糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

糖質摂取の「適量」とは、どれくらいの量なのか?

それでは、反対派の意見を取り入れながら、推進派の主張を見直したいと思います。


砂糖は、重要なエネルギー源であり、心身ともに満足感を与えてくれるだけでなく、料理の味付け、嗜好品に使われており、私たちの食習慣を豊かにする重要な食材の一つです。
ところが、何時のころからか「糖尿病の原因になるから」、「砂糖を摂ると太る」といった誤った情報が氾濫し、やみくもに砂糖を控える風潮になってきたようです。
確かに、どのような食品でも摂り方を誤れば、健康に好影響を与えるはずはありません。
砂糖も然りです。
それゆえ、砂糖はもちろんのこと、砂糖を含めた糖質の正しい知識と上手な摂り方を知り、身も心も健康的な生活を送れるようにしたいものです。


基本的に、砂糖推進派(砂糖だけではないですが)基本情報から目を背けようとする時は、数値によるデータや不都合な事実を述べないようにします。
書いてあったとしても、「でも、〇〇というメリットがありますよ」という様な感じで、「大きなリターンがあるから、小さいリスクは気にするな」と言いたげな理論展開をします。

 

大前提ですが、砂糖(糖質)は、糖尿病の原因になりえますし、太る(体重増)原因になります。

これは、誤った情報ではなく事実です。
何でもそうですが、糖質摂取で、リスクは多少にかかわらず必ず生まれます。


次に、糖質摂取は、一日にどれくらいにすればいいのか?という話です。


“ショ糖は等カロリーのでんぷんに比べ血糖をより上昇させることはないので、糖尿病患者にショ糖やショ糖を含む食品を制限する必要はない”といったものでした。
しかし、余分に摂ることは栄養状態のアンバランスになりますが、1日50g程度なら問題が無いわけです。
これはちょうど、和菓子1つ分程度と調味料に使う程度の量に相当します。
すなわち、ショ糖とでんぷんは、血糖値への影響が変わらないので総量を制限する必要はあるが、区別してはいけないという提唱でした。
このことは欧州も同じで、“糖尿病の患者さんに砂糖がいけないなどというあなたは栄養士ではない!”などといった栄養教育を行う側の理解不足を戒める提唱をしています。


「砂糖の1日50gの摂取」というのは、WHOの発表に準じているのだと思われます。


世界保健機関(WHO)は4日、肥満や虫歯を予防するために、砂糖などの糖類を一日に摂取するカロリーの5%未満に抑えるべきだとする新指針を発表した。平均的な成人で25グラム(ティースプーン6杯分)程度。
従来は10%までと推奨していたが、各種の研究結果から基準を引き下げた。
WHOが摂取量の制限を推奨するのは、糖類のうち単糖類と2糖類のショ糖(砂糖)に限る。
主に加工食品や清涼飲料に加えられる砂糖のほか、蜂蜜や果汁飲料などに含まれる。
未加工の青果類や牛乳に含まれる糖分は対象外だ。
新指針では引き続き「10%までを推奨する」としつつも、「5%より低ければ、さらに健康増進効果を得られる」と追加した。

 

普段の食生活の中で、砂糖(単糖類・2糖類のショ糖限定)摂取が、1日50g以下で、さらに低ければ低いほど、健康増進に繋がるという訳です。

普段、高糖質の食事だとしても、低糖質の食事だとしても、追加で摂取する砂糖は50グラム以下/日という事のようです。

よくわからない基準です。

糖質の一日摂取量ではなく、砂糖の摂取を50g以下なら健康に繋がるよという事のようです。

基準がめちゃくちゃです。

これでは、個人差の幅が大きくなって、検証のしようもありませんね。


また、前回までに書きましたが、脳への影響についてです。

 


砂糖は、セロトニンの作用に関係している。
セロトニンは、精神的安定をもたらす神経伝達物質だが、学習能力、記憶能力の向上効果も報告されている。
セロトニンは、脳において必須アミノ酸の一つであるトリプトファンから合成されるが、脳内にトリプトファンが取り込まれる際、ブドウ糖が存在することで、他のアミノ酸より優先的に取り込むことができる。
夜遅くまでの勉強や仕事で疲れた脳のリラックスには、トリプトファンを含む卵や牛乳を使った砂糖入りのホットミルクや、ミルクゼリー、プリンがお勧めである。


不思議な文章です。
セロトニンは、たんぱく質であるトリプトファンから合成されます。
それにより、学習能力・記憶能力の向上に繋がります。
それは良いのですが、
ブドウ糖が存在する事で、他のアミノ酸よりも優先的に取り込む」
事になります。

 

糖質は即効性があるのは知られています。
恐らく、脳へも同じように取り込まれると思います。
そうなると、せっかく学習能力を高めるものがあるにもかかわらず、「優先的に」糖質が取り込まれる事になります。
それは、逆に学習効率を上げるための妨げになっているのではないでしょうか??
それなら、糖質を摂らずに、たんぱく質だけを取り入れた方が、効率が上がるとも言えるのではないでしょうか?

また、糖質たっぷりの食材を「お勧め」としています。

ですが、糖質を摂取する事で、血糖値が上昇します。

それにより血糖値の下降も引き起こし、イライラや不安感、空腹感といった、集中力を乱すような感情・感覚も、食後の強い眠気も生まれます。

糖質を摂取する事で、ダブルで学習効率を低下させているのではないでしょうか?

 

おわりに
近年、砂糖に代わる甘味料が生産、販売されているが、砂糖は、調理性に優れ、また、栄養学的にも重要な食品である。
日本には、和三盆など伝統的な砂糖もあり、食文化的にも意義のある食品である。
砂糖を大量に摂取するのは良くないが、食生活に上手く取り入れることで、心豊かな日々を過ごしたいものである。

 


最後のまとめなので、凄くもっともらしく書いてあります。

確かに、日本の文化は、「米」を中心に栄えてきました。
食文化でも、「いかに米を美味しく食べるか?」に特化したような進化を続けています。
私自身は、この文化を肯定的に捉えてますし、育まれていけば良いと思っています。

 

私が嫌悪感を感じるのは、「事実をベースとして、自分の都合の良い事を捻じ曲げてまでも、自分の利益を優先して相手に押し付けようとする姿」です。
それが相手の不利益につながるのであれば、なおさらです。

 

砂糖の大量摂取はいけないといいますが、WHOでの基準でも、1日50gが目安で、少なければ少ないほどいいとされています。
その話はどこに行ったのでしょうか?

普段の料理に使うだけで、簡単にこの量は超えてしまうのではないでしょうか?

それに加えて、「心の栄養」という、根拠が良くわからない言葉を用いて、

 

「たまにお菓子を食べても、影響はないですよ」
「ケーキよりも、和菓子を食べましょう」
「小豆のような食物繊維と砂糖を一緒に摂る事で、血糖値の上昇を緩やかにしますよ」

と言われても、困ります。

 

砂糖は砂糖です。

 

緩やかだろうが何だろうが、砂糖摂取で、必ず血糖値を上昇させます。

その事実には、出来るだけ触れようとしない形で、砂糖のメリットを強調する文章になっています。


少し長くなってきたので、ここまでにします。

続きます。