糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

便は酸化するのか?

前回の続きです。
引き続きこちらのサイトをベースに話をしていきたいと思います。
 
前回は普段見慣れない色の便の方に着目しましたが、今回は日常目にする事がほとんどであろうこのサイトでいう「黄土色」「茶褐色」「濃い褐色」に触れていきます。
 
まず、便の色についてです。
 
引用サイトでも図解してたり
 

食べ物が腸内に長くとどまることで酸化や腐敗が進み、濃い色の便になります。

 

とあるように、滞留時間が長くなると水分吸収が進むので便は硬くなっていきます。
それは皆さんも実感出来ている部分だと思いますが、この文には2つの要素が含まれています。
 
①食べ物が腸内に長くとどまると濃い色の便になる
②酸化や腐敗が進むと濃い色の便になる
 
まず①については皆さんも経験があると思いますし、引用サイトでも紹介されています。
私も経験上の話ですが、下痢になったり便秘になったりするのですが、水のような便が出る時は色が薄く(白っぽく)、便秘の時に出した便の色は暗い焦げ茶色のような色をしています。
逆に便秘の時に出した便の色で薄かった事は無いと思います。(下痢便の時は茶色い時も白に近かったりする時もあったと思います)
 
少し細かい部分に触れますが、大腸の通過時間についてです。
図説では非常に速いとして「約10時間」で水様便とあるのですが、水様便は下痢の状態であったり近いものであると考えます。
 
理想的とされるバナナ状の便の水分量は70%~80%ですが、これが80%~90%になると「軟便」、水分量が90%を超えると水様便となり「下痢便」の状態になります。
(中略)
腸の「ぜん動運動」が過剰になった場合、腸の内容物が急速に通過するため水分の吸収が十分に行われません。そのため、液状の糞便となり下痢便や軟便になります。
また、腸から体内への水分吸収が不十分な時や、腸からの水分分泌が増えると、腸の中の水分が異常に多くなり下痢便や軟便になります。

 

色々なサイトを見ても、大腸の長さは約1.5mとしている所が多く、1.5~2.0mの範囲内がほとんどです。
本当に10時間もかかるのかな?と感じてしまいます。
大腸の長さを1.5mとして考えると150cmで、それを10時間かけてという事であれば、1時間あたり15㎝進む事になります。
排便の時に噴き出すように出てくる水便が、時速15㎝しか大腸内を移動しないのでしょうか?
という所が気になります。(これは経験則での所感です)
 
話を戻します。
問題なのが②です。
 
「酸化や腐敗が進むと」と軽く記載しているのですが、本当に酸化・腐敗が進行して黒くなっているのでしょうか?
色んなサイトでも、この「酸化や腐敗」というキーワードが出てきます。
では本当に「酸化や腐敗」が行われているのでしょうか?
 
まず酸化についてです。
 
腸管内も「真空状態」という訳ではないため、空気というか気体は存在していると思います。
前回赤い便の話で消化管内で出血が起きると、肛門に近いほど鮮やかな赤に近い色であり、食道・胃に近いほど黒ずんだ色になるという話をしたのですが、それも酸化したからだと言われていますし、そうだと考えています。
他のサイトでも
 

赤ちゃんの便は、黄色をしていることが多く、この黄色は胆汁色素(ビリルビン)が便中に排出されているためです。この黄色は酸化されると、緑色(ビリベルジン)に変わります。便が腸の中に長くあった場合や腸の中が腸内細菌などによって酸性に傾いている場合、便が空気にさらされた場合など、色素は酸化されやすくなります。

 

便の色・尿の色(べんのいろ・にょうのいろ)では人の便(大便)と尿の色について記述する。健康な人の便・尿は一部の例外を除いて、食物・飲み物の色に関わらず便は黄土色、尿は淡黄色〜黄色の特徴的な色を示す。
健康人の便・尿を特徴的な色に染めている色素は主に古い赤血球が壊されヘモグロビンが代謝されて作られるビリルビンが細菌などの作用によってさらに変化して作られるステルコビリンやウロビリン(ウロクローム)によるものである。また、薬剤や疾患などによって便・尿の色が左右される事もある。

 

前回もほんの少し触れましたが、「ビリルビン」という胆汁色素が本来は黄色をしているという事と、ステルコビリンはヘム鉄を分解したものです。
これらが酸化して緑色であったり黒色(暗褐色?)へと変化したりするので「理想とされている黄土色・茶褐色」に近い色というのは、「酸化が進んでない状態・排便までの時間が比較的短いもの」であると考えられます。
 
「酸化」は行われていると考えます。
 
では「腐敗」はどうでしょうか??
 
長くなってきたので、次回に。