糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

宿便って何さ?

先日というか、最近ちょくちょく動画広告で上がっているのを目にしますが、「宿便が身体の中に5キロ存在しています」というような紹介をしていて、それを改善するとダイエットに繋がるぞという事で、なんか変なのを販売したり、特別なセミナーや講座へと誘導しているものがありました。
気にしている人は「宿便」という言葉を知っていると思うのですが、そもそも「宿便」ってなんでしょう?

宿便(しゅくべん、Fecal impaction)とは、便秘により腸内に長く滞留している糞便のことである。
必要な場合には治療として浣腸などが行われる。
滞留便(たいりゅうべん)とも呼ばれることがある。

 

とあります。
ある病院のサイトでは、
 
宿便とは・・・?
宿便
腸壁にこびりついている老廃物です。これはヘドロ状又は腸管内にある固くたまって何ヶ月あるいは何年ものあいだ動かなくなった便のことで、放っておくと排出されません。
宿便は消化吸収を妨げて毒素を発生し、血液を汚していろいろな病気を引き起こします。
宿便の量は・・・?
どんな人でもおよそ3~5kgの宿便があると言われています。
便は宿便の内側を通り抜けるので、毎日便通のある人でも宿便がたまっています。

 

という事のようです。
どんな人にも存在しているそうです。
で、それがどのようなものかという事に触れますが、別のサイトでは、
 

宿便とは
西洋医学では、内視鏡で大腸内を見ても、宿便は存在しないといわれています。
しかし、断食をして梅流しをすると、驚くほど大量の便が出ます。
梅流しで出た便は、普段の便とは形状が異なります。
例えば、ドス黒い便、砂のような便、ワカメのような便など、形や色は様々。
私の師匠は、これを「小腸の粘膜や絨毛にこびりついている、古い組織や汚れが剥がれ落ちたもの」と説明しています。
通常の便も、半分以上は腸内細菌の死骸と腸壁が剥がれたものだといわれているので、便は食べ物のカスだけとは限らないのです。

 

という様な話をしている所を見つけました。
 
整理をしていきます。
 
・腸壁にこびりついている
・宿便が消化吸収妨げと毒素排出を行なうので無い方がいい
・人体には3~5㎏の「宿便」がある。どんな人にもある。
・宿便が排出された時の形状は様々。(通常の便とは異なるらしい)
・ヘドロ状または腸管内にある硬くたまって何カ月から何年物間動かなくなった便。放置すると排出されない
 
という感じでしょうか?
 
また、ある医学博士は

医学博士の甲田光雄は、一私案と断った上で、宿便の定義を「胃腸の処理能力を超えて、負担をかけ続けた場合、腸管内に渋滞する排泄内容物を総称したもの」であるとしている。
甲田によれば、腸管には約100種類の腸内細菌が百兆個ほど棲息し、酵素を出し分解しており、さらには腸管の粘膜は3日に1度くらいの割合で生まれ変わるため、腸壁にいつまでも便がこびりつくことはない。
しかし、腸は処理能力を超えて食べ続けると胃腸が伸びて垂れ下がり、横に広がったりする。
このため安定が悪くなり、癒着が起こり癒着部分が変形し細くなったり、捻じれたりする。
そこに食物残滓が引っかかり通りが悪くなって宿便となるが、断食で排出されるとしている。

 ウィキペディアより

 

という、「一私案」とわざわざ断って話をしています。
そのため排出しようと洗浄であったり、方法を、色々な方々が提案しているのですが・・・。
ひとつづつ指摘をしていきたいと思います。
まず「宿便」というものですが、そもそも医学的にはあり得ないとされています。
国語辞典には、「宿便:排泄されないで長い間、腸の中にたまっているふん便」等と記載されているが、宿便は医学の専門用語ではない。
健康法や健康ビジネスに関する一部のウェブサイトや書籍では、便秘でない人も含めて古い糞便が3㎏-5㎏も腸壁にこびりついていたり、腸の湾曲部に滞留したりしていると主張し、それを「宿便」と呼んで、デトックスによる排出を勧めるものがある。
これに対して、そのような意味での宿便は大腸の内視鏡検査やX線撮影でも確認できず、医学的にはあり得ない。

 ウィキペディアより

 
という事です。
 
そして、「宿便」という言葉自体が、そもそも定義が曖昧になっています。
 
まず、最初に紹介したどっかの病院の腸内洗浄方法なのですが、そもそも腸内洗浄は、「大腸」についての洗浄を行ないます。
小腸も洗浄できるかもしれませんが、しっかりと
 

腸洗浄法を受けられる患者様へ
腸管洗浄法として、
1.直接チューブを肛門に入れ、温水にて大腸洗浄を行う
2.特別な液体の下剤を飲んで、自分で排泄するがあります。
両方の洗浄法も腸管に大きな病気がないことが大前提で行われます。
可能であれば、一度大腸カメラを受けていただき、ご自分の目で腸内を観察されることが望まれます。

 

と、「大腸を洗浄する」としっかりと記載されています。
ここでは大腸を洗浄して、「大腸に存在するとされる宿便」を体外に排出する方法を提案しています。
続いて、2番目に紹介したものは、

小腸の粘膜や絨毛にこびりついている、古い組織や汚れが剥がれ落ちたもの

 

とし、小腸視点で「宿便」が残っている(小腸の粘膜や絨毛にこびりついている)としています。
宿便というものが存在しているのは「腸壁」という事のようですが、「小腸」「大腸」「両方」の、どこの腸壁なのでしょうか?
大腸の内視鏡検査やX線撮影では確認できないものです。
となると、小腸なのでしょうか?
そして、どっかの病院の主張は「嘘」となるのでしょうか?
 
では、仮にですが、小腸にあるとします。
小腸からの排出方法は、何度も引用しますが「断食」により行われるそうです。
 
腸管には約100種類の腸内細菌が百兆個ほど棲息し、酵素を出し分解しており、さらには腸管の粘膜は3日に1度くらいの割合で生まれ変わるため、腸壁にいつまでも便がこびりつくことはない。
腸は処理能力を超えて食べ続けると胃腸が伸びて垂れ下がり、横に広がったりする。
このため安定が悪くなり、癒着が起こり癒着部分が変形し細くなったり、捻じれたりする。
そこに食物残滓が引っかかり通りが悪くなって宿便となる

 

個人的な意見でも「腸壁にいつまでも便がこびりつく事は無い」としているにもかかわらず、「食べ過ぎの状態を続けたら、胃腸機能が低下して排出されにくくなるから、それが宿便になって悪影響をあたえるよね」としているのです。
ここでは、腸を飛び越えて、「胃」を持ち出してきています。
この意見は、あくまでも、「一私案」として紹介されているものです。
 
どうでしょうか?
「宿便」に対する印象は変わってきたでしょうか?
 
少し長くなってきたので、次回に回します。
 
次は、宿便に対する対策方法についてです。