糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

ビタミンUの含有量がわかったので追記

「キャベツ〇個分」というような表記が無いのでイメージをしにくいのですが、恐らく含まれているのは、100gあたりでも、極わずかであると考えます。
そうすると、食事で大量に食べたところで、1玉も生で食べれないと思います。(加熱すれば何とかいけるかもしれないが、MMSCが壊れる・・・)

 

先日、このような投稿を行ないました。
キャベツのビタミンU含有量が確認できましたので、その報告を兼ねて追記していきます。
ビタミンUの目安摂取量
ビタミンUは必須栄養素には分類されていないため、目安摂取量は定められていません。体内でも合成される成分のため、ビタミン様物質として取り扱われています。
欠乏症状と過剰摂取による症状の報告はありませんが、胃腸と肝機能の働きを改善する効果が明らかにされており、今後の研究が期待される成分です。
ビタミンUが多く含まれる食材・食事
ビタミンUが多く含まれる食材は以下の通りです。
ブロッコリー 590μg
アスパラガス 400μg
キャベツ 350μg
大根 260μg
ピーマン 180μg
 ※特に記載のないものは、食品100gあたりの含有量を表示しています。

ビタミンUの摂取のポイント
水に溶けやすく、熱に弱い性質があるため、サラダなど生のまま食べると効率よく摂ることができます。
加熱調理する場合は短時間で調理すると、ビタミンUの損失を少なく抑えられます。
また、スープやお味噌汁・煮物は、成分が溶け出した煮汁ごと食べることができ、胃腸を温めて新陳代謝の活性を助けるので、ビタミンUを効率よく摂ることができる調理法です。

 

という事のようです。
 
予想が当たってテンション爆上がりです。
 
1μgは、0.001㎎です。
キャベツ100gあたり、0.35㎎となります。
市販薬で「キャベジンコーワα」がありますが、配合量は150mgです。
キャベツ換算すると、約42800g分です。
キャベツの平均的な重量だと1個当たり1200gなので、約36個分です。
これだけ食べると、ようやく効果を実感出来る・医薬品として認可が下りるだけの量のビタミンUを手に入れる事が出来ます。
当然、不可能です。
 
色々なサイトで紹介されているように、「キャベツは胃腸に良い」「胃腸にやさしい」「胃腸改善」「食べる胃腸薬」「胃を健康に」という話をされています。
果たして本当なのでしょうか?
 
以前はハッキリとした数字が無かったので詰める事は出来なかったのですが、今回はハッキリしました。
約36個分のキャベツを食べてようやく実感・効果を得られるとなるのが、一日に100~200g程度食べた所で、「胃腸に良い・改善」とするとするのは、実感出来ない内容と考えられるし、改善という言葉まで使うのは、無責任であると思います。
 
もし、仮に修復する・改善するというのであれば、日々どれくらいの量を食べて、どの状態がどれくらいの期間で変化していったのか?というのを提示してもらいたいです。
 
そもそもですが、ビタミンU(MMSC塩化メチルメチオニンスルホニウム)が期待される効果というのが「荒れて弱った胃の粘膜を修復し、胃を正常な状態に整えます。」とされるように、「胃粘膜修復」作用というものだけです。
他の効果である「制酸剤」「健胃生薬」「消化酵素剤」については、他の生薬・薬剤で効果が得られる(効能がある)としています。
 
ビタミンUには、
制酸・・・出すぎる胃酸を抑える効果
健胃・・・消化不良・食欲不振解消、胃運動亢進作用
消化酵素・・消化機能アップ
これらの薬効が期待できない(表示が認可されていない)ものであるとされています。
つまり、150㎎もの分量を経口摂取したとしても、効果が認められるのが胃粘膜修復だけであり、消化・制酸・健胃は認められないとされるわけです。
 
薬剤の話をすると、市販薬で「胃粘膜修復剤」として使われているのは、MMSCだけではありません。
 
「アルジオキサ」「カンゾウ末」「銅クロロフィリンナトリウム」
 
少し調べただけですが、このように「胃粘膜修復作用」を持つものは他にもあります。
身近な食べ物から取り入れる事が出来るので、その手段としての「キャベツを食べようキャンペーン」というのは良いのですが、日常食べる量で胃粘膜修復作用も得られるかどうかも定かではないのに、そのほかの健胃・胃腸改善と誘導していくのは、どうなのでしょうか?
 
胃腸自体にも、状態を改善するための修復作用は、日々ターンオーバー(新陳代謝)を行なうので、日常的に行われています。
食べようが食べまいが、胃腸にダメージを与える行為を控えたりしなかったりすれば、元の状態になろうとしていきます。
数日経てば、不快感は基本収まります。
収まらなければ、他の症状が考えられるので病院に行きましょう。
その自己修復作用があるのに、キャベツを食べたら「改善」するというのはやり過ぎです。
改善するというのであれば、その自己修復作用と同等、またはそれよりも修復作用を加速させるほどの効果を得られるという事になると思います。
「改善」という言葉を使ってますから。
こういう言葉を使う人は、本当に、どのような意図をもって話をしているのでしょうか?
 
また、上記の引用文の中にもありますが、
ビタミンUの摂取のポイント
水に溶けやすく、熱に弱い性質があるため、サラダなど生のまま食べると効率よく摂ることができます。
加熱調理する場合は短時間で調理すると、ビタミンUの損失を少なく抑えられます。
また、スープやお味噌汁・煮物は、成分が溶け出した煮汁ごと食べることができ、胃腸を温めて新陳代謝の活性を助けるので、ビタミンUを効率よく摂ることができる調理法です。
ビタミンUは熱に弱いというのは共通しています。

 

この文章では、

①水に溶けやすい
②熱に弱い
③生のままで食べると良い
④加熱する際は、短時間での調理
⑤スープは成分を煮汁ごと食べる事が出来る
⑥胃腸を温める
 
と並べられてますが、③までは理解できます。
④は微妙です。
⑤は、加熱に弱いという事を無視してます。
⑥はビタミンU関係無しです。
また、ビタミンUの損失を少なく抑える事が出来るとありますが、どれくらいの損失がされているのかの記載がないです。
 
ただでさえ少ないビタミンです。
これで、どれくらいの差が生まれるのでしょうか?
是非、お伺いしたいものです。
 
結論としては、特にキャベツ等を食べるのは問題無いと思うが、キャベツを食べるという行為に胃腸改善効果という付加価値を求めるのは無理があるという事を言いたいですね。

一応、追記という形でもあるので、これで終わりたいと思います。
また、発見があれば、追記したいと思います。