糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

排便を毎日しないといけないのは義務なのか?

前回からの続きです。
前回最後の方で便秘に関してのウィキペディアを引用しました。
 
便秘の「定義」部分は非常にあいまいな部分があります。
一応の基準として「3日以上排便がない」とか「排便困難・残便感がある」というキーワードが出てきているのですが、逆に言うと
「3日以上排便がなくても膨満感や残便感等といった違和感や不快感が無ければ便秘ではない」
という事だと考えます。
出ないのに、その気配も無いのに「毎日トイレに行く」と指導・アプローチするのは違和感しかないですが、それが理由の一つでもあります。
 
そもそも「健康なうんち」って何でしょうかね?
色んなサイトで「理想のうんち」とか「良いうんち」とかいう話がされています。
そして、排便回数も
 

1日3回から1週3回程度の回数なら正常範囲内で、1日1~2回です。

 

というような案内もされているのですが、上記サイトではこれが「正常」範囲内としています。
前回までに触れたように、食べた物の結果が「うんち」になるだけです。
「毎日1回山吹色でバナナ状で水に浮いたり沈んだりするうんちを出す」
が目的ではないからです。
あと便秘の紹介で「腸内に長期間溜まった状態」という言葉が良く使われると思います。

女性には「3日以上排便がなければ便秘と考える」人が多いのですが、これは勘違いです。良好な腸内環境であれば、排便は1日1回。食べたものの消化・排便までの時間は24時間が目安ですから。

 

このサイトでは「3日以上なんてとんでもない。1日に1回を目指すべき」と主張しています。
文頭で「腸内に長期間溜まった状態」が便秘としていたのではないのでしょうか?
それは置いておいて、この「長期間」という言葉が結構色んな所で曖昧なんです。
長期間という言葉があるなら「短期」「中期」とか「平均」という範囲の期間があるはずです。
色んなサイトで紹介されている「長期間」とは、何日以上なのでしょうか?
私は「登録販売者」でもあり、服薬指導で「薬の長期連用は良くない」と紹介する事はあります。
私は長期間というと1カ月以上とか1カ月を目安・ベースに話をします。
商品ごとで「長期」に該当する期間は異なりますが、一般的には2週間~1ヵ月程度です。似たような注意書きに「5、6回使用しても改善しない場合は相談すること」がありますが、使用した時に症状が改善する場合でも2週間~1ヵ月を超えて続けてはいけません。
これは服薬の話なので、これくらいを基準にしています。
鎮痛薬を一箱が4~5日分しかないのに一箱飲みきった事に対して「長期にわたっての使用は・・・」
という話はしないです。
便秘薬で1カ月分とか錠数があり、それを毎回のように使っていたら長期連用と判断し医者の診断を勧めたりします。
「腸内に長期間溜まった状態」とは、上記の引用だと「3日以上排便が無い」が長期のような印象を受けますね。(私の思い込みかもしれませんが)
ただ「IBSで便秘型の人は2週間とか1カ月とかでない」という話も聞きます。
このような人に対してはどのようなアプローチをとるのでしょうか?
 
それともう一つ気になる事があります。
腸内に留まり続けると「腐敗して毒素を出すんです」と話をする所も多く散見されますが、定義も曖昧ですし、どのくらいから腐敗であったり毒素を出すようになったりというのも記載されてないのにお気付きでしょうか?
腐敗であったり毒素をだすというのなら必ず化学変化(反応?)が行われるという段階(プロセス)があるはずです。
そしてどの状態を「腐敗」としたり何を「毒素」とするのかをハッキリさせないとふわっとしたイメージしか与える事が出来ません。
ほんのわずかの「毒素」でも発生したら「体に悪影響をあたえるんだ~」と騒ぎ立てるのでしょうか?
 
私は「腐敗」を身体に悪影響を与える細菌が発生して身体に下痢症状を引き起こすような「食中毒」のようなイメージを持っていたのですが、そうではなく「臭いがくさい」という状態が腐敗としている所が多いです。
それならそれでいいのですが、どれくらいの臭いレベルになったら「腐敗」とするのでしょうか?
 
まさか小腸と大腸のつなぎ目部分を「回盲口」というのですが、それを通過した瞬間から腐敗(排便後の臭いと同等レベルの臭いを発している)が起きているとは考えにくいと思います。
ちょっとでも臭いがついたら「腐敗している」とするわけでもないとは思っているのですが。
 
他にも大腸内の細菌が云々という事にもなると思うのですが、どれくらいの時間をかけて、どれくらいの腸内細菌の割合であったらどの色になるという定義がハッキリしないです。
腸内環境が良いとする状態の人が一日肉のみをモリモリ食べたら、一気に悪玉菌がその瞬間だけ優位に立つのでしょうか?
そんな訳が無いと考えます。
少しずつ善玉菌より悪玉菌の増加割合が増えていって・・という事になると思います。
悪玉菌が増えるまでに善玉菌が増えるような食事をすれば健康な便を排出する事が出来ないのでしょうか?
 
あと善玉菌に栄養を与えるという話をしているのですが、どれくらいの量の野菜や発酵食品という感じのものを食べたらどれくらい増えるのでしょうか?
色々な検証結果を見ると、少しずつ変化をしてるように見えるのですが、だいたい何を食べているかとか、毎日の数字の変化という追跡調査・詳細なデータの紹介がないんですよね。
本当にそのような傾向の食事をしているのかも気にはなります。
テレビとかでも平気でうそをつきますからね。
 
可能性の話かもしれませんが、食べた物によって善玉や悪玉の優位性が一気に瞬間的に変わるかもしれないですね。
日和見菌がたんぱく質を多く食べていると悪玉菌の手助けをするために一気に変化するかもしれないですし、無くなったら少しずつ戻るかもしれないですし。
逆に乳酸菌とか食物繊維が大量に入ってくると対応するために日和見菌が一気に善玉に変わるかもしれないですし。
あくまでも可能性ですが、この考え方は私にしっくりくるので結構好きです。
そこは変化の過程をしらないし、研究機関の人間ではないので分かりませんが。
 
最後にビフィズス菌を摂ったからといって便秘解消・改善に繋がるのか?という部分もあります。
その話を次回はしたいと思います。