糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

基礎代謝量って何だろう

前回の続きです。
<「筋肉は重く脂肪は軽い」 → “同じ大きさ”なら>
 さて、「脂肪」と「脂肪以外の組織(主に筋肉・骨)」の密度の違い(水に対する比重の違い)はわかりましたが、
実際、重さはどれくらい違うの?・・・というアナタの疑問にお答えしましょう!上で説明致しましたように、
脂肪とそれ以外の組織では密度が違うのですが、
◎脂肪組織の密度=0.9007g/cm3
◎脂肪以外の除脂肪組織(≒筋肉&骨)の密度=1.100g/cm3
と、されています。
ということは、同じ1cm3の大きさの脂肪と除脂肪組織(≒筋肉&骨)を比較すると、
その差はなんと!!!!
・・・・じゃーん♪「約0.2g」!!

 

同じ比率で計算すると、0.2g筋肉が重いという事になります。

筋肉1.1 : 脂肪0.9の比率で筋肉が重い。
筋肉は重くて小さく、脂肪は軽くて大きい。つまり、脂肪が減って筋肉が増えれば、体重は重くなっても、見た目は引き締まることになる.

 

という事です。
で、筋肉が増えると「基礎代謝量」が増えるから、消費カロリーが増えて痩せやすくなる身体になるという話に繋がっていきます。
で、ここで私が着目しているのは、
 
基礎代謝量って、そんなにデータとして有効な数字なのかどうか?」
 
という点についてです。
私は、そんなに意識せず参考程度にしか捉えてないのですが、ダイエットでは
「この基礎代謝量を増やす事で、痩せやすい身体になるのだ」
という話をほとんどの所で用いられます。
 
では、基礎代謝量の計算について話をしたいと思います。
基礎代謝とは
基礎代謝とは、人間が生命活動を行う上で最低限必要なエネルギーのこと。
一日分の基礎代謝量に相当する分と日常的な活動による分を合計したエネルギー量(消費カロリー)より、多くのカロリーを摂取すれば、余って消費されなかった分は脂肪として体に蓄えられます。
一方、基礎代謝と日常的な活動の消費カロリーより、摂取カロリーが少なければ、食事から取り入れたものでは間に合わなくなり、身体にため込まれた脂肪をエネルギーとして使用することになります。よって、脂肪が減る分だけ、体重が減ることが期待できるのです。
基礎代謝は、基本的に加齢とともに減少します。つまり、年齢が高くなるほど太りやすい体質になるということです。

 

基礎代謝の計算式は5タイプ
厚生労働省
日本人の食事摂取基準(2005 年版)基礎代謝基準値に元の計算
基礎代謝量=基礎代謝基準値×体重(kg)
②ハリス・ベネディクト(Harris-Benedict)の計算式
男性: 66.47+(13.75×W)+(5.00×H)-(6.78×A)
女性: 655.1+(9.56×W)+(1.85×H)-(4.68×A)
W:実測体重(kg)H:身長(cm)A:年齢(歳)
③ハリス・ベネディクト方程式(日本人版) 計算式
男性:66+13.7×体重kg+5.0×身長cm-6.8×年齢
女性:665.1+9.6×体重kg+1.7×身長cm-7.0×年齢
国立健康・栄養研究所
国立健康・栄養研究所の式(Ganpule et al., 2007)
基礎代謝量=*1×1000/4.186
注)*1;男性=0.5473×1、女性=0.5473×2
国立スポーツ科学センター(JISS)
基礎代謝量=28.5×除脂肪体重
除脂肪体重=体重-脂肪量
脂肪量=体重×体脂肪率
5タイプを比較
5の式は計算式が異なるので入力するデータが同じでも結果が変わってきます。色々なサイトで計算した人は、基礎代謝量の値が異なるので迷ってしまいます。
身長、体重、年齢、体脂肪を変化させた時に基礎代謝量の変化をグラフで確認してみました。(基本データ 身長 170cm 体重 63kg 年齢 30歳として、身長、体重、年齢を変化)
結果
②>③>④>① で高くなる傾向ありました。
厚生労働省
②ハリス・ベネディクト(Harris-Benedict)
③ハリス・ベネディクト方程式(日本人版)
国立健康・栄養研究所
国立スポーツ科学センター(JISS)
どの計算式も言えることは
年齢が増えると基礎代謝量は減る。
体重が増えると基礎代謝量は増える。
身長が高くなると増える。(①は身長が式に入っていないので変化なし)
⑤は体脂肪が増えると減る。体重が増えると増える。

 

計測方法としてはこれらがあるのですが、皆さんはどれを用いているのでしょうか?
私も体組成計で計測をしていますが、そのメーカーがどの手法を用いているかは知りません。
で、めちゃくちゃ正確に測るというのであれば、ヒューマンカロリーメーターで測定することになります。
国立栄養研究所では、一般参加者を募集して、基礎代謝推定値と実測値を比較する調査を続けています。
このプロジェクトでは、気密室に2泊3日で泊り込んで基礎代謝を測定します。
という感じになるのですが、基本的には簡易的に計測できるよう、上記のような計算式が準備されています。
 
少し長くなってきたので、次回に回します。

*1:0.1238+(0.0481×体重kg)+(0.0234×身長cm)-(0.0138×年齢)-性別*1