糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

あなたの白湯の飲み方は間違っている!とする記事を見ての所感

 
前回の続きです。
「白湯の効果が出ない!」と思っているあなたの疑問をスッキリ解決!!
実は白湯の効果が出ない時は、3つの間違いをおかしている可能性があります。
白湯の温度が体温より低い
白湯を飲むタイミングを間違ってる
白湯を飲む量が適切では無い
作り方にこだわりすぎて億劫になっている
結果を焦ってストレスになっている。目安は3か月。
さらに!!白湯ダイエット」に向いてない人もいる

 

間違いと指摘する所が3つ以上ある気がしますが、話を進めます。
前回のリンク集でも紹介しましたが、結構矛盾するような内容が並んでいます。
一方では「10分くらいかけてゆっくり飲みましょう」とあったり、この記事のように「冷めないうちに飲み切る」とあります。
 

体内温度(体温より少し高くて38度~40度くらい)より高い温度の白湯を飲むことが「内臓を温めて体温を上げる」ためには超重要です!

 

とありますが、これで体温って上がるのでしょうか?
「内臓を温める」と言ってますが、温まるのは口腔内から食道、そして胃程度まででしょう。
そんな温度がヤバい状態のものを、大事な小腸に送り込む事はしません。
小腸が火傷したら、栄養を吸収できず、生命維持の危機にも繋がりますから。
 
熱いものを食べて冷める前に飲み込み、ゆっくりと食道を通った経験があると思います。
焼きたてのたこ焼きとかが連想しやすいと思います。
で、強引に飲み込み、熱いものが胃に入ったのまでは実感出来ると思います。
そこで消化が始まるので熱が奪われていきます。
水も高めの温度でもそれよりも低い温度の食道・胃を通る事で、熱が奪われていきます。
水がずっと50℃をキープし続ける事は出来ませんから。
腸に進むころには、常温(体温程度)になっていると考えられます。
それで、「内臓を温める」とするのは、少し盛り過ぎだと感じます。
瞬間的には上昇するかもしれませんが、すぐに常温に戻ると思います。
 
また、人間の身体は60~70%が水分です。
人間の身体は恒常性もありますし、そもそもこれだけ水分を抱えているのに、たった200ml(コップ一杯)程度の少し熱めの水をゆっくりと飲んで、温度上昇が持続する訳がありません。
お風呂にためた水が、コップ一杯程度の熱湯で、風呂全体の水の温度が一気に上昇するでしょうか?
アツアツの状態で飲む事が出来るのは、最高で80℃程度が限界だと思います。
それくらいなら多少の汗をかくかもしれません。
ですが、他の記事では「50度前後に冷ます」とあり、少し温かい程度であると思います。
これで、

身体を暖めて、冷え症を改善し、基礎代謝を上昇してダイエットにも繋がる!

 

とするのは、とても強引な引用だとしか思えません。
 
また、全部の項目に触れていくとまた長くなるので割愛しますが、「ルールが面倒だし根拠がない」というのも着目点です。
「このようにしないから、あなたは効果を実感出来ないんだ!」
という、マクロビでも話したアレです。
期間が3カ月もかかるそうですが、それくらいだったら、他の事が影響しているのではないかと考えます。
人間の身体は、早ければ数日~2週間程度で変化が生まれるからです。
情報提供者のゴリ押し理論でよく使われる手法の一つです。
 
50℃程度の温かい状態を維持する
ふうふうしながら少しずつ飲む
でも50℃をキープするようにする
少しずつ時間をかけて飲む
 
「ふうふうしたら、冷めるやん!」
「少しずつ飲んで時間をかけるなら、その途中で冷めて50℃をキープでけへんやん!!」
 
と突っ込みたくなります。
メチャクチャ難しく手間だと思います。
そんな難易度の高い事を3カ月続けろと言っています。
 

実は私が「白湯」を飲み始めたのは、「便秘」に良いと聞いてのスタートでしたので、体重については最初あまり気がつきませんでした。
もともと普段から2kg程度は体重が増減するタイプでしたので、「ああ、最近食べ過ぎてないから体重増えないのかな~?」程度でした。
その後、ジワジワと体重が減っていき、3ヶ月経った頃には暴飲暴食が続いても体重がベスト体重から増えない!!を確信しました。

 

個人の意見であり、数字データがハッキリせず、投稿者の体格やベスト体重の基準、暴飲暴食のレベルがわからないので、何の検証にもなりません。
ダイエットの健康食品でも、こういう論調を見かけますが、テンプレでもあるのでしょうか?
 

