糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

なぜ肉を食べると胸やけを起こすのか

とりあえず、今回で結びたいと思います。

 

前回、改めて探していましたが、やっぱり見つけきれませんでした。

それで、その件に言及しているサイトを見つけたのですが、消化の良し悪しには医学的な基準が無く、肉食は消化が悪く腸内で腐るという説はあるようです。

 

消化の最初の部分で転載した、

果物40分
野菜120分(2時間)
米、パスタなどの炭水化物480分(8時間)
肉類720分~1440分(12-24時間)

というようなものは、ベジタリアンが提唱した説らしいです(消化時間の根拠は不明)。


ベジタリアンの主なタンパク質の摂取は、大豆がメインになります。

ちなみに、大豆のアミノ酸価は100です。
牛・豚・鳥肉、卵、牛乳、魚肉も100です(一部例外有)。
一見、大豆も質の良いタンパク質に見えます(アミノ酸スコアは100ですから)。
でもこれは、1985年以降の数値で、1973年では86でした。
なぜかというと、73年当時、メチオニンの基準値がとても厳しいもので、かつ、大豆の制限アミノ酸(と言って良かったか?一番少ない必須アミノ酸の事です)
がそのメチオニンでした。
でも、見直しにより、220mgから160mgとなり、大豆もそれを満たして、スコアが100となりました。

スコアが100だから大豆は凄いという人もいますが、その基準を下げる事を必要とせずにアミノ酸スコアが100の食材はありました。
それまでスコアが100だった食材は、大豆と同等と言えるのでしょうか?
最高値が100なので、そのグループに滑り込みましたが、内容は大豆以外のスコアが100の方が質が高いのは変わらないです。

大豆のアミノ酸スコアは100だ。だから優れた食べ物だ(牛肉や卵と比べても同等以上だ)という理論をかざす人は少なくないようですが、その考え方には疑問を抱きます。

 

「肉や油を食べると、気持ちが悪くなる」

 

という人を聞いたことはありますし、実感している人もいると思います。

それには理由があり、好き嫌いの話でも、加齢により肉を受け付けなくなったという事でもないです。

 

胃が、長年過剰な糖質により劣化してしまい、不快感を与えてしまう、「糖化」という状態にあるという事です。

 

これは決定的なタンパク質不足が招くことで、消化酵素の分泌量が低下し、消化不良を起こしているのです。
胃はタンパク質で出来ています。ダメージを受けたら、修復するのにも、タンパク質が必要です。
タンパク質の摂取が十分でないと、修復できず糖化してしまいます。

逆に、しっかりタンパク質を与えていけば、糖化は改善します。

 

糖化した胃は、正常であれば消化不良の原因となる糖質には不快感を示さなくなり、逆にタンパク質や脂質に不快感を示すようになります。
その状態で肉を食べると気持ち悪くなり、野菜や穀物や甘いものはいくらでも食べられるようになり、「肉は身体に悪い」という感覚を得やすくなってしまいます。

そうなると、さらに肉よりも穀物という事になり、より糖化が進んでしまうという負のスパイラルに陥ってしまうのです。

また、大豆は植物性のタンパク質なので、主にビタミンB12、ビタミンDDHA、ヘム鉄、亜鉛の摂取が含まれてなかったり、吸収が非効率という面もあります。


ちなみに、ベジタリアンの中で、「こんなに筋肉もついていて、とっても健康的です。」という人もいますが、それはベジタリアンという部分だけで作り上げられた肉体ではないです。
その話は、また別の所でお話しします。

 

胃の糖化の過程はともかく、「肉を食べると気持ち悪い(調子が悪い)」という人たちが集まって始めたのが、ベジタリアンという食事方法だという事が考えられやすいのでは?と思います。(決してベジタリアンに悪意を持っている訳ではありませんので、誤解を与えていたら、謝罪させてください。)

 

文頭に記載した消化時間に関しては、嘘ではないのだと思います。ここまで認知されているのですから。
でも、その検証データは、「胃が糖化している人を基にしてつくられた」のではないか?とも感じます。

実際はどういう検証かという文献を調べる事は出来なかったので消化時間の真偽に関しては憶測です。

ですが、今一般的に使われているのをそのまま現場に転用すると、いろいろと誤解が生まれそうなので、参考にしない方が良さそうです。

 

最後に、私の最初の疑問についての回答です。


「ご飯(コメ)を食べると腹持ちがいい」(空腹感を感じにくい)

「ご飯(コメ)は消化に良い」(すぐにエネルギーになる)

これですね。

 

結論は、

コメは血糖値を素早く上昇させるため、すぐにエネルギーになる
コメは消化に悪く、胃に長時間滞留するため、腹持ちが良い

です。
また、「もち」のように、粘度が高くなると、より消化はしづらくなります。
より長く胃にとどまる事になるので、マラソンやトライアスロンの選手の間でもてはやされたのではないかと思います。
現在はナトリウムローディングというのも出てきているようで、どうなのかは様子をみていますが・・・
それに関しては、短距離走のような瞬発力勝負の競技以外は、糖質制限食をおすすめします。

 

その話も、また、別の機会に。