糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

女性が摂るべき12の食材という記事をみての所感

私はこういうタイトルが苦手ですw。
 
中身を見ていただいても分かると思うのですが、別に女性だからという事ではなく、健康に対する意識が高いのであれば食べた方が良いというだけのようなリストにしか見えません。
女性特有というのであれば、生理により発生する鉄分不足のような事であったり更年期障害が表面化しやすいという事がありますし、生殖器の腫瘍といった事を連想します。
ですが、今回取り上げているのが以下の12種類。
 
きのこ類 鶏むね肉 玉ねぎ 玄米 芽キャベツ かぼちゃ レンズ豆 牡蠣 サーディン(イワシ) チアシード ケール キヌア
 
鉄分に関係するのは牡蠣くらいかと感じます。
レンズ豆も鉄分は多いですが、植物性の鉄分です。
効果は動物性鉄分の1/3程度です。
どちらが効率的かがわかると思います。
 
それでは気になった部分に触れていきます。
まずキノコ「類」としているのがズルいと思いますが、キノコ類についてです。
 
この記事自体は2019年の7月25日のものです。
解説ではコレステロール値を下げるという話をしていますが、摂取コレステロール基準は撤廃されています。
いつまでこのような情報を引っ張ってくるのでしょうか?
そして、がん細胞も云々という話をしていますが、確かにシメジを原料に癌治療のための新薬が作られていますが、通常食で食べる程度の量で、どれほどの効果が得られるのか?はなはだ疑問です。
 
キノコを食べる時は加熱してからとありますが、海外では知りませんが日本では生食可能なキノコはマッシュルームだけで、新鮮なもののみが対象となるようです。
加熱しないと消化不良とありますが、もともとキノコは繊維質の塊です。
食物繊維は消化出来ませんので、少し的外れのような感じがします。

次に玉ねぎです。
「玉ねぎのポリフェノールとフラボノイドの含有量の多さはトップクラス。」
細かいですが、フラボノイドはポリフェノールの中の一種です。
そして玉ねぎが持っているポリフェノールはフラボノイドの一種であるケルセチンです。
ポリフェノール>フラボノイド>ケルセチン」といった感じです。
上記の資料によると、玉ねぎのもつポリフェノール量の平均は0.03から0.06のようです。
ちなみにほうれん草は平均0.08から0.10で、ゴボウは平均0.34、春菊0.19、レンコン0.16となります。
この資料からだとケルセチンを含むのは玉ねぎだけなので比較は難しいですが、ポリフェノールを細分化していった先のケルセチンが占める割合というのは、そんなに多くないと思います。
それだったら、他に多く含むほうれん草・春菊・レンコン・ゴボウを食べる方が、はるかにポリフェノールを得る事が出来ると考えます。
で、この中で糖質を含まないという視点で考えると、ほうれん草・春菊を食べる方が玉ねぎよりもはるかに優れていると考えます。
 
ちなみに他の資料では

www.nestle.co.jp


100gあたり
ゴボウ49
ほうれん草42
ブロッコリー35
大豆15
ブドウ12
赤ワイン230

 

http://ttp://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20000508_1.pdf


フォリン-チオカルト法による総ポリフェノール量の測定結果一覧(mg/100g または mg/100ml)
キャベツ10 ほうれん草105 ジャガイモ45 玉ねぎ65 大根15 人参15 トマト40 リンゴ55 バナナ50 みかん105
 
という数値が掲載されています。
恐らく引用サイトが引っ張ってきた資料というのは、この最後のものではないかと感じます。

次にいきますが、出ました「玄米」です。
玄米自体は別に悪いと言いませんが、少し持ち上げすぎな感があります。
低脂肪
食物繊維豊富
セレンの供給源
マンガン
ナイアシン
が多く、白米を食べるんだったらこちらをと紹介しています。
この2つの比較であれば、間違いなく玄米となるのですが、トータルで考えるのであれば白米でも玄米でもなくていいと考えます。
 
セレンの供給源という事で含有量を見てみます。
1オンス28.35g
玄米1カップ19㎍
エビ3オンス34 鮭3オンス40 豚肉3オンス35 牛肉3オンス16
供給源には他の食材の方が適していると感じます。
30〜49歳の男性の推定平均必要量が30 µg、推奨量が35 µgとなっているため、そこまで不足しやすいものでもない栄養素だと感じます。

続いてマンガンです。
目安量3.5~4.0mg
玄米1.04 白米0.35
引きわり納豆1.03 ひよこ豆1.10 アサリ0.10 枝豆0.74 春菊0.49 鶏レバー0.33
マンガンについては植物性のものに多く含まれています。
ですが、通常の食事であれば不足も過剰の心配もないような状態です。
マンガンに関しては、玄米は特筆すべき点であると感じます。

ナイアシン (Niacin) は、ニコチン酸ニコチン酸アミド(ナイアシンアミド)の総称で、ビタミンB3 ともいう。

 

働きとしては
脂質、糖質、たんぱく質代謝に不可欠。
アルコールの分解に関与。お酒を飲むほどナイアシンが消費されます。
玄米 2.9 白米 0.2 ではあるが、ナイアシンはレバー・肉類・魚類に多く含まれています。
かつお 19.0 さば 10.4 さんま7.0 豚レバー14.0 鶏ささみ11.8 魚肉ソーセージ5.0
という感じです。
これらの栄養素の比較と、私の視点である「糖質」の事を考えると、無理して食べなくても良いのではないかと考えます。
ましてや3食玄米を食べるなんてあり得ないと感じてしまいます。
わざわざ糖質を大量に摂って、エネルギーに換算できないようなリスクを産み出すのは、総合的な栄養の面からアピールするような材料ではないと感じますね。
糖質を摂らないで、ビタミンを代謝・エネルギーに回す方が、よほど効率的に疲労回復や健康増進に繋がっていきます。
 
続きます。