糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

乳酸菌って便秘改善を実感出来るの?

前回からの続きです。
 
まず医薬品の話をします。
分類で言うと「整腸薬」がこれに該当すると思います。
整腸薬にも色々と種類がありますが、効能・効果はだいたい共通しています。
・整腸(便通を整える)、便秘、軟便
・腹部膨満感、消化不良、消化促進
・もたれ、胸つかえ、食欲不振、食べ過ぎ
という感じです。
整腸剤と言っても、主成分は商品によって様々あります。
例を挙げれば
 
 
コンク・ビフィズス菌
主に大腸にすみつき、乳酸と酢酸をつくり、整腸効果をたかめます。
コンク・フェーカリス菌末
主に小腸にすみつき、すばやく増えて乱れた腸内菌叢を整えます。
コンク・アシドフィルス菌
主に小腸にすみつき、乳酸を多くつくり、有害菌を抑えます。

 

 
パンラクミン錠
 
有胞子性乳酸菌(ラクボン原末)
乳酸菌の胞子を製剤化したもので、安定性がよく、服用後は腸管内で繁殖して腐敗菌などの有害細菌の増殖を抑えて、整腸作用を発揮します
タカヂアスターゼN1
広いpH域で働く消化酵素で、消化を助け、栄養の吸収をよくします
またラクボン菌の発育を促進させます
ビオチン(ビタミンH)
ラクボン菌の発育を促進します

 


皆さんは、整腸剤を飲んで「便秘が解消した」とか「下痢がおさまった」という経験はあるでしょうか?
医薬品の中には「便秘薬」「止瀉薬(下痢止め)」と分類された服用薬があります。
ビオフェルミン製薬が販売している薬には、整腸成分を配合した便秘薬・止瀉薬があります。
整腸薬がもたらす効果というのは、これは私が持っているイメージですが、
 
整腸薬を服用する
→ 善玉菌・善玉のえさになる
→ 善玉菌が活性・増加する(しやすくなる)
→ 腸内環境のバランスが良くなる 
→ 便通でのトラブルが起きにくくなる可能性が上昇する 
→ 結果、腸内環境がいいので便秘・下痢が起きにくくなる
 
という考え方が根底にあるから、効能効果として「便秘・軟便」というものが認められていると考えます。
 
これだけで改善しないなら「便秘薬(止瀉薬)を飲んでね」という事になると思うのですが、
 
「予防の観点では服用する事で効果が得られやすいものだが、あくまでも予防であり、今現在辛い便秘に対して効果を得られるものではない」
 
と考えますし、皆さんも実感しているのではないでしょうか?
 
そして予防というのも結構曖昧です。
腸内環境が食べた物でガラリと変わるのであれば、薬をちょっと(2~3日とか)服用しただけでガラリと変わった環境を劇的に変える事など出来ないと考えます。(長期の服用が必要ではないかという事です)
なおかつ「腸まで生きたまま届く」という表現をしているものもあるのですが、どれくらいの成分や数が「生きたまま」送り届ける事が出来るのでしょうか?
生きたまま(「活きたまま」と表現している所もあります)届いたとしても定着しなければ意味がないですし、僅かであれば他のものと差別化など出来る訳がありません。
 
私自身は、整腸剤とビタミン剤は同じようなものとして捉えています。
治療というよりは、予防というような位置付けです。(凄く誤解を与えやすい表現ですが、私の中ではこのような位置付けです)
 
で、ここまでが医薬品の話です。
次に普通の食品であり、乳酸菌を多く含む事で有名な「ヨーグルト」の話をしたいと思います。
 
医薬品というように認可がされるためには、ほとんどの方に効果が得られるという事が承認されているから医薬品として販売をする事が出来ます。
健康食品がいくら健康に良いと言われていても、「医薬品」という表示を得る事は出来ないですし、そのレベルにあったとしても、認められるためには研究費用といったお金がかかったりもします。
 
で、健康食品は「良いと言われる成分を凝縮したもの」と私は考えているのですが、それよりも濃度が低い食品である「ヨーグルト」が
「本当に整腸作用の改善につながり、便秘や軟便の予防・改善に直接作用するのでしょうか?」
という事です。
 
医薬品である「新ビオフェルミンS錠」に含まれる成分は1日分で54㎎です。
それで効果を実感出来れば良いのですが、成分の特性上、なかなか実感出来ない場合がほとんどです。
ヨーグルト自体はどうかと言うと、厚労省のページでもそうなんですが、

乳酸菌は腸内で大腸菌など悪玉菌の繁殖を抑え、腸内菌のバランスをとる役割を果たしています。そして便通の改善だけではなく、コレステロールの低下や免疫力を高めがんを予防するなど、さまざまな働きがあると言われています。最近ではピロリ菌を排除するなど、特徴のある機能を持つ乳酸菌も研究されています。

 

このような有益な事に繋がりやすくなるから食べようとアピールしています。
 
腸内菌のバランスをとる役割を果たす = 便通改善
 
という書き方であり、どこにも「便秘に効果がある」とは表記出来ないのはわかるのですが、「便秘」という言葉はこの中にはありません。
下痢もガスも改善するという直接的な言葉もないです。
あくまでも「バランスをとる」「免疫力を高める」という言葉があるように、こういった効能は得られやすいのではないかと考えています。
 
ヨーグルトを食べる事でのメリットを挙げているデータもあったりするので、食べても意味がないという話をするつもりは無いです。
 
ただ、ヨーグルトを食べると便通が良くなる・実感出来るというレベルまでには、なかなかいかないのではないかとも考えています。
 
 外来の菌は簡単には腸に定着できません。もちろん一時的に腸内フローラのバランスを変えることはできるかもしれませんし、生きて腸に届き発酵を促すことでよい効果を発揮する場合には、生きて腸に届かないと効果は得られませんが、腸に届くけれど何もしないで出てくる、という菌もいるでしょう
 

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 という見方をしている方もいらっしゃいます。
 
皆さんはヨーグルトを毎日食べて、健康を実感出来ているでしょうか??
健康だと言われるものを食べているから「健康になっているという気分・満足感」を得ている人は多いといますが、どうでしょうか??
 
花粉症の時期が近づくと「ヨーグルトを食べよう」という動きが生まれるのですが、私が知る情報では即効性はなく、半年以上前から食べ続けないと効果を実感出来ないという話を商売をしていた頃に客人に話たりしていました。
 
食べてのフラシーボ効果は得られると思うのですが、花粉症で言うと昨年比という事での変化となります。
たまたまその時期とタイミングでは花粉量が多い事もあれば少ない時もありますし、単純な比較は「個人がどのように感じるか?」という部分が大きいと思われるので、難しいと思います。
 
何もしないよりはいいとは思いますが・・・
 
 
今回はここまで。
 
次でまとめられるかな?