糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

トイレの頻度や安定したリズムが健康の条件になるのか?

色々なサイトを見るのですが、便秘が起因での不健康を煽る所がよくあります。
便秘により「毒素(?)」が溜まって大腸がんのリスクが高まったり高血圧、肝臓病などの生活習慣病を誘引したりするとか紹介されていますし、「解消のためにぜひ我が社の乳酸菌を摂りましょう」とか販売につなげるようなサイトもあります。
 
厚労省のサイトの中でも、
 

弛緩性便秘の予防や治療には、規則正しい日常生活・食事・排便・適度な運動を心がけましょう。
(中略)
これらのポイントに留意するとともに、水分を十分に補給しましょう。特に朝食を欠食しないようにして規則正しい食生活を心がけましょう。それから薬物に頼らず、栄養食事療法・運動療法を根気強く続けて自然な排便リズムを回復することが理想的なので、朝食後など決まった時間での排便を、たとえ便意がなくても毎日続けて習慣化させましょう。

 

安易に薬に頼らない方がいいという話をしていますが、紹介している内容が便秘改善に繋がらないから薬に頼るんじゃないのとツッコミを入れたくもなるのですが、それは置いておきましょう。
 
で、上記の引用先にもあるように「自然な排便リズム」が大事としているにもかかわらず、文章の後半では「決まった時間での排便習慣をえるために毎日「便意が無くても」続ける」としています。
この文章から「色んな習慣や生活リズムがあるけれど毎日排便するのが理想だし、それが一番だよね」という風にしたいのかなと感じてしまいます。
 
排便リズムって食事内容によって人それぞれのものになるんじゃないですかね?
 
別のサイトでもありますが、
 

朝食をしっかり食べましょう
朝食は、ただ単に1日3食のうちの1食ということだけではありません。体の中の老廃物や有害無益な物質を体外に排出させるという大変重要な役割を持っています。朝食後に便意を催すことが多いと思いますが、この機を逃がさないことが肝心です。

 

という感じで「便秘の予防としての」朝食を推奨を推奨しているのですが、朝食が関係するのかどうかは、その人の生活習慣に大きく影響すると考えます。
人間に限らず、生物って食べる物や時間帯によって排便の内容は当然変わります。
私は朝食を摂ろうが摂るまいが便意が生まれる事もあれば生まれない事もあります。
そして朝食の時間も一定ではありません。
例えば朝7時に起きてから昼過ぎまで食事を摂らずにコーヒーや水だけで過ごす事もありますし、9時前にはお腹が空いて食事をする事もあります。
それでも毎日出る時もあれば、2~3日出ない時もあります。
食べる物や生活リズムが毎日同じ訳ではありません。
生活リズムは安定しやすいかもしれませんが、食べる物は毎日異なる場合がほとんどだと思います。
それなのに、毎日「便意が無くてもトイレに入れ」というのはちょっとおかしな考えだと、私は子供のころから思ってました。
まぁ、便秘には悩まされていましたが(笑)
 
毎日のリズムを作るためにも「朝食を摂る」という項目はよく見るのですが、ただ朝起きてから排便の衝動に駆られるタイミングが朝食の時間に近いタイミングであるという事ではないかと考えます。
物を食べてすぐにその物が排便されるわけではないですから。
食べ物を食べて消化されるのに10時間~と言われているデータを参照にすると、前日の夕食や昼食のもの(朝食やその前日の夕食が含まれている場合もあると考えられる)が朝の時間帯の排便となりやすくなる訳です。
 
朝食関係ないじゃん!と考えています。
 
あと便秘から生まれる症状としては、前述しましたが、生活習慣病やがんの誘因となる他に有名なのが、お腹が張ったり「肌荒れや吹き出物が出来やすい」というのがあります。
お腹の張りは排便したいものがどんどんたまればそらそうなるよと思いますが、
「肌荒れ・吹き出物というのは便秘だから肌にも悪影響を与えて発生するのか?」
それとも
「便秘になりやすい状況だから肌荒れ・吹き出物が発生するのか?」
 
私は後者だと考えています。
 
肌荒れ・吹き出物の原因としては、外的な環境の変化であったり老廃物が溜まったりして体の外に出せない時の炎症であったり肌状態が悪くなる事で起きやすくなります。
 
そもそもですが、肌環境というのは「水分(保水)と油分(保湿)」のバランスが影響します。
水だけを与えても揮発して返って乾燥を促す事になりますし、油だけを与えてもカピカピになり水をはじいてしまいます。
化粧品でも化粧水・乳液・クリームと種類があります。
風呂上がりの状態からまずは化粧水で水分を与えます。
次に、水と油の混合である乳液で化粧水を肌に馴染ませるように働きます。
最後にクリームで水分蒸発を防ぎ、皮脂膜の代わりのような働きをし、バリア機能も果たします。
私はこんな感じのイメージで薬店勤務時代に身につけて販売してました。
ちょっと化粧品のニュアンスが違ったら申し訳ないです。
 
このように水分のバランスが乱れても油分のバランスが乱れても肌に悪影響を与えます。
以前、便秘改善には「脂質とマグネシウム」という話をしましたが、食事に関してで「肌荒れが起きやすい」要因で有名なものがあります。
 
カロリー制限ダイエットをした時に起きうるものです。
 
「ダイエットをすると肌荒れしたり、髪がパサパサしたりするよね~」という話は、職業柄よく耳にします。
徹底して脂質摂取を避ける事でカロリー低下につながるので、ダイエットの主流となっていた(なっている?)方法論だからです。
脂質が不足すると、脳や臓器のような生命維持に必要な部分への脂質供給優先されるため、身体の隅々に行き渡らせる事が出来なくなり、肌荒れや髪質低下につながりやすくなります。
身体に脂質が十分以上にあると、肌・爪・髪といった部分にも行き届くため、潤いや艶や肌トラブル改善につながるし、当然便秘改善にも繋がります。
 
少し言い過ぎかもしれませんが、「便秘が肌荒れを誘発する」という主張は何が原因か?というものを入れ替えて、自身の理論を主張するための道具に使っているように見えてしまいます。
ひょっとしたら私の主張もそれに該当していると感じる人がいるかもしれませんが・・・。
その時は指摘をいただけると嬉しいです。
 
話が逸れたかな?
ちなみに便秘の定義としては
 

3日以上の排便間隔と残便感を基準とし「排便の頻度が週2回以下で、便が硬く、排便困難、残便感がある状態」や「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」と考える専門家もある。一方、本人に自覚症状がなくても腹部X線画像診断により便の滞留を認めた場合は便秘と診断される事もある。

 

という事のようです。
次回は「長時間滞留すると酸化や腐敗がすすむ」というが、その「長期間ってどれくらいだよ」という時間についての考察をしたいと思います。