糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

体内でモツは「腐食」していくのか?

前回の続きです。

 

「もつ鍋はどうですか?」という問いに対して、

①もつは噛み切れない
②そのまま胃に送り込まれて消化もよくない
③腐食しながら腸に送り込まれる
④腸を詰まらせる
⑤便秘・肌荒れの原因になる
⑥おならが臭くなり体臭の元になる

なので、「大腸がんになりたかったら毎日食べて下さい(笑)」という結論に達しています。

 


本当でしょうか??

 


「肉を食べると消化に悪いため、体内で腐敗して悪影響を与える」
という主張は、結構見かけます。

ですが、その前提は、「肉が消化に悪い」というスタンスからの主張だと考えています。

果たして、「肉」は本当に消化に悪いのでしょうか?


私は、だいぶ前に投稿しましたが、消化に悪いのは、たんぱく質ではなく食物繊維を多く含む糖質(炭水化物)と考えています。


そもそもですが、「肉を食べて未消化だと腐敗する」というのであれば、糞として体外に出た際、その糞の中に「腐敗した肉」を確認した事があるのでしょうか?
糞便の中に、未消化の「もつ」を、この筆者は見た事があるのでしょうか?

私は「わかめ」や「えのき」や「コーン」のようなもの(他にもありますが思いつかないのでこれくらいにします)だったら、未消化でそのままの形をして出てきたというのを確認しています。
(触ってないです。あくまでも見た目です。お食事中の方、いらっしゃったら申し訳ないですが、とても重要です)

ですが、もつ鍋やホルモン焼きで大量に食べたとしても、その残骸を識別できたことはありません。

もちろん、「消化に悪いと言われる肉」を大量に食べた時も同様にそのかけらを識別できません。

 

以上は、私が肉は消化に良く、炭水化物が消化に悪いと主張する理由の一つです。


そして、便秘の理由を「肉」が第一原因と考えると、上記のような考え方になってしまいます。

 

それだったら、狩猟時代の人間は皆便秘だったのでしょうか?肉を食べる習慣が少なくなった江戸時代の人たちは、便秘とは無縁の生活をしていたのでしょうか?

ちなみにエスキモーと呼ばれる民族は、便秘で悩む事もほぼ無く、ガンの発症率も低いというデータは出ています。

その事実も「日本人とは違うから」と、自分達日本人を特異的な存在にしたいのでしょうか?

 

また、モツを食べたら大腸がんになると主張しているのですが、検証データがあるのでしょうか?

 

その根拠が非常に気になります。

 


細かいですが、この文章では「腐敗」ではなく「腐食」という言葉を使っているのも気になります。

ふしょく【腐食 corrosion】
金属学の用語。金属がそれをとりかこむ環境物質との間の化学反応もしくは電気化学反応によって損耗すること。
かつては腐食現象を材料の固有の性質と考えた時代があるが,現在では使用環境に大きく依存する現象であるとする考えが定着した。
このように環境中に存在する特定の物質との化学的相互作用によって材料が変質や劣化する現象は,金属に限らずすべての材料にとって,その使用寿命を決める重要な因子の一つであるが,単に腐食という場合には金属腐食metallic corrosionを意味するのが通例である。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版

 

腐食

金属類が酸化されて強度が低下していく現象.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典

 

生物学的腐食

生体由来物質に細菌や真菌(特にカビ類)が取り付き、その物質を消化吸収して侵食する状態を腐食とよぶことがある。
また、生物的腐食を「腐食」、それ以外のものを「腐蝕」として区別することもある。
細菌や真菌が増殖し置換されて行くので、外見あるいは構造が損なわれる。通常は外部に分泌された酵素により生体由来物質が消化分解される。

生物学的腐食を防ぐには殺菌処理を定期的に施す必要がある。

ウィキペディア 「腐食」参照

 


腐敗ならまだ分かりますが、「腐食」という言葉を引用しています。

食品における腐敗

食品における腐敗とは、細菌類の作用によってタンパク質が分解し、人体に有害な物質が発生することをいう。
炭水化物、脂肪などが分解し有害な物質が発生する作用を変敗というが、腐敗は変敗を伴うことがほとんどである。
なお、主に酵母の働きによって無害に分解変化することを発酵、光、空気、水などの作用で実質が変化することを変質と呼ぶ。

ウィキペディア 「腐敗」参照

 

なぜ腐食という言葉を引っ張ってきたのでしょうか?

まぁ、ここは細かいですね(笑)。


続きます。