糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

どこまでを「ダイエット食」とするのか?

テレビでもネットでも書籍でも。
色々な所で、「ダイエットレシピ」として様々なメニューを紹介をしています。
 
あるサイトでは、ダイエットメニューとして
「一晩ねかせるだけ!ふわふわフレンチトースト」
と、フランスパン・バター・はちみつ・粉糖・玉子・低脂肪乳・砂糖を使ったレシピを紹介しています。
一晩液に浸すとありますが、調理時間は約20分。
そこは除外されているんですね。
 
これで一人分が290キロカロリーとされています。
ちなみに糖質46.4g たんぱく質11.6g 脂質5.6gです。
ポイントとして

フランスパンは、油脂を使わないシンプルな配合のパンです。翌日は、かたくなりやすいのでフレンチトーストで美味しくいただきます。
※乳児ボツリヌス症の予防のため、1歳未満の乳児にははちみつを与えないようにしてください。

 

という事のようです。
 
これは、ダイエットレシピなのでしょうか?
 
これだけで食事をすませる事を目的としているのであれば、私だったらお腹が空きすぎて間食ありきになってしまいますね。
それで余分に食べてしまって、余計負荷をかけるのではないでしょうか?

そもそも「ダイエット」って、何でしょうね?
以前にも記事にしましたが、

ダイエット(diet)とは、規定食という意味である。
人や動物や共同体が習慣的に摂る食品のこと。
食事療法: 健康のため、美容のため、肥満の防止(や解消)のため、食事を制限すること。
ダイエットは体重を目安にするが、 健康体重、標準体重、理想体重、目標体重、美容体重、モデル体重と、いろいろな指標がある。

 

ダイエット
本来は病気治療や健康増進を目的とした食事療法,またはそのための特別食,制限食をいうが,一般には美容,肥満防止のための食事制限,または減量法の意味に使われることが多い。
糖尿病や肥満症治療のための低カロリー食品をダイエット・フードともいい,特に先進国において,ダイエットのための健康食品として利用されることが多くなった。

 


というのが、「定義」です。
ですが、このダイエットという言葉・定義に該当しないものも結構多いです。
その傾向をみて、「あぁ、この人は、こういった事を「ダイエット」としているのか」というような捉え方をしているのですが、残念ながら、多岐にわたり過ぎて把握が出来ないです。
本当にこだわっている人もいるし、自分が作ったものは全て「ダイエット食」とする人もいます。
それくらい、人によって「ダイエット」の範囲が異なります。
 
管理栄養士の仕事の一つに、「栄養価計算」というのがあります。
食品に含まれているであろう栄養素を計算し、基準以上にするという事です。
それを上回る食事を提供し続ける事で、治療したり健康を維持しようとする内容です。
そこから献立を考えて、利用者に提供していくという流れになります。

私自身の考えですが、

「ダイエットとは、食事を通じて、相手の望む身体の状態に、健康的に変えていく事」

 

「ダイエット」・・・健康を追求するもの
「ボディメイク」」・・・数字を追求するもの

 

という事をベースにしています。
色々なレシピやコラムをチェックしていますが、一般的に「健康」「ダイエット」に繋がるとするものとして、
・低カロリー
穀物中心
・低脂質
・食物繊維たっぷり
厚労省が定める理想的なPFCバランス遵守
という事がベースになっている事が多いです。
 
さて、これで「健康」「ダイエット」に繋がるのか?という事になるのですが、私は難しいと思います。
理由は簡単です。

その人個人の性別や年齢、体格、活動量などに合った適正量の糖質を摂っていれば太る事はありません。

 

という言葉を多くのサイトで引用されています。
上記の「糖質」の部分は、カロリーとしても当てはまる文章です。
ですが、その人に合った適正量の糖質というわりには、基準が「理想のPFCバランス」しかないです。
どんなに適正量を・・・という話をしても、最後には、しっかりご飯を食べましょうとか、上手に糖質を摂りましょうという話になり、具体的な数値データは全くないという事になります。
こういう記事は、基本的には「糖質制限なんてもってのほか」「糖質は必要!」という話に持っていきます。
それは別にいいのですが、数字の基準として、どこからどこまでがあなたの言う「適正量」となるのか?という事については、全く触れません。
個人差があるなら、統計をとっていると思うのですが、なぜその話をしないのでしょうか?
 
で、最初のフレンチトーストの話になるのですが、これを紹介して、ダイエットに繋がるのでしょうか?
これを「ダイエット食」とするのであれば、「低いカロリー」と「低い脂質量」という基準しか見てない事になりそうですが、どうでしょう?
 
私からみたら糖質量が多すぎです。
この糖質量をエネルギー源として使い切る事が出来る人というのは、どういう人が当てはまるのでしょうか?
 
どれくらいの運動・エネルギー使用量でこの糖質は消費されるのでしょうか?
運動ありきの考えをしていますが、食べてすぐデスクワークをしたり、運動を普段から出来ないような環境の人だったら、エネルギーは消費出来るのでしょうか?
そういう人がこれだけの量の糖質を食べたら、即体脂肪になるのではないでしょうか?
なぜ、全ての人に健康に繋がらないようなものがダイエットレシピとして紹介されているのでしょうか?
私には不思議でなりません。
 
このレシピの作者は、管理栄養士でありフードコーディネーターだそうです。
管理栄養士も、色々な考え方がありますからね。
私は、このレシピは「ダイエット食には該当しない。身体に不都合を与えやすいレシピ」だと考えます。
 
多分続くかも。