糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

野菜と熱中症と塩

ちょっとテーマが変わります。
夏で熱い日々が続くので、ちょっと熱中症の話をしたいと思います。
 
今回のテーマは【きゅうり】
含まれる栄養成分のほとんどが水分のきゅうり。夏にぴったりなみずみずしさと、パリッとした歯ごたえが美味しいですよね。ミネラルであるカリウムが豊富に含まれているため、体内の塩分(ナトリウム)の排出を促します。高血圧予防や、むくみ予防に効果的な食材です。

 

という文章をみつけました。
ある管理栄養士が残しているのですが、だいたいきゅうりを説明する時のテンプレのような文章です。
ナトリウム排出というのは良いのですがそれとは別に、熱中症の話もあります。
熱中症対策として水分補給や塩分補給が呼びかけられています。
私たちの身体には、約0.9%の食塩水と同じ浸透圧の血液が循環しています。
また汗をかいた肌をなめると塩辛い味がすることからわかるように、汗にはナトリウムが含まれています。
大量に汗をかいてナトリウムが失われたとき、水だけを飲むと血液のナトリウム濃度が薄まり、これ以上ナトリウム濃度を下げないために水を飲む気持ちがなくなります。
同時に余分な水分を尿として排泄します。
これが自発的脱水症と呼ばれるものです。
この状態になると汗をかく前の体液の量を回復できなくなり、運動能力が低下し、体温が上昇して、熱中症の原因となります。
熱中症予防の水分補給として、日本スポーツ協会では、0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40~80mg/100ml )と糖質を含んだ飲料を推奨しています。
特に1時間以上運動をする時は4~8%の糖質を含んだものを摂取しましょう。
冷えたイオン飲料や経口補水液の利用が手軽ですが、自分で調製するには1リットルの水、ティースプーン半分の食塩(2g)と角砂糖を好みに応じて数個溶かしてつくることもできます。
長時間運動を続ける場合には、ナトリウム濃度をやや高くすることが必要です。
トライアスロンなど長時間の運動では、血液のナトリウム濃度が低下して、熱けいれんが起こることが報告されています。
また、糖を含んだ飲料が推奨される理由としては、腸管での水分吸収を促進することが挙げられます。主要な糖であるブドウ糖は、腸管内でナトリウムが同時にあると速やかに吸収されます。
そしてそれらに引っ張られ水分も吸収されるというのがそのメカニズムです。

 

という事です。
どれくらいの状態の時にどれくらいの塩分(水分)を摂取しようという所までの記載はありません。
 
ですが、積極的に摂取しようという話は、皆さんも聞いた事があると思います。
ここで矛盾を感じます。
塩(ナトリウム)を摂取しろと言う割には、野菜(カリウム)も摂取しようという話をするのです。
野菜を350g食べましょうという話は聞いた事があると思います。
塩を摂取しても、野菜を食べたら排出される訳です。
それでは熱中症予防にならないのではないでしょうか?
 
戦後から高度成長期にかけての時代、まだまだ機械化が進んでおらず人海戦術で荷物運びを人の手で行っていた頃ですが、真夏の期間、労働者は塩を支給されていました。
重い荷物を運びながらその都度で塩を舐めるためです。
こうする事で熱中症予防にもなるし筋痙攣を防ぐ事にもなるわけです。
 
当然、ここでいう塩というのは塩化ナトリウム99%以上のものではありません。
あれはただの工業用として使えるものを食用にしたものですから。
ナトリウム以外のミネラルを豊富に含む塩の事を指します。
シンプルに考えると、熱中症予防を効率良く行なうためには、カリウムの多い野菜を食べ無い方が良いという事になります。
マイナスになる事を排除した方が、当然効率良い事に繋がります。
 
ですが、あれほど塩を摂取しよう・水分摂取しようと各所でアピールされているにもかかわらず、ある団体は「塩は普段からも多すぎるくらい摂取してるから、余計に摂るなんてとんでもない!」としています。
 
