糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

蕎麦ダイエットのメリット部分について

前回からの続きです。

 

ソバの実・蕎麦の種類に言及せずに「ソバを食べればいいじゃない!」というのは、無責任ではないか?という話をしました。

それで、メリットとして主張している

「蕎麦は低GI食品」

「食物繊維が豊富」

という部分に触れようと思いますが、少し前回までの部分で補足があるので、そこから始めようと思います。

 

「ルチンは水溶性なので、蕎麦湯には多く含まれる」という話をしました。

色々なサイトを見ていたら、このように書かれていたのでそれを引用しましたが、どうやらルチンにも種類があり、水溶性のものもあれば、難水溶性のものもあるそうです。

厚生労働省の健康食品素材データベースでは、「水溶性」との記載がありました。

ですが違いは「人工的なものか?天然なものか?」という事のようです。

 

ルチンは食品の酸化防止剤として使われているのですが、天然ルチンだと水に溶けないので使いにくいということで、水に溶けるルチンが開発されたというわけです。

 天然ルチンに糖転移酵素を作用させ糖の分子を人工的にくっつけると、5,000倍も水に溶けやすくなるのだそうです。これが水に溶けるルチンの正体、α-グリコシル-ルチンです。

 今、日本で食品添加物として使われているのは、この水に溶けるα-グリコシルルチンの方なので、厚生労働省はルチンは水溶性だと言っていたわけです。

 

では、実際に蕎麦に含まれるルチンはどうか?というと、それは「天然のルチン」ということになり、茹でても流出しにくいという事になりそうです。

蕎麦湯を飲んだとしても、ルチン成分を摂取出来る量は低いという事になります。

では、「蕎麦湯を飲んでも意味無いの?」という話になるかもしれませんが、私はそうは思いません。

ビタミンB群・ナイアシン・コリン・カリウムが溶け出していると思いますし、なによりも「蕎麦の風味」を感じる事が出来ます。

栄養の観点からも悪くないですし、雰囲気を十分に味わう事が出来、「蕎麦食べた感」というような満足感が大きくなります。(少し抽象的で申し訳ありません)

という事で、蕎麦湯自体は悪いものではないと思います。

「ダイエット」だけに追求するのであれば、また話は変わりますが、飲む事で満足度は上昇すると思います。

「十割蕎麦」という看板を掲げる店であれば、よりその風味は強くなるので、私は積極的に飲むようにしています。

私が蕎麦湯が好きだというのもあるのですが。

 

 

長くなりましたが、冒頭部分のメリットに触れていきます。

 

まず、「食物繊維が豊富」という点についてです。


そばには食物繊維の一種、ヘミセルロースが含まれています。
ヘミセルロースには、腸内の善玉菌を増殖させる働きがあります。
そして腸内環境を整える効能や、便秘の解消に効果があります。
ヘミセルロースは、ごぼうに多く含まれている栄養です。


という事のようです。

便秘については思う所があるのですが、上記のような食物繊維が含まれているようです。

肝心の食物繊維含有量は、100gあたり4.3gとか、だいたい5%という表記があります。

 

それでは、「この数字はどこから来たのか?」という事に触れたいと思います。

 

さて、そもそも蕎麦はどのようにして作られるかという事に触れます。

蕎麦は、基本的には「蕎麦粉」で作られます。

割合によっては、その中に「つなぎ粉」も入ってくるのですが、だいたい一人前100gの粉を使って作られるようです。

十割蕎麦であれば、蕎麦粉100g
二八蕎麦であれば、蕎麦粉80gとつなぎ粉(以下、便宜上「小麦粉」とします)20gといった感じです。

 

蕎麦粉も使う部位によって、栄養価は変わります。

全層紛(ソバの実まるっと)だったら、食物繊維量は4.3gです。
内層紛(更科蕎麦につかう部分)だったら、食物繊維量は1.8gです。

ちなみにJIS規格による基準では、生そば(ボイル前)100gの割合は小麦粉65:蕎麦粉35となってます。
それで計算すると、100gあたり、食物繊維量は2.7gです。

上記の「食物繊維が豊富で、4.3g配合!!(とか、5%配合とか)」とするのは、前提は十割蕎麦のようです。

蕎麦粉の割合が低下するほど、食物繊維量も減少していきます。

 

この内容に、全く触れずに「食物繊維もたっぷり!!」というのは、無責任(以下略)。

ちなみに、小麦粉100gで食物繊維量2.5g、米飯(炊飯前)だと0.5gです。

 


食物繊維が豊富とするのであれば、

 

「蕎麦で食物繊維をとるなら、十割蕎麦が一番!!」

「食物繊維をとるために、蕎麦粉配合割合が多いものを摂取しよう!」

 

という感じの書き方の方が、誤解を与えないと思います。

 

食物繊維に関しては、ここまで。

次は、GI値についての話をします。

この内容は、少し詳しくしないといけませんので、よろしくお付き合いくださいませ。