どちらかというと、「低体温、むくみやすい(巡りが悪い)胃腸が弱い」というタイプの方に効果が出やすいと思います。

 

と言いますが、どれくらいの検証データを基に話を進めているのでしょうか?
出にくい・出やすいというのは、どんな効果の事を話しているのでしょうか?
 
少なくとも、これを実践した所で、低体温・むくみは実感できるほど改善しないと思います。
原因は別にありますから。
 
ただ、上記以外のメリットはあると考えます。
温かい・熱い飲み物を飲む事で、ふーふーと息を吹きかけます。
適温にするためにしている行為ですが、これで深呼吸と同じ効果を得る事が出来ます。
それにより身体に酸素を供給し、目を覚ましやすくするでしょうし、リフレッシュに繋がるとも考えます。
多少血流も良くするでしょうね。
そして普段から水分不足の状態が続いているのであれば、水分補給の習慣がついて、潤いを感じやすくはなると思います。
十分な水分を摂る事で、健康にも繋がりやすくなります。
 
第二次大戦中、ドイツの収容所に収容された状態の医師が、周囲の病気を抱える人達から治療してくれと無茶を言われたそうです。
収容されている身ですから、診察器具や薬も十分な食べ物もありません。
あるのは水だけでした。
それを飲ませたところ、体調が改善したという逸話が残っています。
 
それくらい、人間にとって水分は大事です。
 
体水分量が減るだけで、作業効率・集中力低下に繋がったり、重度になる程、脱力感・吐き気・頭痛の原因になっていったりします。
一日の目安は1.5~2ℓといわれているようです(状況により変化する)ので、
 
その摂取のきっかけとするというのであれば、とても良い方法だと思います。
ですが、「白湯をのむ」という行為だけで
  • 冷え性改善
  • 肩凝り・腰痛の緩和
  • 便秘解消・デトックス
  • ダイエット効果
  • 美肌効果
  • 花粉症の症状緩和
を実感できるレベルまでに出来るとするのは、強引すぎるとしか思えないです。
 
でも頻繁に水を飲む事で、喉に付着した花粉を流せるので、花粉症の喉状態に関しては緩和に繋がるのかもしれません。(私が軽減を実感したが、それが要因かどうかは不明)
 
上記の内容だったら、白湯に限定しなくてもいいです。
 
一番意味が分からないのが、
「身体の毒素を排出するデトックス効果も期待できます」
ですが、毒素の定義が無いので意味が分かりません。
 

体にたまる毒素の種類としては、食品に含まれる添加物(保存料、人工甘味 料、着色料、乳化剤、残留農薬など)、水道水に含まれる鉛、発がん物質のトリハロメタン、空気中や雨に含まれる大気汚染物質、車の排気ガス、紫外線、タバコの煙など、口から摂取するものをはじめ、空気中に漂っているものなど、多岐に渡ります。

 

というのがあるそうですが、白湯をのんだら、どのレベルまでが排出できるのでしょうか?
一部でしょうか?全部でしょうか?
それとも、これら以外のものでしょうか?
どれくらいの期間で、どれくらいの量を排出できるのでしょうか?
出来るというのであれば、把握していると思うので、是非ご教授願いたいものです。
 
という感じの事を思いました。
白湯をのむという行為に対して、意味を持たせ過ぎに感じます。
物凄く僅かな期待でも、「(相対的に)期待できます」とだけ書けば、印象が強くなります。
その繰り返しの結果が、先に挙げたサイトでの健康効果になっているのではないかと考えます。
 
白湯をのむという行為は悪い事では無いのは間違いないと思います。
ですが、それだけで「治療する」というレベルには達しないと思います。
原因はそれだけではないと考えやすいですから。
 
一つの方法論にすがり過ぎないようにする方が、より良い効果を実感出来るのではないかと考えます。
 
少し長くなりましたが、白湯についてはここまでにします。
 
ありがとうございました。