糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

問題です。「高血圧対策としての、一番の有効手段は減塩である」 〇か、×か?

前回の続きです。

 

目標塩分摂取量は、減少傾向にあります。
推移の歴史をたどっていくと、

 

昭和54年以降  10g以下
平成16年~   男性10.0g未満 女性 8.0g未満
平成21年~   男性9.0g未満 女性7.5g未満
平成27年~   男性8.0g未満 女性7.0g未満

 

となっています。

実際の食塩摂取量の平均は2013年の調査で男性11.1g、女性9.4gです。
平均的摂取量の男性でも3.1g、女性が2.4g減らさなくてはいけません。

ちなみに

高血圧患者の「食事療法」としては男女とも6g未満が一般的です。

2013年の世界保健機関(WHO)の一般成人向けガイドラインでは5g未満

2010年のアメリカ心臓協会(AHA)では一般成人が5.8g未満、高血圧など高リスク者では3.8g未満としています。


目標塩分摂取量の数字を出すには、色々と検証や臨床試験が必要です。

当然ですね。

 

多くの検証がされたようですが、有名なものの一つとして、「インターソルト研究」というのがあります。


・1988年1999年実施のインターソルト研究(世界32か国52の地域が参加)の結果
・20歳から59歳までの年齢で200名の男女を、年齢、性別に10歳刻みで8等分に階層分けして被験者を選定
・食塩摂取量が1日3g以下の極端に摂取量が少ない民族では高血圧はほとんどいない。
・食塩摂取量が30g以上の摂取量が多い民族では高血圧は多い。

 

・3g~30gの大多数の民族については食塩と高血圧の相関関係は認められない。

 

・食塩による血圧上昇は遺伝による可能性がある。
と結論

 

日本人の食塩摂取量は1日13gと言われていて、「相関関係は認められない」民族に入っています。
塩分消費量が最多だった中国の天津地域グループ(平均で1日14g)の血圧は、一日に6gしか摂取しなかったシカゴ(アメリカ)のアメリカ黒人グループより高くはなかった。(血圧 中国 ≦ シカゴ)
主催者は、極端な(私たちの日常とかけ離れたグループ)例を拠り所として「高血圧=塩が原因」の考えを改めなかった

というのが簡単なまとめです。

日本人の食塩摂取量の平均では、「塩と血圧に関する相関関係は認められない」グループに入るにも関わらず、「高血圧の原因=塩分摂り過ぎ」の構図は、現在も崩れていません。

「高血圧=塩分」の構図を得られなかったため、インターソルト研究でまったく触れられていなかった四つの未開民族を調査対象にしました。
これらの民族は、日常ではほとんど塩を摂取せず、高血圧の人もいなかったのです。
ブラジルのヤノマモ族の血圧は20歳代から50歳代までほぼ変わらず、男性の最高血圧は約100mmHg、女性の最高血圧は約90mmHgで一定であり、高血圧の人はいませんでした。

ここの部分を取り上げて、「高血圧=塩分過剰」の構図を立証・論拠にしています。

 

他の例を挙げます。

ラットの実験に関する1972年の論文とともに始まりました。
ラットのえさに塩で味付けした場合、ラットの血圧が上昇したという内容でした。
しかしそのラットは塩分に特に敏感な種類であり、しかもラットが摂取した塩分量は、人間に当てはめて計算すると1日500g相当です。
ですが、多くの栄養学者はこの研究の結果を歓迎し、「塩に注意!」と消費者にアドバイスするようになっています。


他にもありますが、こういった過程を経て、「高血圧防止のために、減塩しましょう」という方針が決められてきたようです。


私自身はどうかというと、塩分は平均値以上に摂取しています。
塩味が大好きで、何かにつけ塩をかけて食べています。
正確に量っていませんが、おそらく20g前後/日はとっていると思います。
今度、確認しておきますね

血圧はどうかというと、最高血圧120mmHg前後、 最低血圧80mmHg前後が平均です。

 

この結果を、皆さんはどう考えるでしょうか?

 


ただ、私自身の結果から、「減塩なんてしなくていい」という話をしたい訳ではありません。

減塩しないといけないグループも、確実に存在しているからです。

「食塩感受性高血圧」

という言葉がありますが、これは、その減塩しないといけないグループの一つです。

 

 

次回は、これと「高血圧」の部分について触れていきます。