糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

食物繊維の役割

前回の続きです。

 

さて、前回の冒頭でも話しましたが、くれぐれも誤解して欲しくないのが、食物繊維が必要ではないという事では全くないので、それを留意して続きをお読み下さい。

 

そもそも、食物繊維とは何でしょうか?

 

 

食物繊維(しょくもつせんい)とは、人の消化酵素によって消化されない、食物に含まれている難消化性成分の総称である。
その多くは植物性、藻類性、菌類性食物の細胞壁を構成する成分であるが、植物の貯蔵炭水化物の中にはグルコマンナンやイヌリンの様に栄養学的には食物繊維としてふるまうものも少なくない。
化学的には炭水化物のうちの多糖類であることが多い。

ヒトの消化管は自力ではデンプンやグリコーゲン以外の多くの多糖類を消化できないが、大腸内の腸内細菌が嫌気発酵することによって、一部が酪酸やプロピオン酸のような短鎖脂肪酸に変換されてエネルギー源として吸収される。
食物繊維の大半がセルロースであり、人間のセルロース利用能力は意外に高く、粉末にしたセルロースであれば腸内細菌を介してほぼ100%分解利用されるとも言われている。

食物繊維は、大腸内で腸内細菌によりヒトが吸収できる分解物に転換されることから、食後長時間を経てから体内にエネルギーとして吸収される特徴を持ち、エネルギー吸収の平準化に寄与している。
大腸の機能は食物繊維の存在を前提としたものであり、これの不足は大腸の機能不全につながることになる。


ウィキペディア参照

 

食物繊維の効果としては、

肥満防止
コレステロール上昇抑止
血糖値上昇抑制
水素ガスの産生と抗酸化作用
排便促進
ダイオキシン類の排出

が挙げられると、同じくウィキペディアに記載されていました。

 

もう少し抜粋すると、

 

熟した果物などに含まれている水溶性食物繊維(難消化性デキストリン)は、食後の血糖値の急激な上昇の抑制や、コレステロールの吸収を抑制する作用が報告されている。

野菜や穀類、豆類等に含まれている不溶性食物繊維は、大腸の蠕動運動を促す。


食物繊維の効用として、脂質異常症予防、便秘予防、肥満予防、糖尿病予防、脂質代謝を調節して動脈硬化の予防、大腸癌の予防、その他腸内細菌によるビタミンB群の合成、食品中の毒性物質の排除促進等が確認された。
長寿地区住民の高齢者の食物繊維摂取量と同一人の腸内細菌叢を分析することによって、食物繊維の摂取量が多いと、働き盛りの青壮年なみに有用菌(ビフィズス菌等)が優勢で老人特有の有害菌(ウエルシュ菌等)は抑えこまれていることが実証された。
さらにこの有用菌は腸内腐敗防止、免疫強化、腸内感染の防御、腸管運動の促進といった作用のあることがわかった。
消化管内の必須栄養素であるカルシウムと結合し腸管からの吸収を阻害する働きもある。

 

 

という記載がありました。

ちなみに、食物に含まれている食物繊維含有量は、「水溶性 < 不溶性」の割合がほとんどです。

 

色々と触れたい部分があるのですが、前回からのテーマである「便秘の解消に食物繊維がどれだけの影響を与えているのか?」について掘り下げていきたいと思います。

ウィキペディアの中でも、

「排便促進 不溶性食物繊維は結腸や直腸で便容積を増大させ、排便を促進する。」

とあるように、食物繊維は排便に関して影響を与えると思います。

その解消方法として、前回記載した通り、

水分
運動
食物繊維
生活習慣

を気を付けるのが良いと言われています。
ほとんどの個人サイトや薬品メーカーでも、表現の違いは多少ありますが、同じような傾向で掲載されています。

 

その中で、
「水分が十分に摂れていないと、便が硬くなり、便のかさが少なくなって、腸内で移動しにくくなります。
1日に1.5リットル以上を目安に、たっぷり補給しましょう。
また、朝起きてすぐに水か牛乳をコップ1杯飲むと、腸が刺激されて動きがよくなり、便意が起こりやすくなります。」

牛乳を飲んで便意が起きるというのは、一部違うような部分も感じますが、水分摂取は普段よりも多めにしましょうというのがほとんどです。
1日1.5リットル以上とありますが、個人差はありますが3リットルくらいを目標に摂取していく方が良いと考えています。

 

生活習慣としては、「定期的な運動」「便意を我慢しない」「ストレスをためすぎない」「ダイエットや食事制限を控える」といったものが挙げられています。

腸内環境を整える為に、「ヨーグルトや発酵食品を積極的にとる」
食物繊維に関しては、「水溶性の食物繊維は水に溶け、便をやわらかくする」「不溶性の食物繊維は、水分を含んで膨らむ」

というような事が記載されています。

 

ですが、一方では

「食物繊維は「便秘予防」に効果はありますが、「便秘改善」には逆効果の場合もある」

としているサイトもあります。

 

便秘の時は、うどんやお粥など消化吸収のよい炭水化物をとるよう心がける。
便秘が解消したら、便秘の再発予防のため食物繊維をとるよう心がける。

と言っていたり、


・便意はあるのに、また便が肛門付近まで来ている感覚はあるのに、そこから出しづらい。
・長時間いきまないと便が出ない。
・排便したあとも、便が残っている感覚(残便感)がある。
・食物繊維を多くとったり、薬を飲んだり、運動したり、いろいろな対策を行ったが、便の出しづらさが改善しない。

という症状があるなら、それは「排便困難型の便秘だ」として、「肛門を締めたり緩めたりする運動をおこなって、筋肉の働きをうまく使えるようにしよう」と主張しているものもあります。

私としては、便秘で炭水化物をより多くとったら、より深刻な便秘になるのではないかと感じますし、そもそも消化には良くないとも付け加えたくなってしまいます。

 

それは置いておくとして、食物繊維が「カサ増し」に影響を与える部分は大きいようです。
また、腸内環境を整えるという事に関しても、同様だと感じます。

 

ただ、「食物繊維が便秘を予防・改善する」という事については、いささか疑問点が多く残ります。

食物繊維の重要性はほとんどのサイトで紹介されていますが、一番の要因として挙げられていないからです。

多くのサイトで、予防改善の手段として、「水分」「筋力」「生活習慣」がメインに挙げられているからです。

 


次に、生活習慣と食習慣がどれだけの影響を与えるのか?という事について話してまとまれば最後にしたいと思います。

 

続きます。