糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

健康な人は、低血糖になるのか?

さて、朝食推進派の意見としてよく取り上げられるのですが、

 

朝ごはん抜きはNG
朝ごはんを抜くと、ランチの時間までずっと低血糖状態で過ごすことになります。
すると昼にブドウ糖が吸収される際、体が長時間飢餓状態であった反動で、血糖値が急上昇しやすくなると言われています。
朝ごはんを食べる時間がない朝でも、ジュースや加糖コーヒーなど糖質を含むドリンクを少しでも体内に入れておくようにしましょう。

 


低血糖状態とは、何でしょうか?

朝食を食べないと「低血糖状態」になるというのですが、本当でしょうか?


まず、言葉の定義をはっきりさせましょう。

 

低血糖とは、糖尿病を薬で治療されている方に高い頻度でみられる緊急の状態です。
一般に、血糖値が70mg/dL以下になると、人のからだは血糖値をあげようとします。
また、血糖値が50mg/dL未満になると、脳などの中枢神経がエネルギー(糖)不足の状態になります。
その時にでる特有の症状を、低血糖症状といいます。

血糖値(㎎/dL)
70 空腹感、あくび、悪心 自律神経の症状
60 発汗、動悸、手指の震え、熱感、不安感、悪寒
50 集中困難、脱力感、眠気、めまい、疲労感、ものがぼやけて見える
40 意識障害、異常行動
30 けいれん、昏睡

 


まず「低血糖」ですが、上記した通り、糖尿病の方へ処方される薬によって生まれやすい症状です。
食事によって高血糖になってしまうと、それを下げる手段が少ない状態なので、薬によって低下させようというものです。
薬によって、血糖値が80~100㎎/dLくらいになればいいのですが、毎回そうなるとは限りません。
薬の影響で、50~60㎎/dLになってしまったり、もっと低くなる場合があります。
それは死にも直結し、毎年多くの死者を出しています。

 

これが、低血糖です。

 

栄養失調等で、余程の危機的な状況でなければ、上記のように、70㎎/dL以下になると、血糖値を上げる仕組みが備わっています。

空腹を感じ、お腹が鳴る事があるのも、そのためです。

 

ですが、そのタイミングで何かを食べなくても、食べる事が出来ない状態が続いたとしても、気が付けば空腹感は減っていきます。

体が反応して血糖値が上昇し、空腹感を感じなくなった状態に変わったからです。

忙しくて昼ごはんを食べる暇もなかったという人は経験があると思いますが、昼食を抜いたとしても、結構元気に過ごす事が出来ます。

 

ただ、空腹状態の時に強い運動を強いられた場合は、手指の震え等は起きる人もいると思います。

低めの血糖値から、血糖をエネルギーとして使うと、より血糖が消費され、血糖値が低下する場合もあるからです。

これの原因としては、朝食推進派が進める

「朝ごはんを食べる時間がない朝でも、ジュースや加糖コーヒーなど糖質を含むドリンクを少しでも体内に入れておくようにしましょう。」

が、大きな要因になりかねないと考えています。

ラソントライアスロンのような強強度の運動をする人に発症(?)しやすい、ハンガーノックという状態です。

ハンガーノックは、激しく長時間に渡るスポーツの最中、極度の低血糖状態に陥ること。
日常生活中に発生することは稀である。

自動車に例えるならばガス欠であり、肉体がエネルギーを失った状態を意味する。
この時、自らの意志とは関係なく、体は動きを停止する。
脳へのエネルギー供給量も減少するため、意識の低下や思考の鈍化を生じる。

 

 

この話をしだすと、また長くなってしまうので、別の機会にしたいと思います。

 

続きます。