糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

米国の糖尿病の歴史

1950年、アメリカ糖尿病学会で、「食品交換表」が発表されるが、十分な科学的根拠に基づいてはいなかった。

(炭水化物40%、タンパク質20%、脂肪40%)

 

1970年代ある発表がされます。
アメリカ上院栄養問題特別委員会によってまとめられた「マクガバンレポート」です。
当時アメリカでは、心臓病だけでもアメリカの経済は破綻しかねないといわれるほど医療費が増大していました。
その作成の過程では、「低糖質」でないと現状は変える事は出来ないという結論を付けていました。

しかし、それに対して反発した団体がいました。

 

製糖工業団体と製薬業界です。

 

彼らは、レポートの中のある一単語を入れ替えるべく巨額の献金を行ないました。
議員一人当たり年間で億単位の金額です。
それによりその一単語を変える事ができました。

 

「低糖質」から「低脂質」へです。

 

その結果、現在に至るまで、肥満大国家となってしまっています。
そのレポートの中で最も理想的な食事は、日本人が元禄以前に食べていた食事であると明記されました。
元禄以前の食事とは、精白しない穀類を主食とし、季節の野菜や魚介類といった内容になります。
それから日本食ブームが巻き起こり、「日本食=ヘルシー」というイメージが根付いていきました。


1983年に創設された食事ガイドライン委員会は、マクガバン委員会以降の新しい研究を踏まえ、その指針のひとつとして、食べる食品の種類について以下のように書き加えられました。

「人間の生存および健康維持のためには40種類以上の栄養素が必要である。つまりいろいろな種類のビタミン、ミネラル、アミノ酸、必須脂肪酸、またエネルギー源としての炭水化物、たんぱく質、脂肪である。これらの栄養素はバランスのとれた食事によって摂取され、そのためにはいろいろな種類の食品を食べる必要がある。」
(炭水化物60%以下、タンパク質12~20%。脂肪30%以下)

 

1997年版のADA、米国糖尿病協会の発表では、

 

『タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる』

 

とありました。

日本で2013年発表の食品交換表(食品成分表だったかもしれないです。確認後修正します。)にも、血糖値を上昇させるのは、糖質ついで脂質・タンパク質と記載されていていたのですが、私は驚きました。

なぜなら2004年版では、

 

『炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。炭水化物だけが、血糖値に直接作用する。』

 

『3大栄養素のうち糖質だけが血糖値を上昇させる。3大栄養素のうちタンパク質・脂質は食後血糖値を上昇させない。食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わるが、タンパク質・脂質は血糖に変わらない。糖質は摂取直後から急峻に血糖値を上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収される。一方蛋白質・脂質は血糖値に影響をあたえない。』

 

と発表されているからです。

にも関わらず、2013年に発表された食品交換表には、『タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる』の表現が使用されているからです。しかもグラフ付きで。
以前の2002年の第6版には記載がなかったかのように思われます。

いったい何を根拠に掲載しているのでしょうか?

(炭水化物、規定なし、タンパク質10~20%、脂肪、規定なし(但し、飽和脂肪酸10%以下)

*1994年以降、アメリカでは炭水化物と脂肪のカロリー比を固定しなくなりました。


現在アメリカでは
1 高糖質食(糖質60%)
2 地中海食(糖質とオリーブオイルなどの脂質あわせて80%、飽和脂肪は10%以下)
3 糖質管理食
4 低糖質食( 糖質制限食)

など少なくとも自己責任・自己管理を前提に、糖尿人には選択肢が4つはあります。

日本のカロリー制限一辺倒とは、まったく異なる世界です。