糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

化学的見地とは?

さて、前回の続きです。

今のテーマとしては、「粗食について」ですが、粗食をダイエット・健康的という論調をするのは良いのですが、その根拠は正しいのか?という事についてのツッコミを入れている内容になります。
決して粗食の文化や存在自体を否定するという前提はありませんので、お間違いないようお願いします。

 

 

前回は、腹八分目を達成するための話に始まって、かつ丼を親子丼に変えても、食べたいのはかつ丼だ!という話(?)をしました。

で、カロリー制限をするには、工夫一つだと主張する人の例をもう少し挙げます。

 

 

パスタの場合なら、ベーコンや卵の入ったクリーミーカルボナーラ(約850kcal)を、和風テイストのボンゴレや明太子スパゲティ(約550kcal)にかえれば、およそ300kcal削減できます。

中華の場合、かた焼きそばと餃子のセット(約1200kcal)を、レバニラ炒めとライスのセット(約600kcal)にかえると、なんと、約600kcalも削減できてしまいます。

ファストフードでは、テリヤキバーガー+フライドポテト(M)+コーラ(M)のセット(約1000kcal)を、ハンバーガー+コールスローサラダ+ウーロン茶のセット(約400kcal)にするだけで、およそ600kcalのカットになり、これも目標を簡単にクリアすることができます。

 

 

というような表記がありました。

物凄く「ドヤ顔」のような印象を受ける内容です。
最後の、「ハンバーガー+コールスローサラダ+ウーロン茶のセット」で、満腹感を得られるかどうかは甚だ疑問ですが、どうでしょうか?
私は満足できません。

 

こういう置き換えを見るたびに思うのですが、目的が、満足感を得るではなく、「カロリーをどれだけ抑える事が出来るか勝負だ」というような、「カロリーを低くする=満足感が生まれる」のような印象を受けます。

 


で、腹八分目が健康・ダイエットに良いという話の根拠部分にいきます。

私の意見ではなく、まとめられている内容です。

 

 

1980年代から、世界各国で食事の量を一定に制限した場合と、好きなだけ食べさせた場合とでは、平均寿命にどのくらいの差が表れるのかを、ラットなどの小動物を対象に研究されてきました。

日本でも同様の研究が行われ、その一つである東海大学医学部・橋本一男教授と、田爪正気講師らの実験によると、食事の量を一定量に制限されたマウスのほうが、1.6倍強も長生きしたという結果が報告されています(1990年発表)。

この研究では他にも、「カロリー制限をすることで、免疫力が高まる」ということも指摘されています。

A:食事を食べ放題にしたマウス……平均寿命74週
B:食事量を80%に抑えたマウス……平均寿命122週

その後も、さまざまな方面で研究が繰り返された結果、一定のカロリー制限をすることによって、細胞の老化を遅らせることができる、という事実が明らかにされました。

これによって、動脈硬化が招く脳卒中心筋梗塞、高血圧、また細胞の機能不全によって引き起こされるがん、さらには糖尿病など生活習慣病の予防に、この腹八分目の効用が指摘されるようになったのです。

アメリカでは、より人間に近いサルを対象に、腹七分目(カロリー30%カット)で実験が行われ、血圧、血糖値、体脂肪、中性脂肪などの改善が見られたという結果も報告されています。

 


動物実験で、これだけの結果が出たから、人間にも適用しようという内容です。

平均寿命が延びたから免疫力が高まったと判断出来るかどうかにも疑問が生まれますが、マウスでは寿命は延びたそうです。
ただ、これは動物実験であり、人での臨床試験ではありません。
動物で成果がでたとしても、それがそのまま人間に当てはまるとは限らないです。

少し前に、ネズミの動物実験で、糖質制限食を与えると老化が早まるという記事がありました。

 

trdschoolmm99.hatenablog.com

 

この記事でも書きましたので、参考にして頂ければと思います。
ネズミは、基本穀類を主食とする代謝構造を持っています。
たんぱく源を多く与えると老化が早まり、減らすと寿命が延びやすいという特性を持っています。
その構造を無視して人間の糖質制限が危険と簡単に答えを出すのは、あり得ないです。
厚労省のデータでも、動物実験ではなく、人間の臨床試験の結果から多くの基準を決めています。
それなのにネズミがどうだった、猿がどうだったという話を人間にこじつけるのは、根本的に間違っています。


では、人間での実験はどうなのか?という所が気になりますよね?

ちゃんと記載がありました。

 


人間を対象とした実験は、アメリカの『バイオスフェア2』で行われました。8人の研究者による自給自足のサバイバル実験によって、偶然、明らかにされたのです。

 


「偶発的に」見つかったそうです。

 

この話は、次回に触れます。