糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

消化に良いもの悪いものの話

このテーマに関しては、過去に何度も話をしてきました。
 
基本的に、私は一般的に消化に良いものを、消化に良いもの・胃腸に優しいものと位置付けていません。
一般でも病院でも施設でも、消化に良いものとして、「おかゆ・うどん・柔らかく煮込んだ野菜」という感じでしょうか?
私自身も勧められた事はあります。
 
この話は何度も書いていて恐縮ですが、急性胃腸炎にかかった私に、おかゆとかうどんとか食べなさいと、当然のように話をしてくる医者もいました。
私も当然のように無視して、豚しゃぶと大好物の白身魚フライと鮭弁当を食べて満足しました。(これがベストの食事という訳ではないので、誤解の無いように)
 
 
少し別の話ですが、栄養学を学ぶよりもさらに過去の話ですが、急性腸炎と診断されて1週間程度入院したことがあります。
退院時に「最初のうちは消化に良いものを食べてね」と話を受けましたが、最初に手にしたのはコンビニの「アナゴの天丼」でした。
とてもおいしかったです。(これがベストの食事という訳ではないので、誤解の無いように)
 
少し話が飛びました。
 
他にも胃腸の調子が悪い時に適する食材として、
 

穀類  白飯、粥、うどん 
果物  バナナ、りんご、缶詰 
魚介類  白身魚、白はんぺん 
肉類  鶏肉、脂の少ない赤身肉 
卵  半熟卵、茶碗蒸し 
豆類  豆腐、高野豆腐、豆乳 
乳製品  牛乳、ヨーグルト、チーズ 
野菜  ほうれん草、じゃがいも、人参 
油脂  サラダ油、マヨネーズ、バター 

 

 
基本的には、「低脂質」と「柔らかいもの・消化に良いとするもの」を紹介し、
 

・胃酸の分泌を高める食品は、控えましょう
香辛料の多いもの こしょう 唐辛子
甘味の強いもの 煮豆 まんじゅう
食塩の多いもの 漬物 塩辛
酸味の強いもの 酢の物 柑橘類
嗜好飲料(アルコール飲料、炭酸飲料、コーヒー、紅茶、濃い緑茶など) ビール コーヒー
・食事は、ゆっくりよくかんで食べましょう
・冷たいものは、一気に飲まないようにしましょう
・食後は、休息をとりましょう

 

 
という事に気をつけようという話となります。
また、生活習慣上の注意点として、
 
胃腸の調子は日頃の生活習慣との関連が深いと言われています。次のことを心がけた生活をしましょう。
なお、胃腸の調子のよくない状態が続くようであれば、早めに医療機関を受診しましょう。
規則正しく食べましょう
就寝前の食事はできるだけ避けましょう
栄養バランスの良い食事を心がけましょう
暴飲・暴食は避けましょう
睡眠を十分にとり、疲労の蓄積を避けましょう
たばこは止めましょう
適度な運動をしましょう
 
という感じで、色々な条件を追加してきます。
 
最初に後半部分にふれます。
 
私のブログの読者であれば気付いたかもしれませんが、ここまでで全く記載されていない事があります。
 
「数値としての基準」です。
 
「胃腸の調子が悪い時に、早期回復のために必要だと考える」栄養バランスとは、どんなモノなのでしょうか?
PFCバランスで言うと、どのような割合なのでしょうか?
しっかりと記載いただかないと、悪化する可能性もあるのではないでしょうか?
 
また、
「胃腸の調子が悪い時に実践する規則正しい食事」とは、どういう状態なのでしょうか?
「胃腸の調子が悪い時に行なう適度な運動」とは、どういったものでしょうか?
そもそも胃腸の調子が悪い時に、運動をしたくなるものなのでしょうか?
適度という言葉でしかないので、疲れない程度という事なのでしょうか?
一般的に平均的とされる運動量という事なのでしょうか?
疲労の蓄積を避けないといけないというのに、運動をしろと言うのは矛盾にも感じます。
 
続いて前半部分に触れます。
 
胃酸の分泌を高めるのは避けるとありますが、胃酸が出ないと消化が出来ません。
いくら消化に良いものを食べたとしても、同様です。
また、一言で「胃腸の調子が悪い時」とひっくるめていますが、様々な症状になります。
この食事方法が、「全ての胃腸の調子が悪い時」に当てはまるものなのでしょうか?
私にはそう思えません。
 
症状が発症するには、必ず原因があります。
わかりやすいものから原因不明と呼ばれる分かりにくいもの全てにあると考えています。
そうでなければ、症状が生まれる訳がないですから、そう考えています。
 
例として「塩」に関してですが、摂取する事で胃酸の状態で調子が良くも悪くもなります。
胃酸は塩化物イオンを材料として作られます。
胃酸が多く出るから塩分を控えるという事ですが、その多くなった原因については、ここでは全く触れていません。
 
胃酸の濃度が低いと、消化促進のために多くの量の胃酸が投入されます。
普段から「減塩で行きましょう」と「健康のために」というスローガンを掲げていますが、塩分を投入する事で、胃酸濃度を高くし、胃酸分泌量を減らす事にも繋がる場合も有ります。
また、食べるものによっては、消化に悪いものを取り込む事で、胃酸分泌量を増やさざるを得なくもなります。
 
最初に戻りますが、私は「消化に良いもの」としてのリストに掲げられた内容については、同意できないものとなっています。
ですが、このリストは色々な矛盾をはらんでいるのですが、これが一般に広く知れ渡っています。
 
IBS患者に限らず、「医師から言われたから」「栄養士の指導だから」という事で、言葉通りに受け取って、しっかりと真面目に継続していても、一向に症状が改善出来ないのは、こういった「イメージ重視で生まれたものが慣習的に伝えられているから」という事が、一番の原因では無いのでしょうか?
 
にも拘らず症状を改善できなければ、「生活習慣が・・」とか、「治りにくいからしかたないね」といった「患者の〇〇に非がある」というアプローチをして、さらなる制約を課した継続を促してきます。
 
あれ?
どこかで見た事がある構図だぞ??
 
次がまとめになります。(多分)