糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

栄養バランス抜群なお弁当とは?

 
こんな記事があったので触れていきたいと思います。
 
私自身は、タイトルにもあるような「バランス」という良く分からない基準で話をする人がとても多いので仕方が無いのですが、「バランス」という言葉は、とても多様性があり、「私の考えるバランス」と、この記事でもそうですが、「他者が考えるバランス」は、全く異なります。
それを「何かしらの数字の目安」を文中で明示してないまま話を進められても、とても違和感を感じてしまいます。
 
ちなみに、私は「絶対的で唯一無二のバランス」は存在しないと思います。
もしあるとしたら、ただの「宗教」です。
 
という事を前提に話を進めていきます。
この記事では、「栄養バランス抜群」という話をテーマに展開しています。
で、ポイント別に紹介をしているんですが、着目したのは2番目のポイントの部分です。
 
ポイント2:主食、主菜、副菜の割合を意識する
見栄えも良く、栄養のバランスも良くなる割合は、主食3:主菜1:副菜2です。
◎主食とは:ご飯、パンや麺類などの炭水化物を多く含み、エネルギー源になる食品です。
◎主菜とは:肉、魚、大豆製品や卵などのたんぱく質を多く含み、筋肉などを作ります。
◎副菜とは:野菜、海藻類、きのこ類などのビタミンやミネラル、食物繊維を多く含み、代謝のサポートや健康の調子を整えてくれます。

 

栄養バランス抜群というテーマで話しているはずなのですが、最初に綴られた文字は「見栄えも良く」です。
栄養バランスに特化している内容であれば、「見栄え」は二の次となるのではないでしょうか?
まず、栄養を考える
そして、次に見た目や予算を考える
色々な項目があるのですが、採用できるものは限られます。
今回のテーマは「栄養バランス抜群」とあるので、優先順位としては「栄養」であり「バランス」であり、さらに「抜群」であると考えるのですが、最初に「見栄え」という文字がくるのに違和感を感じました。
 
続いて、栄養のバランスが良くなる割合として、主食3:主菜1:副菜2と紹介している所です。

主食の紹介として「エネルギー源になる」とするのは一般的なのですが、主菜も副菜もエネルギー源となります。
食物繊維も、主食であるご飯・パンにも含まれていますので、副菜に限定する事もありません。
さて、ここで触れたいのが、
 
ポイント1:自分にぴったりのお弁当箱をみつける
適切なお弁当の容量は、1食に必要なエネルギー量で決まります。例えば、1日1800kcal必要な方は、1食あたり600kcalなので、お弁当サイズは、600mlになります。
この必要なエネルギー量は、性別、年齢や日頃の運動量により異なります。
例えば、女性(30歳から49歳)で日頃の生活がほぼ座っていて運動量が少ない方では、1食に必要なエネルギー量は、約580kcalですが、常に立ち仕事や活発な運動をしている方の場合760kcalと異なります。

 

ここの後半部分で、運動量が少ない人であったり多い人でエネルギー量は変わるという事についてです。
 
一つは、「栄養バランス抜群」と言ってる割には話しているのはカロリーの話だけです。
 
一つは、エネルギー量で変わると言ってるにもかかわらず、主食3という半分を占める固定された割合を提示していて、不変であるという事です。
 
詰め方も、ご飯から詰めるとしています。
 
お弁当を詰める際に、まずはご飯からつめましょう。次に大きいおかず、そして小さいおかずの順に詰めていきます。ここでも、先ほど紹介した主食3、主菜1、副菜2の割合を忘れないようにしましょう。
また、少し隙間があいた場合は、レタス、トマト、パセリなどを使う事で彩りも良くなりますし、より副菜を加えるチャンスになります。

 

だったら、主食の量を減らせば、もっと副菜・主菜を詰め込めるじゃん
と思う訳です。
 

詰め方1:中身が動かないようにしっかりと詰める
理想は、中身が動かないくらい詰まっていても、蓋を閉めた時に料理がつぶれない高さにある事です。

 

とあるのですが、画像では撮影用だと思いますが、レタスがはこから飛び出していたりしますし、少しでも副菜を詰め込むチャンスをうかがっているにもかかわらず、装飾用の花のようなものを乗せて「見栄え」を重視しているように見えます。
だったら「ご飯を最後に入れないと、隙間を埋めれないんじゃないの?」「そんな飾りを入れるくらいなら、おかずを詰め込めればいいじゃん」とも感じる訳です。
 
トップで載せている画像も、ドラゴンフルーツを採用して彩り・見た目・見栄えを良くしています。
栄養価が無いとは言いませんが、基本果物系は主食扱いです。
となると半分とされる主食部分はより多くの割合を占める事になるので、バランスが崩れるのではないでしょうか?
 
また、カロリーしか着目しておらず、食品の種類について全く触れていません。
糖質の多い野菜を入れれば、主食部分はさらに大きくなります。
副菜であれば何でもいいのでしょうか?
 
最後に、紹介している対象は、恐らく「弁当作り初心者」であると考えます。
初心者に対してなら「ある程度の目安」としての情報を提供するのは良いと思います。
ですが、ある程度の目安を与えただけで、「自然と栄養バランスが整う」ならまだしも、「栄養バランス抜群なお弁当」になるとは到底思えません。
 
カロリーさえ取れれば、「栄養バランス抜群」となるのでしょうか?
 
この発言を、栄養の話をほとんどせず、基準を設けないままで、「管理栄養士」が行っているのは、とても無責任であると感じます。

タイトルと文章の内容にかなりのギャップがあると感じるものだったので、取り上げました。
まだまだ指摘をしたい部分はありますが、これくらいにしておきたいと思います。