糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

身体に良いものと悪いものの矛盾?

色々とファスティングダイエットについての話をしていますが、否定的な部分ばかりではありません。

内容によっては「この方法は良さそうだ」というものもありますし、「本当にそうなのか?」と眉唾のような印象を受けるものもあります。

その理由としては、一般的には「炭水化物はヘルシー」という事を根底にしているからだと感じています。

ですので、私がそのように思わないため批判的な内容になりやすいというのが現状だと考えています。

今回は、ファスティングダイエットについて論評しているものについての矛盾点(?)についての話です。

 


これまで書いてきた通り、ファスティングダイエットを紹介しているサイトで「断食後の回復食は大事ですよ」という論調をしている所がほとんどです。

 

これは、私も同意します。

「人間の身体は、食べた物で作られる」

が根底にありますから。

ですが、気になる所が色々と出てきてしまいます。

 

薄味が絶対!

ファスティングが終わったからといって
いきなり濃い味付けの料理を食べてはいけません。
空腹が続いていた内臓はファスティング後には非常に敏感な状態です。
そんなときに濃い味付けの料理を食べてしまうと内蔵に強い刺激を与えてしまい健康的にも非常に良くありません。
最初は薄味の回復食から始めて徐々にいつもどおりの味に戻していきましょう。

 


こういった話題が出る時はいつも思うのですが、「濃い味付け」とは何だろうと考えてしまいます。


塩味が強い?ソースが主張し過ぎ?ケチャップたっぷり?

 

これらはネガティブな感じはしますが、逆に薄い味付けという定義も気になります。
僅かな塩分という事でしょうか?

 

基本的な概念として、「塩味が強い = 濃い味付け」でもあるのでしょうか?

「塩味・甘味・酸味・苦味・旨味・辛味・渋味」といった特定の味覚で強い弱いはあると思いますが、濃い味付け、薄い味付けというのは、「何の味付けが濃いのか?薄いのか?」なのでしょうか?

こういった話題で、だいたいそのあとにくるのは、「塩分が多いと、むくみや高血圧が・・・」という話になります。

塩分だけがやり玉に挙げられるのは、少しおかしいですね。

 

それはともかく、「徐々にいつも通りの味に戻していく」という所が一番気になります。

味付けが濃いと、食べ過ぎたり酒が進んだりするのではないでしょうか?

「薄味が絶対!」というのであれば、せっかく薄味になれたのであれば、それを維持すれば良いと思いますが、それではダメなのでしょうか??

 

炭水化物ばかり摂らない

回復食といえば、お粥などが有名ですがなるべく炭水化物に偏らないようにしましょう。
炭水化物は血糖値を上げるため脂肪をためこみやすくしてしまいます。
せっかくファスティングを頑張ったのに炭水化物を食べ過ぎて、リバウンドしてしまったなんて状況は笑えません。
回復食にお肉は内臓にやさしくありませんが野菜などは積極的に食べるべきです。
「消化にやさしいもの」を意識しつつ炭水化物意外をしっかりと食べられるよう注意して回復食を選びましょう。

 


一部には賛成できませんが、まさかファスティングダイエットを提案するサイトでこのような文章に出会うとは思いませんでした。

炭水化物摂取量についての言及をしていないのが残念ですが、そして、具体的に「こんなバランスでたべたらいいよ」という明記もないのですが、この方向性を示したというのは、珍しく感じます。
ただ、具体性がないため、混乱を招きやすい内容ではあるとも感じます。
肉を否定するのは、残念でなりません。

 

回復食は重湯から始め、消化の良いおかゆや具のない味噌汁、柔らかくなるまで煮た野菜など、早く消化できるものを選ぶようにしましょう。
回復期の食べ物として、理想的と言われているのが、食品研究科であり、医学博士でもある吉村裕之氏が提唱する「まごわやさしい」に掲げられた食材です。
「まごわやさしい」という言葉は、バランスの良い食事を摂るために選びたい食品の頭文字を並べたもので、それぞれ以下を表しています。
ま:豆類・豆乳
ご:ごま
わ:わかめなどの海藻類
や:野菜
さ:魚
し:しいたけなどのきのこ類
い:イモ類
ただし、魚などの動物性タンパクについては、回復食として適さないという声もありますので、実質的には「まごわやしい」と覚えておいたほうが良いかもしれません。

 

「まごわやしい」という語呂の悪さはともかく、これは消化に良いのか?というものがたっぷりあります。

「食物繊維は消化に悪い」という前提で話をしていますが、上記で動物性たんぱく質を排除したら、全て食物繊維の含有量が多いものばかりです。

「野菜を軟らかく煮れば・・・」というのであれば、まぁ、それは良しとしましょう。

それ以外の食品。

特にゴマ・海藻・きのこは、とても消化に良いとは言えない食材群です。

 

栄養価は高いと思います。

ですが、「早く消化できるものを」といったそばから、消化に悪い食材の紹介をするのは、しかもそれが「医学博士」という肩書を持つ方が話をするのは、いかがなものでしょうか??

私だったら、この中なら「魚・豆乳(大豆加工品)」くらいしか勧める事ができませんが。

 

断食後の回復食には重湯が推奨されています。
重湯はお粥の上澄み部分で、カロリーを摂ることができお腹に負担をかけません。
回復食の初めは重湯で、そこから少しずつお粥に変えていきましょう。
すりつぶしたカボチャやサツマイモを加えると、変化があって飽きずに食べられますよ。

いくら質の良い回復食を選んでも、満腹まで食べるのはNG。
避けたい食べ物同様、消化器官に負担を与える可能性が高いため、食事は腹八分目までに抑えておきましょう。

 


重湯でカロリーを摂取とありますが、本当に可能でしょうか?

重湯が食品成分表ではどうなっているかというと、

100gあたり、21㎉。糖質量4.7gです。

これでカロリーを摂取出来るというのでしょうか?

しかも腹いっぱい食べるなというのであれば、一食でどれくらいのカロリー摂取を考えているのでしょうか?

重湯の摂取量の目安も無いため論ずることが出来ません。

 

仮に300gの重湯を摂ったとします。

それでも約60㎉で、糖質量は14g程度です。

これで満足感は得られないでしょうし、それなのに血糖値が上昇します。

それにより血行も悪くなり、血圧上昇により身体に負担をかけます。

 

これが、本当に「推奨されるべき回復食」なのでしょうか?

 

こういった理由からも、私は「炭水化物はヘルシー」という考え方には否定的です。

 

今回は、ここまで。