糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

便は腐敗するのか?

前回からの続きです。

人が食べ物を飲食した後、便として排出するまでに24~72時間かかりますが、そのうち大腸を通過するのに10時間ほど要すると言われています。
 
とくに動物性タンパク質や動物性脂肪を多く含む食事は消化に時間がかかり、腸内の滞在時間が長くなる傾向にあります。
 
食べ物が腸内に長くとどまることで酸化や腐敗が進み、濃い色の便になります。

 

という話がよく引用されています。
私が良く分からないのが「腐敗が進む」という状態です。
どのような状態が「腐敗が進んだ状態」なのでしょうか?
後段でも

腸内が善玉菌優勢の弱酸性の状態であれば、健康的な黄色っぽい便になります。
 
反対に、悪玉菌優勢のアルカリ性の状態であれば、黒ずんだ濃い色の便になります。
 
「食べ物が腸内に長くとどまると濃い色の便になる」というところでも触れましたが、腸内で酸化・腐敗した物質が多く溜まると悪玉菌が増え、腸内はアルカリ性に傾くのです。

 

という感じでアルカリ性状態だと黒色の便になるとしています。
 
ここで私が着目するポイントは、
①「長時間滞留しているから濃い色の便になる」のか?
②「酸化するから濃い色の便になる」のか?
③「腐敗するから濃い色の便になる」のか?
④「腸内がアルカリ性に傾くと濃い色の便になる」のか?
という事がひっくるめて書かれているので、紐解いていかないと理解が進まないと思う訳です。
 
①と②の話は前回お話しした通りで、滞留時間が経過すればするほど空気(気体?)に触れる時間が長くなるため、酸化しやすくなると考えます。
この2つの関連性は高いものだと考えます。
 
で、今回は③に関してなのですが・・・。
私は以前にも投稿していたのですが、
「そもそも体内でモノが腐ったら便秘どころの話でなくなるんじゃね?」
と思う訳なんです。
このように主張する方々は「どういう便の状態が腐敗しているのか?」という定義を示しません。
以前はマクロビ関係の記事を書いている時にこのような話をしてきましたし、最近では便に関する「臭い」は硫黄が関連しているという話もしてきました。
 
臭いが尺度であれば、硫黄成分を多く含む動物性たんぱく質であったりニンニク・玉ねぎを多く食べれば臭いは強くなりやすくなっていきます。
以前にも記載しましたが、仮に「腐敗したもの」を食べたとします。
そうすると食中毒となり身体から即時に排出する必要があるため「嘔吐」「下痢」の症状が出ます。
この時に「下痢止め」の医薬品を摂取すると、身体にとって良くないものを体内に留める事に繋がりやすいため、避けないといけない対処法となります。
 
話を戻します。
 
私は腐敗と聞くと「体に有害なもの」というイメージが一番に来るのですが、実際は腐敗という言葉にはいくつか意味があります。
 

腐敗(ふはい)とは、有機物が微生物の作用によって変質(不完全分解)する現象をいう。腐敗には、それにより味の劣化や不快臭、有毒物質が生じる場合(狭義の腐敗)と、有用または無害な場合とがある。また、「精神が堕落し、悪徳がはびこること」を意味することもある。

 

ふはい【腐敗 putrefaction】
食品,生物の遺骸,分泌物,排出物などの有機物が,微生物の作用によって分解して変質し,悪臭などを生成する現象をいう。腐敗が起こると,多くの場合に酸素の供給が不十分な状態で,微生物による代謝が発酵的な型式によって進行するため,種々の不完全分解物が生成する。とくにタンパク質からは各種のアミン,低級脂肪酸,メルカプタン,硫化水素インドールスカトールアンモニアなど,悪臭の原因となる多くの物質が生成するので,一般に腐敗の主要基質とみなされるが,炭水化物,糖からも酪酸,プロピオン酸,アセトイン,ジアセチルなど,脂質からも各種の低級脂肪酸やカルボニル化合物が生成して悪臭の原因となる。

 

こんな感じで定義があります。
 
色々な場面があると思いますが、共通しているのは「不快臭が生じる」という事でしょうか?
ちょっと長くなってきたので次回に。
 
もう少し「腐敗」について掘り下げていきます。