糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

身体に良いと言われる食材は、本当に良いのか?

前回からの続きです。
今回は、前回触れなかった小豆昆布についての話をします。
 

小豆は玄米に近い量のビタミンB1を含み、皮部分にはアク成分の一種であるサポニンを含んでいます。
ビタミンB1は疲れやだるさを取り、サポニンは利尿やむくみ取りに優れた効果を発揮します。
塩で味付けすることでビタミンB群の減少が抑えられ、昆布と一緒に煮ることでより利尿作用が高まり、糖尿病・高血圧・脂質異常などの生活習慣病の予防が期待できます。
冷蔵庫で約1週間は保存が可能です。

 

さて、上記の文章だけを見ると、「小豆昆布って、すげーな」と思えるようになるかもしれません。
特に、上記のような内容のお悩みを抱えている方ならなおさらだと思います。
 
こういった食材の紹介は、良く行われています。
というか、この手法ばかりです。
 
比較して良いと言われるものが多いという特徴があれば、さも、それが大量に入っているような印象を与えていきます。
下手したら、「これを食べたら、身体にすぐに作用する」というくらいにまで記載されているものまであります。
他にも、多少多めの成分があったら、紹介して、「〇〇は、一般的には〇〇に効果が期待できる」と言われて、一般論を引き合いに出す手法もあります。
 
メリット部分をアピールするのは良いのですが、数字での比較が無いので、読み手は結構印象操作をされやすいです。
文章に出てきたキーワードに触れていきます。
 
小豆は玄米に近い量のビタミンB1を含む
ビタミンB1含有量(100g)
玄米 0.41㎎
小豆(乾)0.45㎎
 
確かに含まれています。
ですが、食べる量と計測状態が異なります。
玄米も、小豆も、調理前の状態での計測です。
これを調理するとどうなるか?
 
【茶碗1杯(150g)あたりのビタミンB1】 炊いた玄米:0.24mg
小豆も乾燥から茹でると、だいたい2.4倍に膨らみます。
どれくらいを食べるかは知りませんが、食べる分量は、10g程度じゃないでしょうか?(※)
となると、あずき(乾)は5gなので、ビタミンB1含有量は、0.02㎎程度です。
食べないよりは食べた方がいいとは感じるのですが、はたして、これくらいの量で、期待されているような疲れ・だるさを摂る事は可能なのか?については、疑問符です。
 
また、ここでは一切触れていませんが、玄米も小豆も糖質を含んでいます。
糖質の代謝するためには、ビタミンB1が必要です。
玄米は、100gあたり34.2gふくまれてます。
茶わん一杯(150g)であれば、51.3gです。
あずき(乾)だと、100gあたり40.9gの糖質を含んでいます。
 
さて、これだけの糖質を含む食材を食べるとどうなるでしょうか?
糖質を食べているので、その食べ物を消化するために利用され、さらに味付けで砂糖を使ったりするようであれば、食べ物に含まれているビタミンB1だけでは対応が出来ず、身体の中に存在するビタミンをも使わざるを得なくなるのではないでしょうか?
こう言った状態に陥った状態が、「夏バテ」です。
暑くて食欲がないという事で、冷たい麺類(糖質)ばかり食べていると、代謝にビタミンB1が使用され、食べ物での補給も少なくなると、疲れが蓄積していくというパターンです。
 
それぞれに「ビタミンB1が含まれている」とアピールするのは良いのですが、食べる量がそもそも違います。
マクロビのルールはたくさんあり過ぎると感じていますが、どこまで徹底できるかで、実感は異なっていくと思います。
その中で、「むくみや疲労感が・・・」と感じる人が、この小豆昆布をやってみようとこれだけを始めたとしても、恐らく効果は実感出来にくいと思います。
それ以外の生活習慣の見直しも必要ですし、実感するまでには、それまでに不足している栄養素の補給からスタートとなります。
医薬品でもないですから、これだけですべてを解消できるとは思えないです。
医薬品でも難しい場合もある程です。
簡単に「むくみが取れるレシピ」と称していますが、どれくらいの効果を得られるのでしょうか?
できるというのであれば、数字データで根拠を示して欲しいものです。
 
ちなみに、「塩で味付けすることでビタミンB群の減少が抑えられ」とありますが、私は初耳です。
どういった仕組み・根拠で減少するのでしょうか?
ぜひお伺いしたいものです。
 
今回は、ここまで。

※ 書き終わった後で調べ直したら、「小豆昆布は毎朝お椀に1杯くらい食べて下さい」との表記あり。
そんなに食べないといけないんですね。