糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

健康食品として配合される酵素は生きているか?

今回は、食べる方の酵素についてです。

 

基本的に、健康食品に配合されている酵素は生きていません(バッサリ)。

 

あたかも続ける事で理想的なプロポーションを獲得できるようなアピールをしていますが、そんな都合よく働くわけがありません。

酵素と言っても、人間の身体には3000種類以上の酵素があると言われています。

商品に利用されている酵素が、自分の身体にとって、全てが都合の良いようには作用しません。

 

消化酵素は、働く場所が決まっています。

でんぷんを分解するアミラーゼには、唾液腺でつくられるものと、すい臓で作られるものがあります。

たんぱく質を分解するプロテアーゼは、小腸上皮細胞から分泌されます。

脂質を分解するリパーゼは、唾液腺、胃、膵臓から分泌されています。

それぞれにおいて、それぞれが適切な場所とタイミングで働いて、役割を果たしています。

商品の中には、これらのような消化酵素を配合したものとして紹介しているものもあります。


ですが、本当に消化の手助けをしてくれるのでしょうか?


唾液腺で作られている消化酵素が、小腸で働くのでしょうか?

膵臓で作られたものが、胃の中で働く事が出来るのでしょうか?

 

そもそもですが、酵素たんぱく質です。

 

たんぱく質を消化するために、胃酸に含まれるペプシンが消化・分解に大活躍してくれます。

酵素たんぱく質なので、せっせと分解してくれます。

胃での消化が行われたものが膵臓・小腸へと進んでいくのですが、小腸で働く酵素が胃の強酸性に耐えられる訳がありません。

胃酸を中和させたものが、小腸へと流れ込み、それらをさらに分解するために働く酵素ですから、酸に耐性がある必要が無いのです。


世の中に、「生きた酵素」として、商品の差別化が行われているようですが、生きていようが、死んでいようが、変わらないと思います。

 

ほぼ全てが胃酸によって分解されて失活すると思います。

 

ひょっとしたら多少は生き残るかもしれませんが、そしてそれが消化酵素として働いたとしても、ごくわずかな数(種類)なので、大きな影響を与える事はないと思います。

たんぱく質の補給にはなるのかな?といった感じです。

それだったら、プロテインであったり、酵素の原材料となるたんぱく質を食品から普段以上に摂取する方が、身体のメンテナンスにも繋がるので、はるかに効率的だと思います。

 

商品で使われるアピール表現もおかしなものがありますね。

最初の方では「太りにくい体質にする」と書いてあるのに、それ以降は「これでやせる」と置き換えられています。

 

また、本当に「太りにくい体質」に「する」のでしょうか?

「太りにくい作用が働く事が期待できる成分」を、「濃縮して配合している」だけではないのでしょうか?

 

健康食品なので、効果を表現する事が出来ません。

あくまでも「期待できる」ものです。

表記にも、「普段の食事バランスを大事に」というような記載もされています。

 

私は、間食のような「おまけ」として栄養補給をするのに利用するのには賛成です。

ですが、「これさえ飲めば・・・」というような過度な期待をして依存するのは、間違っていると思います。

その期待に近づく事は、ありませんから。

そのような商品に大金をつぎ込むくらいなら、もっと普段の食材の質を上げる方に使った方が、より豊かな生活を手にする事が出来ると考えていますが、皆さんはどう思われるでしょうか?