糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

栄養満点という言葉の陰に隠れているものは?

続きです。
 
「栄養満点」という言葉を使われる食材の基準について考えています。
色々と挙げてきましたが、理由の一つとして「目を引く内容として語れる量が多いかどうか?」もあると考えます。
 
私はこれが本質ではないかと思っています。
 
耳障りの良い言葉の量が多ければ多いほど、記憶に残りやすくなっていきます。
血圧で悩んでいる人だったら、血行促進としての成分の一つの硫化アリルであったり、抗酸化作用としてのケルセチンというポリフェノールの一種も含まれている玉ねぎが良いですよ。しかもカリウムも多いので(←野菜にはたいがい含まれているが)むくみ改善(多分無理)に繋がりますよ~
 
そして、食物繊維も(以下略)
 
という感じで、付加価値(?)として語れる内容が多く存在すればするほど、
「あ、この野菜って、健康にいいんだ~」
という刷り込みが発生していきます。
その結果が、上記のような「栄養満点」という評価に繋がるのではないかと考える訳です。
 
最近では、
「その栄養素、無駄に捨ててませんか?」
「その調理だと、栄養を9割捨ててます」
とか言う書籍が人気のようですが、果たしてそうなのかな?と思います。
このくくりだと「栄養」という所に着目していると思うのですが、「栄養の定義」が曖昧です。
中身を見てないので主張が良く分かりませんが、基本的には野菜を取り扱っていると思います。
下ゆでをすると葉物野菜は特にゆで汁に溶け出しやすいからです。
とすると、ここで言う栄養とは、「ビタミン」「ミネラル」の事なのでしょうか?
食物繊維はだいたいの調理法でも残るので、ここでは関係なさそうです。
他にも色々あると思うが、レビューにもあった「バナナは冷凍してから食べる」という様な内容は、「栄養を捨てている」という事に繋がるのかなと不思議にも思います。
なんだか、マナー講座のような空気を感じなくもないので、いずれは読もうと思いますが、まだ手に取ってないです。
鍋奉行のような人たちが増えない事を祈るばかりです。

おっと、話しが逸れました。
 
ブロッコリーであれば

ブロッコリーはとても栄養価が高い野菜で、100g食べれば1日に必要なビタミンCが摂れてしまいます。 ビタミンCだけでなく、葉酸、ビタミンE、ビタミンK、カリウム、食物繊維などのさまざまな栄養素が豊富に含まれていて、野菜の中でかなり栄養価が高いものなんです。

 

ブロッコリーのビタミンC含有量は54mgであり成人の摂取基準量は100mgです。
この部分を不思議に思うでしょうか?
少しカラクリがあり、54mgとするのは、「茹でた後での100g換算」です。
茹でずに調理前の状態では、100gあたり120mgとなります。
アメリカでは「生でブロッコリーを食べる習慣」があるようですが、日本人でそれをする人はほとんどいないと思います。
私は生で食べたりもしますが、基本的には加熱します。
こういった調理・未調理の情報を統一せずに、一方の情報を流しているサイトというのはよくあります。
 
最悪なのは、一方では生の状態の話をし、一方では調理後の状態で話をして比較し、「こっちの方がこんなに優れているんですよ~」とアピールしているものです。
その辺の話は過去に投稿した「蕎麦」の所で話をしましたが、とても悪質であり、ミスリードを促しています。
しかも、医師監修ときたものです。
酷いと思いました。
 
 
話を戻します。
 
こんな話をすると、
「お、ブロッコリーって、すげぇんだな」
みたいな感じになって、評価が上がるわけです。
そうなると商品価値も上がり、生産者側に利益が生まれやすくなるという事に繋がります。
今は、私の好きなマイタケがそんな状態になっていると感じます。
血糖値が云々という良く分からない情報に踊らされて品切れになった前後から、高値になっています(涙)。
他にも理由があるとは思いますが・・・

商品価値を高めたいという生産者・販売者の気持ちは分かりますが、トリックを使ってまでもゴリ押ししようとするのは違うと思います。
 
一つの食材で全ての栄養素を基準値まで補う事は不可能です。
 
完全食と言われる玉子でも、ビタミンC・食物繊維は存在しません。
植物にも、当然動物性たんぱく質は含まれていません。
 
そして一番重要なのですが、「栄養満点」とされるための基準が決まっていません。
そんな状態で、「栄養満点」という言葉を使って、「一つの食材」をアピールするのは、どうなのでしょう?
 
「栄養満点」という言葉を使うのは、基準がないので発信者の自由だと思いますが、発信するのであれば、基準がないので「自分が考える栄養満点という定義」という前提条件を明示して欲しいのです。
 
身体に良いと言われる成分が微量でも配合されていれば、それは栄養満点なのでしょうか?
身体に良いと言われる成分が微量でも、配合されている種類が多ければ、それは栄養満点なのでしょうか?
身体に良いと言われる成分が一つでも何かしらの基準を満たしていれば、それは栄養満点なのでしょうか?

情報発信するのであれば、そういった事を明示してくれると、発信者の情報信頼度が上昇すると思うのですが、いかがでしょうか?
 
という感じで、終わりたいと思います。
 
現状、「栄養満点な食材」は無いと思いますが、「栄養満点な料理」はあると思います。
 
私が持ってるイメージとしては
「栄養満点な食材 ≒ 完全食」
というものです。
 
皆さんは、どう捉えているでしょうか?
 
このテーマは、とりあえずはここまで。
書きたくなったら、また追記していきます。
 
追記(2019/05/30)
誤解は与えてないとは思うのですが、前提条件の一つとして明記しておきます。
一つの食材でという話をしましたが、日常を超えるような量を食べるとなると、その分取り入れる栄養分も多くなるので、話しは変わります。
平均的に食べる量としての話を前提としています。