糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

肉を食べたら腸で腐敗しておならが臭くなるという話を耳にします

皆さん、こんにちは。
ちょっと投稿が遅れました。
ごめんなさい。
今後も継続して一日置きに投稿予定ですので、よろしくお願いします。
 
さて、IBSのガス型の方でお腹の張りやおならが出るという傾向の方がいらっしゃるのですが、その対処方法としてよく言われている内容を、様々なサイトで情報をあさっています。
主張は色々あっていいと思います。
ただ、不思議だなぁと思う内容もあるわけです。
それがタイトルにも挙げました「肉を食べたら腸で腐敗する」という話です。
 
今回は私自身の検証段階でもあるので、一概には言えないのですがそんな事が起こるのかなぁ??と思ってしまいます。
結論としては「肉を食べる=おならが臭くなる」という方向に持っていきたいと思うんですけど、果たしてそうなのか?と疑問を感じてしまいます。
 
まず「腐敗」という言葉をつかっているので、その定義から触れたいと思います。
腐敗(ふはい)とは、有機物が微生物の作用によって変質(不完全分解)する現象をいう。腐敗には、それにより味の劣化や不快臭、有毒物質が生じる場合(狭義の腐敗)と、有用または無害な場合とがある。
【中略】
食品における腐敗とは、細菌類の作用によってタンパク質が分解し、人体に有害な物質が発生することをいう。炭水化物、脂肪などが分解し有害な物質が発生する作用を変敗というが、腐敗は変敗を伴うことがほとんどである。なお、主に酵母の働きによって無害に分解変化することを発酵、光、空気、水などの作用で実質が変化することを変質と呼ぶ。

 

という感じです。
 
腐敗したものを食べたら、食中毒を引き起こします。
急性胃腸障害という事で、私も経験しましたが生焼けの鶏肉を食べてカンピロバクターに感染したり、牡蠣や生レバーを食べてO-157に感染したりとか、あとは魚を生で食べてアニサキスが激しい胃痛を引き起こしたりします。
これらは、食べる前の段階で十分な加熱処理等の対策を行なう事で、熱耐性を持っていない細菌・ウイルスであれば死滅します。
基本的に食べる事で急激に体調が変化するというのは、アレルギー症状であったり食中毒様症状という事で判断していいと思います。
 
ちょっと前置きが長くなりましたが、肉って消化に悪いものなのか?という話から始めたいと思います。
人間にとって消化に良いものの順番をPFC(たんぱく質・脂質・炭水化物)という3大栄養素で挙げるのであれば
 
たんぱく質≧脂質>炭水化物」です。
 
タンパク質や脂質は消化酵素が胃に存在しています。
強烈な胃酸で溶かし、分解して速やかに小腸に送られます。
それ以降もそれぞれの栄養素が膵臓・小腸でさらに分解・吸収されていきます。
 
「糖質は急激に血糖値を上げるじゃないか」
と声を上げるかもしれません。
確かにそうなのですが、炭水化物は「糖質+食物繊維」です。
糖質は速やかに運ばれ30分後には血糖値に影響するほどになるのですが、食物繊維は違います。
食物繊維はもともと人間の身体では消化出来ません。
大腸の細菌によって分解されていくのですが、原型が残ったまま小腸へと進んでいきます。
という事なので、胃を通過する時間というのは「炭水化物」が一番遅くなります。
脂質の満腹感と言いますが、それはホルモンによる満腹中枢の刺激によるもので、脂質がずっと胃にとどまり続けているという事ではないです。
 
糖質制限を行なう事で逆流性食道炎の人は劇的に状況が良くなります。
それが発症する理由の多くは消化しにくい「炭水化物」を大量に摂取する事で、お腹の中で食物繊維を含む大量のカスが残ります。
胃は少しでも形状を小さくするために強力な酸をどんどん送り込み溶かしていこうとします。
ですが、消化酵素も無くアルカリ性に寄っている食べ物も多く、なかなか溶かす事が出来ません。
その結果、普段よりも多くの胃酸を出し過ぎてしまい、それが溢れてしまうというのが私の考えです。
だいたいこんな感じのイメージを持っていますが、正確に話すと長く小難しくもなるので、この程度で良いと考えています。
対処法として炭水化物を摂らなければ、脂質もたんぱく質も速やかに腸へ送り込まれるので、適量のですむので、胃酸が溢れかえる(逆流する)事が無くなるという感じです。
逆流性食道炎の方は、穀類や野菜といった「炭水化物」を抑える方が良いとおススメします。
 
で、これくらい消化に良い「肉」(たんぱく質)が、腸で腐敗するのか?という話だったのですが、寄り道して長くなったので、次回に回します。