的には、母体がエネルギー不足だと、胎児に悪影響を与えやすいという内容です。
その根拠としてイギリスの論文が引用されています。
英国のサウサンプトンで母子に対して行われた研究では、妊娠初期の炭水化物摂取量と、生まれた子どもが6歳、9歳のときの体脂肪量の関係が調べられました。
その結果、母親の炭水化物の1日の摂取量が少なかったケースほど、子どもの体脂肪量が多くなる傾向がはっきりしたのです。
つまり、妊娠初期に糖質を制限し過ぎると、子どもの肥満につながる可能性が指摘されました。
というものです。
ここだけ切り取ると、
「炭水化物の摂取は大事なんだ。ご飯(穀類)をしっかり食べなきゃ。」
と思うかもしれませんし、それが狙いだと思います。
ただ、前回も投稿した通り、「数字についてのデータが全く掲載されていない」事が問題です。
炭水化物摂取量を制限したとありますが、どのように制限したのでしょうか?
この論文では、
261.5グラム/日未満
297.5グラム/日未満
351.0グラム/日未満
351.0グラム/日以上
の4つのグループに分けています。
ご飯1杯(160g)で、炭水化物量59.2gです。(糖質量は58.8g)
これにあてはめると、
最低値の261.5gのグループでは、4.4杯分未満
最高値の351.0gのグループでは、5.9杯分以上
の人が対象となります。
糖質制限食では、基準のひとつとして、一日の糖質摂取量を130g以下としています。
倍以上の糖質を摂っています。
そして、最低値でも、普段の食事と同等ぐらいではないでしょうか?
糖質制限食でも、何でもないのです。
一般的な食事内容だと思われます。
このデータを基にして、
「糖質制限は危険であり、将来生活習慣病になりやすい子を産むことに繋がる」
と発言しているのです。
しかも、このデータは糖質制限食に関する検証結果ではないです。
全く別の事を調べており、しかも仮説だと結論付けています。
なぜこのような理論で持論を展開したかは分かりませんが、早稲田大学ナノ・ライフという研究機関に所属されているというのであれば、もっと発言に責任を持ってほしい物だと感じます。
高名な方が、このような中途半端な理論を論拠に歪められた事実を発信しているという事実は、残念でなりません。