高血圧学会です。
 
しかし日本高血圧学会減塩委員会によると、日本人の食塩摂取量は1日平均10g程度と多く、必要な量をはるかに超えているという。
そのため「高血圧の人は、原則として夏でも適切な減塩が必要で、1日6g未満が望まれる」「通常の食事を摂っている人は、意識的に塩分摂取を増やす必要はない」ことを公式サイトで呼びかけている。
ちなみに、食品や飲料水に含まれる食塩量は以下の通りで、意外に多く含まれている。
味噌汁 1杯当たり約1.5g
梅干し(調味漬・塩漬) 1粒当たり1~2g
食パン1枚(ロールパン2個) 約1g
スポーツ飲料 500mL当たり約0.5g
経口補水液 500mL当たり約1.5g

 


そもそもですが、高血圧の原因は何度も何度も書きますが「不明」です。
 
確かに塩分を摂取する事で高血圧になる人もいるそうです。
食塩感受性高血圧と呼ばれる人であれば、直接影響を受ける事になります。
ですが、この食塩感受性高血圧は二次性高血圧の方に分類されて、日本人の高血圧患者の約2~3割を占めています。
その中の一部が、この塩感受性高血圧のグループとなるわけです。

高血圧は、本態性高血圧(原因がはっきりしない)と二次性高血圧(原因が特定できる)に分けられます。
日本人の高血圧の約7-8割が本態性高血圧であり、生活習慣などの環境因子や遺伝的因子により起こります。
一方、二次性高血圧は若年者に多く血圧を上昇させるホルモンの異常や心臓・腎臓・血管の病気などで起こります。

 

にも関わらず塩を「減塩は全ての人に対象とされるもの」として推奨されています。
よく分からないですが「塩を過剰に摂る事で疾病の原因になりやすい・リスクが上がる」というのが理由のようです。
 
本当によく分からないです。
 
日本人の高血圧患者は約4300万人と言われているそうです。
その中の2~3割ですので、860万人から1290万人が二次性高血圧の部類となります。
さらにその中の一部(人数割合公表無し)の人が、直接塩から影響を受けるという高血圧患者が存在しています。
日本国民の数を1億2千万人とします。
そのうちの二次性高血圧の人数が860万人から1290万人という数です。
その割合は全日本人の7%から10.7%程度です。
そこからさらに少ない割合で、この「塩が原因で高血圧となる人」が存在している訳です。
 
全人口の5%以下ではないでしょうか?
にも拘らず、残りの95%以上の人にも減塩を推奨しているのです。
皆さんは、なぜ減塩をしているのでしょうか?
 
よく分からないのです。
 
私は塩を食べると旨味を感じるし美味しく食べる事が出来ます。
熱中症予防にも当然繋がるし筋肉の痙攣を抑える事も出来ます。
夏野菜も美味しいので、食べるとカリウムの影響を受けるので、推奨するのであれば塩が不足する事になるので、熱中症のリスクが上がります。
だったら、普段以上の塩分を摂取するのが自然です。
ですが学会は「塩分という数字」だけにしか焦点をあてないため、熱中症のような外的な影響を考えません。
 
日本スポーツ協会が推奨しているにもかかわらずです。
 
普段涼しい部屋の中でオフィス仕事に従事しているからではないか?と皮肉交じりの推測をします。
学会であるなら、学会という看板を掲げるのであれば、そういった事も含めて研究をしたらいいと思います。
となると、学会員自らの検証ですね。
肉体労働をして塩分を摂取しなくても問題無く労働に従事できるかを実践してもらいたいですね。
余分に塩が必要無いというのであればです。
生活レベルに応じた情報を提供したいのか、自分の主張をゴリ押ししたいのかよく分からないです。
 
という訳で皆さん、健康に害しないのであれば旨い塩を食べましょう。
野菜もより多くとるのであれば、より多くの塩を食べましょう。
コンディションが上がりますよ?
 
以上です。